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本当に必要な設備は何か?費用対効果で考える設備投資

入居者トレンド

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2015年9月 1日

本当に必要な設備は何か?費用対効果で考える設備投資

9月、10月は、春の繁忙期に次ぐ、賃貸市場の第二の繁忙期です。その理由は、秋の転勤シーズンと結婚シーズンが控えているからです。スムーズに入居者を確保するためには、物件の競争力を維持することが重要であり、そのポイントとなるのが設備です。しかし、人気の設備だからといっても、必要なのかどうかは物件それぞれです。今回は設備の必要性について解説します。

絶対ほしい設備ランキング、新築では標準装備の設備が上位

入居者が、次に引越す時は(時も)絶対ほしい設備・仕様について、(株)リクルート住まいカンパニーが調査した「2014年度 賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)」から、全体傾向を見てみます。
ベスト5は「エアコン」「都市ガス」「TVモニター付インターフォン」「追い焚き機能つきの風呂」「温水洗浄便座」となっていて、今の新築物件においては、標準装備されているものばかりです。

都市ガスは、プロパンガスやオール電化との比較ということになりますが、ランニングコストの面で優位に感じられているのでしょう。ただし、2016年4月から電力の自由化が始まります。各社でポイントやマイルに交換できるなど様々なサービスが予定されていますので、中には入居者がメリットを感じられるサービスが出てくるかもしれません。そうなるとオール電化も人気が高まる可能性があります。
「エアコン」「TVモニター付インターフォン」「温水洗浄便座」は、既存の物件に比較的簡単に設備投資できます。単身者向けの場合、「追い焚き機能つきの風呂」は必須設備ではありませんが、それ以外は設備投資を考えてみてもよいでしょう。

既存物件の競争力を高めるためには、設備投資が有効ですが、費用対効果も考える必要があります。ターゲットとしている入居者層にとって必要かどうか、周辺のライバル物件と比べてどうか、過剰な設備投資になっていないかなど、様々な角度から検討することです。
次にカテゴリーに分けて、見ていきたいと思います。

■入居物件決定の際の設備・仕様の必要度

設備投資は、入居者ターゲット、周辺のライバル物件との比較で、必要かどうかを検討する。

セキュリティ設備─オートロックなしをカバーするには

■オートロック

セキュリティ設備と言えばオートロックが挙げられますが、ランキングにはオートロックが入っていません。オートロックのセキュリティ性については、必ずしも絶対とはいえないことは入居者も分かっています。オートロックのメリットは、単にセキュリティ機能だけではなく、賃貸住宅のグレード感もあるでしょう。オートロックのあるエントランスがあれば、単なるアパートではなく高級賃貸住宅としてアピールできます。

しかし、オートロックを既存の賃貸住宅に設置するのは、スペースの問題もあり、現実的ではありません。もっと身近なセキュリティ設備として、ランキングされているのは3位「TVモニター付インターフォン」、9位「防犯カメラ」、11位「ディンプルキー」、12位「玄関ドアのオートロック」でした。「玄関ドアのオートロック」は締めたら自動施錠されるものですが、利用経験率も24.9%と低く、まだ普及していません。鍵の閉め忘れには効果がありそうですが、現時点ではさほど必要性は感じられていません。

■TVモニター付インターフォン、ディンプルキー

ランキングの中で、「TVモニター付インターフォン」、「ディンプルキー」、は必須です。この設備があるかないかで、入居者の安心感に大きく違いが出てきます。「防犯カメラ」については、物件のグレードやターゲットによります。例えば、家賃が低めの物件であれば、そこまでニーズは高くないといえます。単身女性ターゲットでセキュリティをアピールポイントにしている賃貸住宅ならば、「防犯カメラ」は必須となってくるでしょう。
また、ランキングにはありませんが、都心の賃貸住宅などでは、ホームセキュリティが個別にオプションで選べるようになっている物件もあります。少しずつ、賃貸住宅にもホームセキュリティが普及しているようです。

■「あんしん感」をカタチに

また、最近の弊社の調査では、入居者の防犯に対する安心感を高めるのは設備だけではなく、入居者同士のゆるやかなコミュニティから得られる「あんしん感」が大切だということが分かってきました。直接のコミュニケーションは避けたいが、住人同士の顔が分かり、出会えば挨拶をするくらいの関係に安心を感じる層が多数存在することが分かりました。下の図でいうと「匿名コミュニティ志向」です。

■一般低層・女性のコミュニティの志向性

この「あんしん感」をカタチにした防犯強化賃貸住宅「ヘーベルメゾンNew Safole」。詳しくは、バックナンバーで紹介していますので、ご参考にしてください。
マンスリーレポート「設備+"あんしん"で防犯機能を強化する最新賃貸とは?

「TVモニター付インターフォン」、「ディンプルキー」は必須設備。さらに、女性向けなら、設備以外にも「安心感」を具体的なカタチにすることで、セキュリティ効果が高まる。

水廻り設備─最も効果的な設備投資が水廻り

設備の古さが最も表れやすいのが、浴室、トイレ、キッチなどの水廻りです。それだけに、設備投資やリフォームでは、水廻りの設備を変えるだけでガラリとイメージを変えることができます。場所別にポイントを見ていきます。

■浴室

ランキングでは、浴室の設備がランキングに多く入っていました。「追い焚き機能つきの風呂」「保温機能付きの浴槽」「浴室乾燥機」「シャワー付き洗面化粧台」です。
中でも「浴室乾燥機」は、防犯上から外に洗濯物を干したくない場合や、花粉症の人には重宝する設備です。しかし、既存の物件に設置するにはコストがかかります。そこで、もっと安価に設置できるのが、「室内物干し」用のフックです。ある不動産会社では、店内に室内物干しの実物を展示してあり、特に女性には好評だといいます。
ユニットバス自体は、こまめにクリーニングや補修をしたいところです。部分的にシャワーヘッドや鏡などを交換するだけでも効果があります。また、浴室内の壁も部屋のアクセントクロスのように、一部に色のついたパネルを貼るなどすればグレード感が高まります。

■トイレ

トイレの設備では、「温水洗浄便座」「節水型トイレ」があります。
「温水洗浄便座」は、もはや必須と言ってよいでしょう。内閣府の消費動向調査によると、一般世帯での普及率は76%(2013年度)で、トイレの水洗化を終えた一般家庭には、ほぼ普及したと推測しています。若年層は「温水洗浄便座」のある実家で育っているので、賃貸住宅に移り住んでも「温水洗浄便座」は当たり前という感覚かもしれません。
一方、「節水型トイレ」は利用経験率が14.7%と低く、まださほど賃貸住宅での必要性は感じられていません。

■キッチン

ランキングには「ガラストップコンロ」、ランキング外では「IHクッキングヒーター」「ビルトイン浄水器」「食器自動洗浄機」などがありました。これらは、分譲マンションでは標準装備です。家賃の高いファミリータイプの高級賃貸住宅でしたら、これらの設備投資は検討すべきですが、一般的な賃貸住宅の場合は、まだここまでは必要ないでしょう。
それよりも、キッチン全体が使いやすいか、清潔感が保たれているか、古さを感じさせていないかが大切です。特に新婚カップルをターゲットにした賃貸住宅なら、キッチンは大きなポイントになります。また、単身者でも幅が広めの2口コンロの人気が高くなっています。

水廻りの設備は経年と共に、古さや汚れが目立つところ。ポイントは清潔感が保たれているか。年数が経つと、古さで印象が悪くなる。リフォームするなら、キッチン、トイレがおすすめ。

通信設備─インターネット設備はどこまで必要?

通信設備も、よくランキングに入る設備です。
今回のランキングにも、「無料もしくは安価な高速インターネット接続」「BS/CSアンテナ」「無料もしくは安価なWi-Fi」「ケーブルテレビ」などが入っています。
よく“インターネット無料”をアピールする物件もありますが、実際はどの程度の効果があるのでしょうか。ランキングでは7位に入っていますが、これについては不動産会社でも意見が分かれるところです。携帯電話、スマートフォンの普及以来、通信事情は大きく変化し、これからも短いサイクルで変化していくことが予想されますので、設備面でこれらの変化に対応していくには、費用対効果をよく考える必要がありそうです。

例えば今の20代のライフスタイルを見ると、まず固定電話の普及率は11.9%(総務省・通信利用動向調査)であり、今後も減少していくでしょう。最近では、電話回線よりインターネット回線が必要ですが、ホームページの閲覧だけなら、スマートフォンでも済んでしまうので、必ずしも必要とも言い切れないようです。また、テレビも見なくなっています。スマートフォンでも見ることができるからです。同様に、「BS/CSアンテナ」「ケーブルテレビ」などの必要性も低くなるでしょう。
スマートフォン中心で考えると、「無料もしくは安価なWi-Fi」にメリットがありそうです。Wi-Fiを使えばスマートフォンの通信量制限の面で利用者にメリットがあるからです。設備的には、賃貸住宅用に有線ではなく、Wi-Fiの電波を飛ばす設備もあるようですが、現在はさほど普及していません。通信環境については、スマートフォンの各会社が新しい料金体系を頻繁に改定していますので、今後、また状況が変わるかもしれません。
通信環境は、個人個人で必要なものが変わりますので、最低限の回線さえ、用意していればいい、という不動産会社もいます。

その他、ネット時代を反映する設備に「宅配ボックス」が6位に入っています。ネットショッピングもコンビニで受け取れるなど、単身者向けサービスが充実していますが、「宅配ボックス」は、あれば喜ばれる設備です。設置スペースの問題もありますが、省スペースでも設置できる小型の宅配ボックスもありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

通信設備に関しては、必要な設備に個人差もあるので、最低限の設備があればよい。他にアピールポイントがない場合は、「インターネット無料」などの付加価値を付ける。

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