最近、テレビ番組やCMでも多く取り上げられる猫。今、飼い猫数の増加もあり、猫ブームと言われています。ペット飼育用品から書籍など関連グッズの売れ行きも好調で「ネコノミクス」なる言葉も生まれました。アパートにおいても、ペット共生型の賃貸住宅はキャンセル待ちが出るほどの人気です。猫ブームの背景とペット共生型賃貸住宅の特徴について解説します。
かつてはペットと言えば犬を思い浮かべる方が多かったと思います。実際に2011年の統計では、犬の飼育数は猫の飼育数の約1.2倍でした。しかし、最新の統計(2015年)によると、犬と猫の飼育数はほぼ半々となっており、猫を飼育する人が増えていることが伺えます。
理由は、飼育のしやすさ。猫は散歩に連れて行かなくていいし、飼育費用も半分近くですみます(一般社団法人ペットフード協会調べ)。共働きや高齢者が増え、手間のかかる犬の飼育数が減少したとみられています。また、猫は犬のように吠えないことから、アパートなどでは猫なら可としているケースも少なくありません。留守がちな単身者にも、猫は飼いやすいのでしょう。
この飼育数の増加は、関連グッズの売れ行きにも表れています。犬の場合は犬種によって好みが分かれ、飼っていない犬種への興味が薄いのですが、猫の場合はどの猫種であっても興味があるので、写真集やカレンダーは猫のほうが売れ行きがいいとのこと。
その他、映画、ドラマ、CMでのタレント猫や和歌山電鉄貴志川線貴志駅の駅長として親しまれた駅長猫などの人気にもブームが見て取れます。最近は、テレビのバラエティ番組でも猫が特集されるケースが増えたようです。これらの猫ブームは経済効果も大きく、平成27年の「ネコノミクス」経済効果はおよそ2兆3,000億円との試算もあります。ペット市場規模そのものが1兆4,000億円ほどですので、猫ブームの大きさが分かります。
さらには、猫付きマンションや猫付きシェアハウスも登場しました。こちらは、殺処分の恐れのある猫を保護することも目的の一つですが、保護した猫をマンションの入居者にレンタルするという形で提供します。引っ越す際には、里親として譲渡も可能だと言うこと。入居待ちが出るほどの人気です。
共働きや高齢者が増えたことで、飼育に手間のかからない猫がブーム。単身者でも猫は飼いやすい。
猫付きマンションでなくても、ペットの飼える物件はアパートでも人気です。
ただし、アパート経営という観点から見ると、外せないポイントがあります。それは、単なるペット可物件ではなく、“ペット共生型”賃貸物件であること。ペット共生型とは、始めから入居者がペットを飼う前提でプランニングされているということです。
よく空き室対策として一部の部屋だけペット可にすることがありますが、これは他の入居者とのトラブルの元となりやすく、出来るだけ避けたほうが良いでしょう。
ペット共生型賃貸住宅なら、入居者全員の価値観やライフスタイルが似ているので、仮に隣の犬が吠えたとしても、同じペット愛好家としての理解が得られやすいのです。他の入居者に気兼ねなく生活ができることが、ペットを飼っている入居者にとっては、非常に大きなメリットになります。旭化成の運営するペット共生型賃貸住宅には、分譲マンションから引っ越してきた人もいます。分譲マンションはペット飼育が許可されていても、飼っていない人への気遣いが意外に大変です。動物嫌いやアレルギーの人もいるので、どちらかというとペットを飼っていることで肩身が狭い思いをすることも多いようです。しかし、ペット共生型賃貸住宅では、そんな思いをすることはありません。
さらに、旭化成のペット共生型賃貸住宅では、賃貸住宅としては珍しいゆるやかなコミュニティが形成されるような仕組みを整えています。入居者同士が自然と顔見知りになり、どの部屋にどんなペットが住んでいるかを覚えられるように、入居者合同のしつけ教室の開催や、入居者専用ホームページの開設などの工夫が盛り込まれています。賃貸住宅では、隣に誰が住んでいるかも知らないケースが多いものですが、ペット共生型賃貸住宅は新しい賃貸住宅のスタイルをもたらしたとも言えるでしょう。
ペット共生型賃貸住宅には、ゆるやかなコミュニティが形成される。それが人気の秘密。
ペット共生型賃貸住宅の設備にはどんなものがあるのかハード面を見てみます。
・ドッグラン
敷地内にドッグランがあると入居者同士の交流スペースにもなります。スペースの問題もありますが、さほど広くなくても大丈夫です。
・ペット足洗い場
散歩帰りの足洗い場は、定番の設備です。
・ペットスペース
収納の下にペット専用の居場所を作ります。トイレスペースとしても活用できます。合わせてイオン発生機を設置し、部屋のペット臭を脱臭しています。
・フェンスドア
玄関や台所など、急なペットの飛び出しを防ぎます。
・ペットドア
ペットが部屋を自由に行き来できるように、ドアにペット専用の扉を設けています。
・壁クロス見切り
壁クロスに腰の高さで見切りを付けます。こうすることで、通常1面単位となるクロスの貼替えが、見切りの下だけの取替えですむので、メンテナンス費用が抑えられます。
これらの設備がペット共生型賃貸住宅の定番の設備と言えるでしょう。
また、ブームの猫に配慮するならば、壁の高所に猫が歩けるキャットウォークを設置すると喜ばれるでしょう。猫には部屋の広さよりも高さが必要だからです。このようなちょっとした工夫が、ペットと共に暮らす楽しさを演出するのです。
ペット共生型賃貸住宅には、飼育環境や生態に配慮した設備が必要。
ペット共生型賃貸住宅を成功に導くには、設備面と同様に重要なポイントがあります。
それは募集と管理です。ペット専門の不動産管理会社に依頼するのが、トラブルなく運営するために重要となります。
旭化成のペット共生型賃貸住宅では、ペット専門の管理会社と業務提携し、入居申し込み時には、専門スタッフがペットのしつけ状況をヒアリングします。また、定期的にしつけ教室やシャンプー講座のイベントを開催し、入居者が快適に暮らせるようにサポートします。入居者の参加率も高く、イベントを通じてコミュニティの持続性も高まり、賃貸住宅そのものに活気が出ると好評なようです。イベントなどの情報は入居者専用のホームページが用意され、しつけコラムなどの情報発信も併せて行われています。
これらの管理は、ペット専門の不動産管理会社でないとなかなかできません。一般的な不動産管理会社では、スタッフがペットの飼育に精通しているとは限りませんので、適切な対応ができず、トラブル等を未然に防ぐことが難しいのです。これも経営を成功させる大きな要因の一つとなります。
旭化成のペット共生型賃貸住宅入居者専用サイト「+わん+にゃん倶楽部」
ペット共生型賃貸住宅の供給状況は、ニーズがあるものの非常に物件数は少なく、稀少価値があります。犬の散歩に適した大きな公園や河川敷があるなどペット飼育に適した住環境があれば、バス便でも人気物件になるのがペット共生型賃貸住宅の強みです。
ペット共生型賃貸住宅成功の秘訣は、ペット専門の不動産管理会社による募集と管理。充実した入居者サポートが決め手。