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2023年「基準地価」と地価上昇局面の資産防衛術

市場動向

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2023年10月 5日

2023年「基準地価」と地価上昇局面の資産防衛術

国土交通省から、今年の7月1日時点の基準地価が発表されました。コロナ禍で一時低迷していた地価も再び上昇局面に入っています。三大都市圏の地価動向をエリア別に見ていきます。また、地価上昇局面で土地オーナーが気を付けなければならない資産防衛術について、ポイントを解説します。

三大都市圏-住宅地は2年連続上昇、商業地は11年連続上昇

基準地価は、新型コロナの「5類」移行による行動制限緩和、インバウンド需要の増加、再開発などの追い風もあり、三大都市圏を中心に上昇率が拡大しました。これまで下落が続いていた地方圏も住宅地、商業地ともに平均で上昇に転じています。

三大都市圏の「住宅地」は、東京圏、名古屋圏が3年連続上昇、大阪圏は2年連続の上昇。いずれも上昇率は拡大しています。コロナ禍の影響があった2020年は下落しましたが、再び上昇基調となりました。東京都では都心回帰の傾向が見られます。

「商業地」は、東京圏が11年連続上昇、名古屋圏3年連続上昇、大阪圏2年連続上昇。いずれも上昇率は大きく拡大しています。特に下落が続いていた大阪・道頓堀は昨年の1.6%下落から4.3%上昇に転じました。インバウンド需要が戻った浅草や京都と比べ回復が遅れていましたが、ようやく大阪も上昇に転じました。同様に人気観光地の岐阜県高山市の商業地は、高級ホテルや旅館の建設ラッシュが続いており、昨年の2.4%下落から2.4%上昇と大きく回復しました。

今回、全国の動向で話題となったのが、全国住宅地の上昇率でトップ3を独占した北海道千歳市です。大規模な半導体工場の建設が始まったエリアで、商業地でも2~4位を占めています。商業地のトップは先に半導体工場の建設が始まっている熊本県です。千歳市では熊本の例を見て、まだまだ地価は上がるとの思惑から、売り控えが起きているようです。千歳市では今後の人口増も期待され、賃貸重要も急伸しているとのことです。

■基準地価の変動率推移

東京圏の動向-千葉県、東京都が大きく上昇、郊外人気が続くも都心回帰も。

東京圏の住宅地は3年連続で上昇し、商業地は11年連続の上昇でした。
「住宅地」をエリア別に見ると、最も上昇率が高かったのは東京23区の4.2%です。全ての区で上昇となり、昨年の2.2%から4.2%に上昇率も拡大しました。23区での上昇率1位は大塚駅近く、2位は南千住、3位は早稲田駅に近いエリアで、上位10位のうち4カ所が豊島区です。特に都心部では、富裕層向けの住宅需要が旺盛で、2023年7月の23区新築分譲マンションの平均価格は1億円を超えています(不動産経済研究所)。

都心回帰が見られる一方、コロナ禍で広がった郊外人気も続いていて、東京圏で見ると上昇率トップ10は全て千葉県のエリアが占めました。交通利便性のよい我孫子市、市川市、再開発が進む流山市おおたかの森です。我孫子市は東京駅からJRで約40分ですが、ほぼ同じ距離の東京都狛江市や千葉市に比べて価格が安く、環境も良好なことからファミリー層に人気で地価を押し上げたと見られています。
千葉県内を市区町村別に見ると、上昇率1位は本八幡で再開発の計画がある市川市が11.3%、2位が浦安市8.9%、3位が7.2%流山市です。

「商業地」でも東京圏の上昇率トップ10には、千葉県が2位から6位、9位に入っています。アクアライン近くの木更津市、東西線浦安駅付近、流山おおたかの森駅付近、東西線行徳駅前などです。千葉県全体でも商業地は5.2%上昇で、東京圏では最も高い上昇率となりました。
東京都で見ると1位から4位まで浅草。5位、6位は北千住。また、都心部のオフィス需要がやや回復し、大手町、丸の内、銀座の地価が横ばいからわずかに上昇しています。基準地価全国トップの明治屋銀座ビルは4年ぶりの上昇(2%)となり、価格は1平米当り4,010万円でした。

■東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の地域別変動率

■商業地変動率上位-東京圏(単位%)

■住宅地変動率上位-東京圏(単位%)

名古屋圏の動向-中区・栄エリアが地価上昇をけん引

名古屋圏は昨年、商業地、住宅地ともに三大都市圏の中では上昇率が最も高かったのですが、今年は「商業地」の上昇率は東京圏、大阪圏を下回りました。
それでも、繁華街・栄のランドマークである「中日ビル」が2024年グランドオープンを控え、栄エリアの上昇が目立ちました。商業地の上昇率1位は、栄エリアの錦二丁目19番1号「名古屋鴻池ビルヂング」で14.7%上昇です。
リニア中央新幹線開業予定の2027年より遅れるとの報道もありますが、名古屋駅周辺や栄・伏見エリアでは大規模開発計画等への発展期待もあり地価上昇が継続しているようです。加えて、駅周辺など利便性良好な地区では賃貸マンション需要との競合も要因となり、総じて上昇率が拡大しているとのことです。

職住近接の名古屋では「住宅地」でも栄エリアが地価上昇をけん引しているようです。商業地1位の「名古屋鴻池ビルヂング」に近い、錦一丁目3番28号「プラセシオン名古屋伏見」が上昇率1位で16.4%上昇でした。名古屋市では全16区で上昇しました。アクセスの良い都心部でのマンション需要は底堅く推移しているようです。

■商業地変動率上位-名古屋圏(単位%)

■住宅地変動率上位-名古屋圏(単位%)

大阪圏の動向-大阪・関西万博を控え、うめきた、ベイエリアで再開発

大阪圏では、インバウンド需要の回復に加え、2025年の大阪・関西万博、2030年開業予定のカジノを含む総合型リゾート(IR)への期待が地価上昇の要因となっています。
「商業地」は昨年の1.5%上昇から3.6%上昇と拡大しています。特に大阪市では、1.7%上昇から5.5%上昇と大きく上昇しました。最高価格は4年連続でJR大阪駅前のグランフロント大阪南館で、昨年の下落から4.5%の上昇に転じました。価格は1平米あたり2,300万円です。駅北側では「うめきた2期」の再開発が進行中です。その一つ「グラングリーン大阪」が来年の夏に「まちびらき」を予定していて、近接している大阪市福島区エリアが商業地、住宅地の上昇率1位になっています。

また、インバウンド需要の影響が大きかった心斎橋・なんば地区では、インバウンド需要の回復に伴い、店舗需要は回復しつつあるようです。
京都市でも商業地は4.9%上昇しました。奈良県では昨年横ばいでしたが今年は0.9%上昇、前年比で上昇になるのはコロナ禍前の2019年以来4年ぶりです。

「住宅地」では大阪市中心部の上昇が堅調でした。特に福島区、都島区、天王寺区、東成区、城東区、淀川区等の都心接近性に優れた地域で、住宅需要は旺盛で高い上昇率を示しています。また、京都市でも全11区のうち、右京区で下落から上昇となり、全ての区で上昇が継続し上昇率も拡大しました。

■商業地変動率上位-大阪圏(単位%) ■住宅地変動率上位-大阪圏(単位%)

地価上昇局面での資産防衛術

地価が再び上昇しています。低金利による円安やインフレが主な要因とみられていますが、今後も日本の低金利政策が続く限り、地価の上昇局面も続くとみられています。
土地オーナーにとっては資産価格の上昇は喜ばしいことですが、一方で将来の相続税の負担増といったリスクもあります。地価上昇局面において、気をつけなければならない土地・不動産の資産防衛術について、いくつかポイントで解説します。

1-相続対策の見直し

地価は2013年頃から総じて上昇を続けています。このような上昇局面では、公示地価や基準地価が市場価格に追いつかないという現象も起こります。
例えば5年前に作った遺言書では相続人に公平に遺産分割したつもりでも、地価の値上がりで公平性が失われている可能性があります。また、2015年に相続税の基礎控除が大幅に引き下げられるなど、相続に関する税制も度々行われています。
まずは、資産の評価を見直し、今の税制にあった相続対策を検討することが大切です。

2-資産の有効活用(財産評価の引き下げ)

相続対策の一つに、財産評価の引き下げ対策があります。特に土地・不動産については、活用次第で財産評価が大きく変わってきますので、有効活用の検討が必要です。
例えば更地に賃貸住宅を建てた場合は、約8割圧縮できるケースもあります。また賃貸住宅であれば、その後の家賃収入を納税資金として活用することも可能です。

[例]更地評価額1億円、借地権割合70%、借家権割合30%の土地に、1億円(全額ローン)で賃貸住宅を建設

この他、負の資産となる可能性が大きいのが「老朽アパート」です。躯体や設備等の老朽化によりメンテナンス費用がかさみ、都市部では防災・防犯上の問題もあります。加えて賃貸物件としての競争力がなくなれば空室も増え、相続人も相続したがらない負の資産となってしまいます。付加価値のある賃貸住宅への建て替えも検討すべきでしょう。

もう一つ、注意したいのが自宅です。子どもたちが独立し、将来誰も自宅を引き継がないと空き家になってしまいます。この場合は相続税の負担も大きく、空き家となった自宅の管理も大変です。これらのリスクを回避するためには、自宅を賃貸併用住宅に建て替えるなどの対策があります。

土地オーナーは、地価上昇局面では改めて土地・不動産の評価を確認し、有効な活用策を見直すことが大切。

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