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1人暮らしに最低限必要な賃貸住宅ニーズとは

入居者トレンド

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2018年3月20日

1人暮らしに最低限必要な賃貸住宅ニーズとは

賃貸市場の繁忙期も、いよいよ追い込みです。今回は、賃貸住宅の多数を占める単身者の賃貸住宅ニーズとはどんなものか? アットホーム(株)「1人暮らしの社会人が東京で幸せに暮らせるために必要な住まいの条件調査」(2017年11月発表)から探っていきたいと思います。

最低限必要な広さは25m2、間取りは1K

1人暮らしの賃貸住宅ニーズといっても、学生から若手社会人、中堅社会人、女性など多様化しています。中には交通の利便性のみを重視して、都心で駅近なら20m2以下の狭いワンルームでも良いとするニーズもあるでしょう。
しかし、バブルの頃に多く作られた20m2以下、3点ユニットのワンルームは、どの不動産会社に聞いても苦戦していると言います。東京で暮らす1人暮らしの社会人の実際のニーズはどうなのでしょうか?

■【家の広さ(延べ床面積)】分布 ■【間取り】分布

広さのボリュームゾーンは、25m2〜35m2未満でした。合わせて55.7%と半数以上がこのゾーンのニーズになります。
不動産会社の声を聞くと、平均25m2、中堅社会人ならば30m2あるのが望ましいと言います。今回の調査で注目したいのは、35m2未満が19.5%と2番目に多いことです。35m2は間取りにすると1LDKも可能な広さです。調査では、間取りのニーズも聞いていますが、広さと連動して1K 31.6%、1LDK 23.2%、1DK 16.8%がボリュームゾーンです。ここでも1LDKが2番目に多いことに驚かされます。1LDKというと、新婚向けの間取りとして人気ですが、単身者でも1LDKは使い勝手が良いようです。

年々、広さを求めるニーズが高くなっている実感はありますが、さらに広さを求める傾向は続いているようです。もちろん、30m2〜35m2だと家賃も高価格帯になり、ターゲットは中堅社会人となってきます。晩婚化の影響もあって40代、50代の入居者層も多く、この層は経済的にも余裕がありますので、35m21LDKのニーズに合致するでしょう。
既存の物件では広さを確保するのは難しいことですが、2Kの間取りを1LDKにリノベーションをするなど間取り変更で成功する例はあります。
一方、20m2未満も15m2未満と合わせると13.8%います。若手社会人などは、東京で暮らすには広さに贅沢は言えないかもしれません。狭い分、立地や設備などでニーズを満たすことになります。

理想の広さは25平米の1Kタイプ。35平米1LDKのニーズも高く、中堅社会人向けとして今後のニーズが高まる可能性がある。

築年数の許容範囲は大きい。ポイントはメンテナンス

アパート・マンション経営は長期の事業です。20年、30年もの間、安定して経営していくことが大きなポイントになります。しかし、築年数が古くなると、どうしても競争力が落ちてしまうのではという懸念があります。入居者は、どれくらいの築年数までならニーズがあるのでしょうか?

■【築年数】分布

古くても築何年までの賃貸住宅なら東京で幸せに暮らせるかの問いに対して、最も多かったのが20年〜30年未満で28.2%でした。40年未満も24.0%います。40年以上も合わせた場合、なんと築30年以上でも幸せに暮らせると思う入居者が40.5%もいることが分かります。
つまり、ほとんどの入居者は、意外にも築年数にはさほどこだわらないということです。よく築30年以上経つ物件は厳しいという声を聞きますが、今回の調査では築古物件でもしっかりニーズがあることが分かります。もちろん、新築物件には根強い人気がありますが、築年数そのものでは競争力に差は出ないといえるでしょう。

ただし、注意したいのは、この調査では物件を見て回答したのではない、ということです。築年数という単なる数字による回答です。つまり、築年数にこだわりがないのは、しっかりとメンテナンスが行き届いている場合に限ると考えたほうが良いでしょう。
さすがに築古物件では、水回りを中心に設備機器は古く、すでに何度か交換もしているでしょう。クリーニングだけでは落ちない汚れも出てきます。古くなったままの状態であれば、逆に築年数に関係なく、敬遠されてしまいます。

今は、リフォームやリノベーションによって幅広い対応が可能です。トイレ・ユニットバス・洗面台の3点ユニットを別々にしたり、押し入れをクローゼットにしたり、間取りの変更も可能です。最新の設備に交換しリフォームすれば、室内は新築とほとんど変わらなくなります。
近年ではリフォーム・リノベーションの業界も非常にクオリティーが高くなり、設備の他、クロスや床材など自由に選べるというメリットもあります。

例えば築30年の物件なら、ローン返済も終わっているでしょう。新たに費用を投資して、フルリフォームすることで、次の30年を見越すこともできます。しかし、そのためには、躯体そのものが強固でなければなりません。基本構造も十分考慮することが必要となってきます。

入居者は築年数そのものにはこだわらず、築30年以上でも許容できる。ただし、設備交換を含むリフォームがしっかりとできていることが条件。

ぜひ備えたい最低限必要な設備

人気設備は、さまざまな調査があります。このコーナーでも何度か取り上げていますが、東京で暮らす1人暮らしの社会人ではどうでしょうか?

■最低限必要な設備

上位の「エアコン」「独立したバス・トイレ」「インターネット回線」は、定番の設備です。築年数にはこだわりませんが、この条件がそろっていないと競争力は極端に落ちてきます。さらにインターネットは無料で、Wi-Fiの設備が整っていると競争力はアップします。
また「宅配ロッカー」も最近の人気設備では話題に上がる設備です。ネットショッピングの普及と共に必須の設備となりつつあります。郵便受けの下に設置できるような小型の宅配ロッカーもありますので、新しい設備投資として検討したいところです。

1人暮らしでも「2口以上のコンロ」「独立洗面台」「ウォークインクローゼット」が人気です。冒頭の部屋の広さとも関係する設備です。かつて、単身者にとって賃貸住宅は帰って寝るだけの場所という位置付けもありました。しかし、今は室内でのライフスタイルも充実させることが重視されています。
また、「追い焚き機能付きバス」や「浴室乾燥機」は、1人暮らしの家事を効率的に行うための設備ともいえます。ワークライフバランスという言葉が言われて久しくなりますが、オンオフ共に効率的で充実したライフスタイルを実現できる住まいのあり方が求められているのでしょう。

1人暮らしでも、充実したライフスタイルを実現できる住まいが、賃貸住宅にも求められている。設備の内容で差別化も生まれてくる。

自宅でゆっくり過ごす時間は、平均4時間27分。

長時間労働が問題視され、働き方改革が進んでいます。労働時間が短縮されれば、自宅でゆっくりくつろぐ時間が増えます。部屋の広さや設備などでもそれを満たすニーズが表れていましたが、あらためて時間の持ち方で考えてみたいと思います。

■【仕事がある日に、自宅でゆっくり過ごす時間】分布

"幸せに暮らすため、仕事のある日に自宅でゆっくりと過ごす時間"は「3時間以上4時間未満」が最も多く、27.1%でした。その次に多いのが「5時間以上6時間未満」で21.2%です。この時間を確保できるのは、ほとんど残業なしで帰宅するような生活スタイルだと思われます。設備の充実にも表れていましたが、自宅でゆっくりくつろぐためには、住まいの広さや設備なども、その欲求を満たすものでなければなりません。

労働時間の短縮は、現実的にはまだハードルが高そうにも思えますが、ワークライフバランスの充実は、時代の潮流といえます。かつてはワーカホリックなどという言葉もあり、早く家に帰ってもすることがない、休みの日も何をしていいか分からない、という人も多く見られました。しかし今後は、いかに生産性を上げてプライベートな時間を確保するかという動きが広がるでしょう。

また、働き方改革が柔軟に進めば、在宅勤務なども多くなることが予想されます。そうなると、ちょっとしたデスクスペースがあるなど仕事スペースの確保も念頭にした部屋作りが必要になってきます。
ライフスタイルが変われば、設備や部屋のニーズも変わってくるでしょう。ライフスタイルの変化を見極めながら、1人暮らしのニーズを満たす賃貸経営が求められてくるのです。

平日でも自宅でゆっくり過ごす時間が必要。そのニーズを満たすための部屋作りが、求められる。

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