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最新家賃相場動向! コロナ禍でも家賃相場は安定

市場動向

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2021年12月 7日

最新家賃相場動向! コロナ禍でも家賃相場は安定

コロナウイルスは新たな脅威はあるものの、今のところ新規感染者数は激減しています。9月には消費者物価指数が1年6カ月ぶりにプラスに転じ、経済活動も回復しているように見えますが、逆に物価が高騰し、インフレリスクすら懸念されています。コロナ禍による賃貸市場への影響は限定的で、ファミリー向けで家賃上昇が見られるなど、安定して推移しています。三大都市圏を中心に最新の家賃相場を見てみます。

首都圏、東京23区は横ばい、都下、神奈川、埼玉、千葉は上昇基調

不動産情報サービス・アットホームの全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2021年10月)から、マンションの募集家賃と平均家賃指数の推移について、今年10月までの動向を見ていきます。

首都圏の平均募集家賃は、東京23区を除き、東京都下・神奈川県・千葉県がタイプ別の全面積帯で前年同月を上回りました。コロナ禍で見られる郊外人気が家賃に反映されているエリアも見られ、カップル向き、ファミリー向きを中心に家賃の上昇が見られます。
それでは細かい動向をエリアごとに見ていきましょう。なお、面積帯は30m²以下を「シングル」、30m²~50m²以下を「カップル」、50m²~70m²以下を「ファミリー」、70m²超を「大型ファミリー」としています。

■東京23区-ファミリー向きが上昇傾向

1年間の推移を見ると大型ファミリー向きがやや下落しているようにも見えますが、全体的には横ばいで安定して推移していると見てよいでしょう。賃貸住宅の年間の需給傾向で見ると、9月の第二繁忙期から、10月、11月は、いったん家賃はやや下がる傾向にあります。それでも、50m²以上のファミリー、大型ファミリーは前月比プラスで力強さを見せています。
10月に発売された東京23区新築マンションの1戸あたり平均価格は、8,455万円で依然高値で推移しています。ファミリー向きの上昇傾向はその影響も少なからずあるでしょう。
シングルは、前年同月比で1.5%下落(差額-1,375円)。やや弱含みですが、平均家賃は87,893円と高家賃をキープしています。

■東京23区-マンション平均家賃指数の推移

■東京都下-全面積帯で好調、カップル、大型ファミリー向きが上昇

前月比ではシングル、カップルが下落したものの、一年間で見ると、春の繁忙期後に下落した家賃は回復し、前年同月比は全面積帯で上昇しました。特に大型ファミリーは大きく上昇し、2015年1月以降で最高値を更新しました。また、カップルは春に付けた家賃を維持して推移しています。
大型ファミリー以外は、2015年1月の水準を上回っていませんが、ほぼ同水準に回復しています。コロナ禍による郊外人気が続いており、この傾向は今後も続きそうです。

■東京都下-マンション平均家賃指数の推移

■神奈川県-シングル、カップル、ファミリー向きは最高値

東京近郊で、2020年度人口の転入超過が最も多かったのが神奈川県です。大型ファミリーの家賃は、コロナ禍が始まった2020年3月からどんどん上昇し、2021年に入ってもさらに上昇を続けました。家賃指数も今回紹介するエリアの中では127.7ポイントと2015年1月の水準を大きく上回っています。
その他の面積帯も、家賃指数100をわずかながら超えて安定した家賃相場を形成し、シングル、カップル、ファミリーは、いずれも2015 年1 月以降最高値を更新しました。

■神奈川県-マンション平均家賃指数の推移

■埼玉県-大型ファミリー向きが堅調、その他はほぼ横ばいで推移

大型ファミリーが、春先から上昇し、10月は2015年1月以降で最高値を更新しました。大宮、川口といったエリアの人気が上昇し、特にファミリー物件の家賃相場を押し上げているようです。
シングル、カップルも前年同月比でほぼ横ばいで、安定していると言えるでしょう。
埼玉県も全面積帯で、コロナ禍が始まった2020年3月あたりから、家賃指数は100を超えて推移しています。

■埼玉県-マンション平均家賃指数の推移

■千葉県-全面積帯で前年同月比を上回る

千葉県も、他の東京近郊のエリア同様、大型ファミリーが大きく伸びています。前年同月比では4.2%の上昇です。また、同様に前年同月比で4.2%の大きな上昇を見せたのがカップルです。2015年1月以降の最高値を2カ月連続で更新しました。
千葉県は、市川市、船橋市、木更津市、柏市で住宅地の地価も上昇しています。東京都心に近いわりには家賃相場に値頃感があり、人気エリアが増えている印象です。

■千葉県-マンション平均家賃指数の推移

名古屋市は、ほぼ横ばい、大阪市は、やや上昇

人口移動は、名古屋市で転出超過、大阪市で転入超過傾向にありますが、コロナ禍の影響は首都圏同様に、あまり感じられません。それぞれのエリアを見てみます。

■名古屋市-コロナ禍前から上昇し、高水準をキープ

名古屋市の特徴はシングルが強いことです。6年前の2015年1月から、すぐに上昇を始め、コロナ禍でも衰えることなく堅調な家賃相場を維持しています。
ファミリーは、前月比で下落しましたが、9月の指数は2015年1月以降の最高値を更新しています。
どの面積帯もコロナ禍の少し前、2019年の秋から全面積帯で家賃指数100を超え、コロナ禍の影響を受けることなく、堅調に推移しています。

■名古屋市-マンション平均家賃指数の推移

■大阪市-カップル好調を維持

平均家賃の前月比は全面積帯で上昇しています。夏場を過ぎて、2カ月連続の上昇です。シングル、ファミリーが3月の繁忙期以降下落していましたが、回復傾向も見られます。
年間通じて好調なのがカップルです。前年同月比でも2.0%上昇しています。
東京圏と違い大阪圏は、大阪市への転入超過が続いています。以前から職住近接の傾向にあり、コロナ禍による郊外人気は見られず、人気のエリアも大きな変化はありません。
家賃相場は上下に推移しつつも、年間通してみると、ほぼ横ばいと見てよいでしょう。

■大阪市-マンション平均家賃指数の推移

現場の景況感は下落するも、来期見通しは上向き

現場の不動産仲介業者は、現状をどのように捉えているのでしょうか。今後のコロナ禍の状況も踏まえ、アットホームの「地場の不動産仲介業における景況感調査(2021年7~9月期)」を見てみます。

前年同期に対する動向判断を指数化した業況DI ※(DI50で前年並み)を見ると、首都圏、近畿圏ともに、DI=30台に低下しました。調査期間が9月の緊急事態宣言発令中だったことも影響していると思います。ただ、前年同期比では首都圏+4.0ポイント、近畿圏+3.3ポイントと前年の水準を上回っています。
また、来期(10~12月)見通しについては、首都圏42.9、近畿圏43.3と両エリアともに上昇が見込まれています。

エリア別に2021年3期(7~9月)の業況DIを見ると14エリア中、北海道、兵庫県を除く12エリアで、前期比下落しました。来期の見通しは、埼玉県、北海道を除く12エリアで上昇する見通しです。

今後の賃貸住宅の動向は、コロナ禍による経済活動の復活、またそのことによる生活への影響が左右することは言うまでもありません。しかし、コロナ禍で株価が乱高下し、商業地の地価が下落、また最近では物価が上昇するなど、様々な指標に影響が出る中、家賃相場は安定して推移しています。むしろ、コロナ禍で人々のライフスタイルが多様化したことで、賃貸住宅建設の適正エリアが広がり、郊外でも土地活用による賃貸住宅経営が十分可能になりました。今回見てきた家賃相場の堅調さが、それを証明しています。

■首都圏・近畿圏における直近1年間の業況の推移(賃貸)

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