HOME > アパート経営・土地活用の知恵袋 > マンスリーレポート > 市場動向 > コロナ禍で2回目の春。家賃相場はどう動いたか?
アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

コロナ禍で2回目の春。家賃相場はどう動いたか?

市場動向

タグ :

2021年5月25日

コロナ禍で2回目の春。家賃相場はどう動いたか?

今春の繁忙期(1月~3月)の家賃動向が発表されました(不動産情報サービス・アットホーム調べ)。コロナ禍から約1年、地価は商業地が大きく下落、都心オフィスの空室率も上昇するなど、不動産市場にも大きな影響を及ぼしました。一方、分譲マンション価格は高止まりするなど別の反応を見せています。家賃相場については2020年を通して見ると、堅調に動きました。2021年今春の繁忙期はどうだったのか、エリア別に見てみたいと思います。

首都圏の郊外人気は家賃に影響したのか!?

東京都は昨年の7月から今年の2月まで8カ月連続で転出が転入を上回る「転出超過」となりました。3月は持ち直したものの人口流出は続いている傾向にあります。これはコロナ禍でのテレワークの普及やライフスタイルの変化が影響しているといわれています。
2020年1年間で見ると、東京23区から東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県と近郊に人々の移動が見られます。家賃相場も、それに合わせて、東京近郊の相場が上昇しています。東京23区については、これまでの上昇率が高かっただけに一服感といったところです。エリアごとに家賃相場を見ていきたいと思います。

【首都圏の年間転出入動向】(2020年)

■東京23区-マンション平均家賃指数の推移

東京23区のマンションの平均家賃指数は、3月前年同月比で、ファミリーで0.8%とやや上昇、大型ファミリーに至っては3.1%上昇しました。東京23区の分譲マンションの平均価格は7,712万円で前年比11.4%アップ(2020年「首都圏マンション市場動向」(株)不動産経済研究所)と4年連続で最高値を更新していますので、マンションの買い控えが起こっていると考えられます。そのため賃貸のファミリータイプの家賃相場を高めたのだと思われます。

シングル、カップル用は、1月に入ってやや上昇しましたが、3月は前年同期比でシングルが3.1%下落、カップルが1.1%下落しました。ただ、前年の2020年がコロナ禍にも関わらず大きく上昇しましたので、2019年の同月比ではプラスです。それを考慮すれば堅調に推移しているといってよいでしょう(図1参照)。

図1:【東京23区】マンション平均家賃指数の推移

■東京都下-マンション平均家賃指数の推移

東京都下のマンションの平均家賃指数は、大型ファミリー層以外は100を切っていますが、カップル層・ファミリー層は2015年からほぼ横ばい、シングルはやや下落傾向といえます(図2参照)。
ただし、前年同月比では、全面積帯で前年同月比を上回っています。都下といっても三鷹市、小金井市、府中市、立川市へは東京23区からの転出者が多く、賃貸市場としても人気の高いエリアです。家賃相場も徐々に上昇していくかもしれません。

図2:【東京都下】マンション平均家賃指数の推移

■神奈川県-マンション平均家賃指数の推移

東京都から最も転入が多かったのが神奈川県です。ここで、特筆すべきは70㎡を超える大型ファミリー層です。昨年の夏あたりから上昇幅が大きくなり、3月の前年同月比は12.9%の上昇となりました。
その他の面積帯のマンションはこの数年、ほぼ横ばい。それでも前年同月比では上昇しています(図3参照)。

図3:【神奈川県】マンション平均家賃指数の推移

■埼玉県-マンション平均家賃指数の推移

埼玉県は神奈川県に次いで、東京からの転入が多いエリアです。埼玉県では、この数年シングル層を除いて平均家賃指数は100を下回っていましたが、2020年は上昇。上昇・下落を繰り返し、3月の前年同期比はファミリー層を除き、上昇しています(図4参照)。

図4:【埼玉県】マンション平均家賃指数の推移

■千葉県-マンション平均家賃指数の推移

千葉県は、2021年の公示地価で上昇したエリアが多く、郊外人気を象徴していました。3月のマンション平均家賃指数の前年同月比は、ファミリー層が5.6%、大型ファミリー層が8.5%と大きく上昇しました。シングル、カップル層もこの数年堅調に推移しています(図5参照)。

図5:【千葉県】マンション平均家賃指数の推移

転出超過が続く名古屋、転入増加が続く大阪

東京23区同様、名古屋市の人口移動は転出超過が続いています。一方、大阪市は増加傾向にあります。コロナ禍の影響がどの程度出てくるのか注視しなければなりません。
首都圏同様、分譲マンション価格は高止まりしています。しかし、首都圏ほどその影響は賃貸マンションの家賃相場には現れていないようです。

■愛知県名古屋市-マンション平均家賃指数の推移

名古屋では、シングルが他の面積帯よりも高い指数を維持しています。3月の前年同月比ではわずか0.5%下落したものの、このコロナ禍でも高い指数です。
その他の面積帯でも平均家賃指数の100を上回り、3月の前年同月比でもプラスとなりました(図6参照)。

図6:【名古屋市】マンション平均家賃指数の推移

■大阪府大阪市-マンション平均家賃指数の推移

平均家賃指数は、全面積帯で3月の前年同月比を下回りました。ファミリータイプは同月比で上昇しています。人口は増加していますが、家賃相場にはその影響は見られませんでした。大型ファミリー層についても首都圏に見られるような家賃指数の上昇は見られませんでした。
ただ、どの面積帯も2019年からは指数は100を超えており、特にシングルタイプは2015年から100を下回ることなく推移しています(図7参照)

図7:【大阪市】マンション平均家賃指数の推移

今後の家賃動向

住宅新報社が毎年2回行う家賃調査2021年3月版では、東京圏の賃貸マンション、「ワンルーム」「1LDK~2DK」「2LDK~3DK」、それぞれのタイプでほぼ横ばい(1%未満の上昇)。ただし、上昇地点が多くあったといいます。郊外人気では湘南エリアの藤沢や茅ヶ崎の問い合わせが、カップル、ファミリーで増えているといいます。

まだまだ、コロナの収束は見えませんが、人々のライフスタイルの変化は、賃貸市場の郊外人気からもうかがえます。もちろん、都心にも根強い人気があり、住まいの多様なニーズを賃貸住宅が補っているようにも見えます。それは、郊外も含めた家賃相場の堅調さにも表れています。
今後も、家賃相場や多様な入居者ニーズの変化に注視していきたいと思います。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ