HOME > アパート経営・土地活用の知恵袋 > マンスリーレポート > 市場動向 > 賃貸市場動向に変化!? 家賃微増、成約数減少が意味するものは?
アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

賃貸市場動向に変化!? 家賃微増、成約数減少が意味するものは?

市場動向

タグ :

2019年12月 3日

賃貸市場動向に変化!? 家賃微増、成約数減少が意味するものは?

昨今の賃貸市場では、成約数が減少し、家賃相場は微増するという傾向が見てとれます。着工数の減少や上昇する地価、高止まりしている分譲マンション価格などが要因のようですが、賃貸市場のニーズにどのような変化が起きているのか最新のデータから考えていきます。

成約数は11カ月連続減少。賃料指数は過去最高!

家賃相場のデータは様々な会社から発表されていますが、まず、不動産情報サービスのアットホームによる「首都圏居住用賃貸物件10月」のデータを見てみます。アットホームでは、特に「成約数」を重視して賃貸市場動向を探っています。成約数は、賃貸市場が活況か否かを示すバロメーターでもあります。成約数が高まれば、入居者の入れ替えや、新規入居者の増加が伺え、賃貸市場が活発に動いていることが分かります。

しかし、首都圏の成約数は前年同月比で11カ月連続してマイナスとなりました。年間を通じて、繁忙期の盛り上がりはあるものの、この一年、成約数は低迷しています。ただし、エリア別に見ると、東京23区の新築マンションでは微増ですが3カ月連続で、成約数が上昇しています。

成約数の減少は、家賃相場にどう影響しているのでしょうか。市場に活気がないと、家賃相場も低迷してしまいそうですが、必ずしもそうではないようです。首都圏の1戸あたり成約賃料指数の新築マンションは、今回減少したものの前月9月は2009年1月の調査開始以来で最高となりました。
新築が強いのは、供給数によるとも考えられます。2019年9月の新設貸家着工数は、前年同月比で13カ月連続の減少です。つまり、市場では新築物件が少なく、その分希少価値が生まれています。一方、新築ニーズも強いため家賃は強気の傾向にあるようです。

■成約数および前年同月比の推移(首都圏)

成約数は減少しているものの、家賃は底堅さを見せている。

家賃相場は微増、10年前の水準を上回る

家賃相場の推移を別のデータで見てみます。住宅新報社では年2回(3月、9月)に「住宅新報家賃調査」を公表しています。
最新の東京圏2019年9月のデータでは、家賃は微増し「ほぼ横ばい状態に」と解説されています。市場の動きとしては、特にファミリー物件で契約を更新することが多く、動きが鈍いとのこと。先の成約数の低迷も契約の更新が多いというのが大きな要因の一つのようです。
理由として考えられるのは、分譲マンションの価格が高止まりしていることです。加えて9月は消費税増税の時期と重なり、出費のかさむ引っ越しは控えたとの見方を示しています。

東京圏のマンション1LDK~2DK家賃相場の上限、平均、下限の過去10年間の推移を見てみます。2008年リーマンショック後、家賃は下がり続け、アベノミクスとともに上昇、この5~6年間は緩やかに上昇しています。実は今年の3月には、上限、平均、下限ともに10年前の水準を上回っていました。

■1LDK〜2DKの家賃相場の推移(東京圏)

この5~6年間家賃は緩やかに上昇。10年前の水準に戻る。

住み替え進まず、都市部では賃貸物件供給が不足

もう一度結果をおさらいすると、この一年の賃貸市場は、成約数が減り家賃は微増という状況が続いています。
成約数減少の要因は、契約更新が増えたこと。特にファミリー層の持ち家の買い控えです。先にも述べましたが、不動産経済研究所が発表した2019年度上半期の首都圏分譲マンションの平均価格は6,006万円でした。6,000万円を超えるのは1991年以来28年ぶりとのことです。今は低金利とはいえ、なかなか簡単に手が出せる価格ではありません。

賃貸市場は、活気が低迷しているようにも見えますが、家賃の微増が続いているのは、契約更新増や新築の減少が逆に影響しているようです。つまり、都市部は人の流入もあり、客足は例年通りだが、供給物件が少なく、やや売り手市場となっているようです。エリアによって状況は変わると思いますが、実際、不動産会社からも、物件数が足りないことで、入居者の入れ替え時に家賃を値上げするケースもあったと聞きます。
また、ファミリーだけではなく30m2以下の単身者でも成約数は減少しています。実感のない景気回復と言われて、単身者も初期費用のかかる住み替えは控えているようです。

都市部では、更新や新築物件の減少で供給量が不足ぎみで、その分家賃が微増を続けている。

持ち家にこだわらない賃貸派増加!賃貸市場で優位に立つには?

今の賃貸市場から、何が見えてくるのでしょう?
注目したいのが、分譲マンションを買い控えたファミリー層と、その予備軍ともいえる新婚カップルです。一般的なマンション購入世代は、30代半ばから40代半ばで、いわゆる「就職氷河期世代」です。ロストジェネレーションとも呼ばれ、景気の低迷する時代を駆け抜けてきたこともあり、消費行動は手堅いと言われています。

この世代は、住まいも持ち家にこだわらないという賃貸派が増えています。旭化成ホームズ(株)共働き家族研究所「賃貸住宅に住む共働き夫婦のくらし・意識調査(2015)」によると、30代〜40代の約7割が、「良質な賃貸が増えれば持ち家にこだわらない」と回答しました。転勤・転職といったライフスタイルや子どもが生まれるなど家族構成の変化で手軽に住み替えられるのが賃貸住宅です。堅実で効率的な消費行動を好む世代には、賃貸住宅がライフスタイルに合っているのかもしれません。

■「良質な賃貸が増えれば持ち家にこだわらない(30代〜40代)」

これらの結果を見ると、今後も新婚からファミリーの賃貸住宅ニーズは高まっていくと思われます。ただし、賃貸派も「良質な賃貸が増えれば」という前提です。
今後、若い世代になるにつれ、実家の住宅性能が高まっているのは容易に想像がつきます。前々回、このコーナーでも紹介しましたが、特に10代、20代は賃貸住宅の遮音など基本性能については、実家と比べて劣っていると不満を持っています。
今の共働き夫婦がどのようなライフスタイルなのか、子育て世代はどのような機能を求めているのか。それらを理解し、そのニーズに応えられる賃貸住宅であれば、賃貸派を十分に満足させられ、これからの賃貸市場でも優位に立つことができるでしょう。

旭化成ホームズでは、共働き向け、子育て向けに様々な商品を開発し、賃貸市場の変化に対応しています。それらの商品の特徴と詳細を解説したバックナンバーを紹介します。参考にしてみてください。

■『fufu』
夫婦二人が「自分らしく」暮らすための間取りや設備が充実した、共働き夫婦向け賃貸住宅。ダブルウォークインクローゼットなど豊富な収納、デスクスコーナーを設置。
・バックナンバー『増える共働き夫婦に人気の賃貸住宅とは?
■『光と風のLDK』
賃貸住宅ではあきらめがちな、ホームパーティーやバルコニーでの食事などが可能。採光と通風にこだわり、バルコニーとリビングがつながるアウトドア空間を実現。
・バックナンバー『共働き家族に「光と風」の賃貸住宅
■『free㎡ (フリームス)』
可動家具を使って、自由に間取りを変えられる賃貸住宅。夫婦二人の生活から、子どもが生まれ、成長する過程で、家族の変化に合わせてレイアウトが変更できます。
・バックナンバー『賃貸派増加で求められる賃貸住宅とは?
■『母力 (ぼりき)』
子育て世代のコミュニティ賃貸住宅。コミュニティづくりや子育てのサポートも充実しているので、お母さんたちが子育ての不安や悩み、楽しさや喜びを共感しあい、笑顔で子育てができる。
・バックナンバー『キャンセル待ちが出る、子育てコミュニティ賃貸住宅

今後、新婚、ファミリーの賃貸需要が高まることが予想される。変化するライフスタイルに合った入居者のニーズを賃貸住宅に取れ入れることが賃貸市場で優位に立つポイント。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ