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コロナ禍の最新家賃動向を分析する

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2020年12月 1日

コロナ禍の最新家賃動向を分析する

今年の3月、コロナ禍で賃貸住宅の成約は停滞していたものの、家賃相場は高値で推移していました。それから半年経った9月時点の最新家賃動向を見てみます。あわせて、過去10年間の家賃推移や現場の景況感からも現状を分析します。

三大首都圏では上昇、または横ばい

まずは、不動産情報サービスのアットホームによる<全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向>(2020 年9 月)を見てみます。

コロナは春先の賃貸市場繁忙期を直撃しましたが、5~6月には、その反動で客足も戻りました。夏から秋にかけての家賃相場は、例年、繁忙期よりは停滞するのですが、9月のマンション家賃動向を見ると、神奈川県・埼玉県・名古屋市・福岡市が全面積帯で前年同月を上回る結果となりました。

コロナ禍による家賃相場への影響が注視されていましたが、今のところ思ったほどの影響はありません。都心のオフィス賃料やテナント賃料は下がっていますが、居住用に関しては家賃が大きく下落することはありませんでした。

■東京23区-マンション平均家賃指数の推移(2015年=100としたもの)
■東京23区-マンション平均家賃指数の推移

9月を前年同月比で見ると、シングルが横ばい、カップルがやや上昇、ファミリー、大型ファミリーが大きく上昇しました。グラフは2015年1月を100とした平均家賃指数の推移です。通常、一年間の家賃推移は、シングルのように繁忙期をピークとした山型を示すのですが、東京23区では、ファミリー、大型ファミリーが大きく上昇しています。大型ファミリーは2015年以降で最高値となりました。分譲マンションの価格が高止まりしている上、コロナ禍での経済的な不安もあり、賃貸派が増加しているのかもしれません。

■愛知県名古屋市-マンション平均家賃指数の推移(2015年=100としたもの)
■愛知県名古屋市-マンション平均家賃指数の推移

平均家賃は、全面積世帯で前年同月比を大きく上回りました。シングルの前年同月比は、今回調査の全9エリア中、トップの上昇でした。ファミリーは2015年以降で最高値となりました。家賃指数も高値で推移しています。

■大阪府大阪市-マンション平均家賃指数の推移(2015年=100としたもの)
■大阪府大阪市-マンション平均家賃指数の推移

前月比で見るとシングルを除いて下落していますが、前年同月比では、シングル、カップルで上昇、ファミリー、大型ファミリーで横ばいとなっています。

緊急事態宣言から、約半年。家賃相場は底堅く、むしろ堅調に推移している。

過去10年間で見ても高値で推移

次に、住宅新報社の「住宅新報家賃調査 年2回(3月、9月)」を見てみます。
東京圏マンション1LDK~2DK の9月の平均成約賃料は前回調査(4月)から0.05%プラスで、ほぼ横ばいです。その他、ワンルーム、2LDK~3DKも同様に横ばい傾向です。

10年間の推移を見ても、リーマンショックの落ち込みからすでに回復し、家賃相場は高値で推移しています。このデータからも、コロナ禍の影響は感じられません。
このデータでは下限家賃が最も伸びていますが、住宅新報の記事によると、一部では収入の減少から、より低い家賃を探す傾向もあるということです。

オフィスや店舗の賃料が下落しているにも関わらず、居住用賃貸住宅の家賃が下落しないのは、着工数の減少や住み替えを控えることによる、市場への空室供給量の減少が考えられます。つまり、客足が戻ってきても供給量が少なければ、商品の取り合いになり、売り手有利になるということです。一般的な需給バランスと同じです。
また、ファミリー向けについては、分譲マンション価格が高止まりしていることが挙げられます。収入面での不安があれば、なおのこと持ち家より賃貸派に流れる傾向になるでしょう。

■東京圏マンション1LDK~2DKの推移

この10年間の推移を見ると、家賃はリーマンショックの落ち込みから回復し、高値圏で横ばい状態が続いている。

現場の景況感は大幅に改善するも、まだ低位にとどまる

家賃相場は堅調に推移していますが、現場の不動産仲介業は、現状をどのように捉えているのでしょうか。アットホームの「地場の不動産仲介業における景況感調査(2020年7~9月期)」を見てみます。

前年同期に対する動向判断を指数化した業況DI (DI50で前年並み)を見ると、首都圏、近畿圏ともに、前期(4~6月期)においては、コロナ禍の影響を受け調査開始以来の最低値を記録しましたが、今期(7~9月期)は前期より大幅に改善しています。ただし、その水準は、低位にとどまり、来期(10~12月期)の見通しもあまり明るくありません。
※DIの算出方法
回答店舗による 5 段階の判断にそれぞれ下の点数を与え、これらの合計を全回答数で除して算出。DI=50 を境に、それよりも上なら「良い」、下なら「悪い」を意味する。 【良かった(100)、やや良かった(75)、前年並み(50)、やや悪かった(25)、悪かった(0)】


現場の声としては「都心から郊外への転居者が増えた」「退去もなく、入居もない」「企業の異動も少ない」といった人の動きの停滞を懸念している声があるようです。
まだまだ、客足や成約数は回復せず、賃貸市場そのものの回復には至っていないようです。

■首都圏・近畿圏における直近1年間の業況の推移(賃貸)

現場の景況感は、改善しつつもまだ低位にとどまる。人の動きの停滞が懸念され、賃貸市場そのものの回復には至っていない。

現場が感じる消費者ニーズの変化とは?

ニーズの変化については、同調査で約7割が住まい探しの傾向が「変わった」と回答しています。具体的には、「インターネット通信環境の充実」「都市部よりも郊外の広く自然豊かな物件」「書斎またはワークスペース(集中できる静かな個室)」が上位に並んでいて、テレワーク普及の影響が出ています。

■ニーズの変化

その他、注目していたいのが「趣味を楽しむスペース」「広めのベランダ・バルコニー」があり、コロナ禍での巣ごもり生活を豊かに過ごせるニーズが高まっているようです。

現場でも、住まい探しのニーズが変わったと約7割が回答。コロナ禍でのテレワークや巣ごもり生活に関係するニーズが高い。

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