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住みたい街ランキングの比較で見る郊外の人気エリア

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2021年10月19日

住みたい街ランキングの比較で見る郊外の人気エリア

コロナ禍での在宅ワークの推進などで、東京圏では郊外の人気が高まっています。「住みたい街」のランキングから、ニーズを探ってみたいと思います。「住みたい街」のランキングは、さまざまな不動産関連会社から発表されます。各社、集計の違いもあり、必ずしも一致はしませんが、ランキングを比較しながら動向を探ってみたいと思います。

東京都は転入超過が大きく減少

まずは、転入者数から転出者数を差し引いた数「転入超過数」について見てみます。
東京圏1都3県の転入超過数の推移、コロナ前の2019年度とコロナ禍の2020年度の比較です。
東京都の転入超過は1万人を下回り大きく減少しました。年齢で見ると、東京都では20歳~39歳で減少が多いとのことです。その他、千葉県はやや増加、埼玉県、神奈川県は、コロナ禍による転出入の変化はほぼありませんでした。

東京都からの転出を見ると、近隣の埼玉県、神奈川県、千葉県へと流れているようです。
コロナ禍で在宅ワークが進み、通勤時間を気にすることがなくなったことや、ニューノーマルと言われる新しいライフスタイルへの価値観が、郊外の人気を高めました。
コロナ禍を機に、東京一極集中から郊外へ、と人口動向の大きな転換点になるとも見られています。

■転入超過の推移-2019年度と2020年度の比較

コロナ禍で東京都への一極集中が緩和され、郊外へと人の流れが変化している。

「住みたい街」ランキング比較で見る郊外人気

郊外人気の高さを"住みたい街"のランキングで見てみます。住みたい街ランキングは、さまざまな不動産会社などから発表されていますが、調査対象やコンセプトの違いから、顔ぶれは若干変わっています。

今回取り上げるのは、まず、不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」の「借りて住みたい街2021年」です。以前、コロナ禍の5カ月間の集計で発表され、話題となりましたが、今回は2020年の1年間のデータです。調査は賃貸物件の実際の検索・問い合わせ数から算出した「実際に探されている街・駅」のランキング結果です。
郊外人気を象徴したのが1位の「本厚木」です。新宿まで快速で約52分。駅周辺は商店街やショッピングモールもあり、買い物には困りません。子育て支援が手厚く、ファミリーに人気です。その他、「大宮」、「葛西」、「八王子」、「千葉」、「柏」といった郊外の街がランキングされています。どの街も郊外とはいえ、大きな街で駅周辺は大型商業施設などがあり、賑わいを見せています。

次に、「SUUMO住みたい街ランキング2021」です。こちらは関東に居住している人を対象に実施したWEBアンケートの集計結果です。ランキングを見ると、あこがれとして住みたい街の傾向が強いように思われます。ランキングの顔ぶれは、ほとんど変わらず、都心の街が中心です。

そして、住宅ローン会社の「ARUHI」が調査した「本当に住みやすい街大賞2021年」。「本当に住みやすい街大賞は、理想ではなく、実際にその地域で"生活する"という視点から選定した」とあり、住環境・交通利便・教育環境・コストパフォーマンス・発展性の5つの基準から選定しています。つまり、あこがれとしての住みたい街ではなく、リアルに居住エリアとして考えているということです。
「辻堂」、「千葉ニュータウン中央」といった郊外、「有明テニスの森」、「大井町」といった都心が混在しています。注目は、郊外というほど遠くはない1位「川口」、2位「大泉学園」、7位「小岩」です。山手線の主要駅まで約20分弱の距離。今、この距離のエリアが注目され、今後、人気が高まっていくと見られています。

■東京圏/住みたい街ランキング比較

また、近畿圏、中部圏の住みたい街ランキングも紹介します。
こちらは、職住近接のニーズが高く、コロナ禍でもそのニーズは大きくは変わらないようです。

■近畿圏・中部圏/住みたい街ランキング比較

東京圏では、住みたい街ランキングからも郊外人気が伺える。あわせて、都心へ20分圏のエリアも人気が高まっている。

人気上昇の郊外の家賃相場

実は郊外人気は、コロナ前からじわじわと人気が高まっていました。このコロナ禍で人気に拍車がかかったといえます。
では人気の高いエリアの家賃相場はどうなのか、アットホームのサイトから直近1年間(2020年9月~2021年9月)の大宮、川口、小岩、本厚木の賃貸マンションの家賃相場の推移を見てみます。間取りは1DK~2DK。広さを求める単身者から新婚、若いファミリーが主なターゲットです。

■賃貸マンション家賃相場の推移 1DK~2DK(アットホームより)大宮/川口

数年前から人気が出始めていたのが、大宮、川口です。大宮は池袋まで約25分の距離、新幹線の駅でもあり、埼玉県内でも最大級の繁華街を有する街。家賃相場は川口よりも、やや高めです。今年、繁忙期を過ぎた4月以降も高値で推移しています。

川口は池袋まで乗り換えを含めて約17分。「本当に住みたい街」では2年連続の1位です。通常、家賃相場は繁忙期の3月を過ぎると下落するのですが、川口は繁忙期を過ぎても上昇しています。都心に近く、再開発で活性化している街で、家賃相場の値頃感から人気が出ています。

■賃貸マンション家賃相場の推移 1DK~2DK(アットホームより)小岩/本厚木

小岩は江戸川区ですが、その一つ先の駅は千葉県の市川駅です。秋葉原駅まで約17分、東京駅まで約19分。昨年末に家賃は一旦上昇し、繁忙期にかけて落ち着きましたが、また上昇し始めています。川口同様、再開発で街がきれいになり、家賃の値頃感から人気が出ています。

本厚木は、「借りて住みたい街」で1位になり注目を集めました。まさに、郊外エリアで、新宿まで約50分の距離です。本厚木駅南口の再開発に続き、北口も再開発が進行中で、駅前の繁華街は賑わっています。自然も多く、子育て支援も手厚いので、子育てファミリーに人気のエリアです。家賃相場は、年末にかけていったん下がりましたが、再び上昇しています。繁忙期を過ぎても、根強い家賃相場になっています。

再開発で街がきれいになり、家賃の値頃感のあるエリアの人気が高く、家賃相場も堅調に推移している。

都心の人気エリアの家賃相場

今後、郊外人気がいつまで続くのかは、在宅ワークがどこまで定着するかが一つのポイントだと見られています。最近では、労務管理の面などで在宅ワークの限界も懸念されており、オフィスワークが戻ってくれば、住まいも都心回帰が進むという見方もあります。ただ、このコロナ禍で生まれたニューノーマルなライフスタイルも一定の人気は維持し、郊外を含めた住まいの多様化が進むでしょう。

郊外が注目されますが、都心部の人気エリアも、そのニーズは衰えていません。人気エリアの家賃相場を見てみましょう。都心部の池袋、横浜は、単身者ニーズの1R~1Kの家賃推移を見てみます。

■賃貸マンション家賃相場の推移 1R~1K(アットホームより)池袋/横浜

池袋は「借りて住みたい街」ランキングでコロナ前には4年連続で1位でした。横浜は「住みたい街」ランキングで4年連続1位です。どちらも、日本最大級の繁華街ですので、居住エリアのイメージはないのですが、最近は居住エリアとしても再開発が進み、人気を継続しています。単身者向けの家賃は、繁忙期を過ぎても下落することなく、高値を推移しています。また、ファミリー向けの2LDK~3DKの家賃相場も高値で堅調に推移しています。

次に都心部ではありませんが、人気のエリア吉祥寺、たまプラーザを見てみます。どちらも、住みたい街ランキングでは、必ずランキングされる人気エリアです。コロナ前からずっと人気は衰えません。間取りは1DK~2DKです。

■賃貸マンション家賃相場の推移 1DK~2DK(アットホームより)吉祥寺/たまプラーザ

吉祥寺は繁華街としても居住エリアとしても、人気が高いエリアです。新宿まで約16分。特に若い世代に人気で、学生の街でもあります。1DK~2DKの家賃相場は、今年に入ってから上昇を続け、高値圏で推移しています。

たまプラーザは神奈川県青葉区。渋谷まで、約25分。洗練された街づくりと緑豊かな住環境で人気です。「本当に住みやすい街大賞」では6位でした。たまプラーザのある東急田園都市線は、他の沿線と比較しても人気は高く、家賃相場は堅調に推移していることが見てとれます。

都心部の人気エリアも、単身者、ファミリー向けともに家賃相場は堅調に推移している。郊外も都心部も人気のエリアは、家賃相場は上昇傾向。

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