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消費税増税でアパート経営はこう変わる

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2013年8月 6日

消費税増税でアパート経営はこう変わる

景気回復の兆しが見えてきた日本経済ですが、今後このまま実体経済は回復へと向かうのか、それとも減速してしまうのか、経済環境の変化に目が離せません。国内に関していえば、最大の懸念材料といえるのが、いよいよ来年に迫ってきた消費税の増税です。もちろんアパート経営にとっても大きな影響があります。改めてアパート経営における消費税増税の影響と対策について、考えてみたいと思います。

なぜ消費税増税が必要なのか?

今年に入って、アベノミクスの期待感から景気回復が見え始めていますが、ここにきて来年実施予定の消費税増税が水を差すのでは、という声も少なくありません。
そもそもなぜ、今、消費税増税が必要なのでしょうか?もう一度おさらいします。

日本は、東日本大震災からの復興を目指しつつ、景気回復、そして財政再建に取り組んでいます。日本の財政で最も多くの支出を伴うのが、毎年1兆円規模で増え続けると言われている社会保障費です。少子高齢化の加速で、年金、医療費は今後もふくれ上がるばかりです。そこで、考えられた対策が「社会保障と税の一体改革」です。社会保障費の財源として税収アップを必要としたのです。

「社会保障と税の一体改革」は2011年に改革案ができ、2012年国会で可決されました。主な内容は、消費税の引き上げで、その税収を社会保障費に充てるというものです。消費税引き上げは2段階で行われ、そのスケジュールは次の通りです。

●平成26年 4月1日より 消費税を5%から8%に引き上げ。
●平成27年10月1日より 消費税を8%から10%に引き上げ。


ただし、消費税引き上げには、条件があります。
「経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率引き上げの前に、経済状況等を総合的に勘案した上で、消費税率の引き上げの停止を含め所要の措置を講ずる」というもので、今年の秋に、実施するかどうかが決められます。
先に述べた通り、ここにきて景気の腰折れを心配する声もありますが、日本の財政状況はまったなしの状況です。ここで、消費税増税を見送れば、世界から日本は本気で財政再建をする気がないと見られ、見放されてしまうでしょう。
やはり、消費税増税は予定通り、実施されると見るのが妥当でしょう。

日本の財政再建のためにも消費税増税は避けて通れない。予定通り実施されると見るのが妥当。

消費税3%アップ、5%アップでどの程度影響するのか?

もちろん、消費税の引き上げは日々の生活に大きな影響を及ぼします。特に高額商品は総額が大きく違ってきますので、いわゆる駆け込み需要が起きるのです。
そしてアパート経営の場合はさらに深刻です。どの程度の影響が出てくるのか。単純計算しても以下の通りです。

■建築費1億円の賃貸住宅を建てた場合の消費税
■建築費1億円の賃貸住宅を建てた場合の消費税
これは一括で支払った場合で、消費税5%から8%で300万円の差額になります。建築費を全額ローンにする場合は、30年返済で金利2.0%とすると金利を含めて400万円の負担になります(30年固定金利、30年後完済の場合の返済総額の差)。
一般的な話をすると、消費税という税金は文字通り消費者が負担するものです。では事業者にとってはどうでしょう。増税は消費者の購買意欲に影響しますので、売上には影響が出てきますが、事業の上では、消費税そのものは預かり金なので、いくらになろうが収支には影響しません。
アパート経営も事業なのですが、消費税を家賃に付けることはできませんので、消費税分も全額建築費として負担することになり、収支にそのまま影響することになります(駐車場賃料、テナント・事務所使用は消費税がかかります)。

アパート建築費の消費税は、家賃に転嫁できないため、増税分は、そのままオーナーの負担が増えることになる。

アパート建築の契約日に注意!

アパート建築にとっては、大きな影響のある消費税増税ですが、消費税適用のスケジュールに注意しなければなりません。
不動産のような「工事の請負に係る契約」の場合は経過措置がとられ、建物の引き渡しが平成26年4月1日を過ぎていても、契約が半年前なら消費税は現行の5%が適用されるというものです。つまり、今年の9月30日までに契約が済んでいれば、引き渡し日が平成26年4月1日を過ぎても消費税は5%が適用されるということです。
同じように、その次の消費税アップのスケジュールに対しても平成27年3月31日までに契約すれば、建物の引き渡しが10月1日を過ぎても消費税は10%ではなく8%が適用されます。
実は、すでにアパート建築でも駆け込み需要が始まっています。そうなると実際の着工が伸びて、経営スタートも遅れてしまいます。平成9年の消費税が3%から5%に上がったときも、契約して完成まで1年半から2年以上かかる事態も発生しました。
また、昨今の場合、消費税増税と併せて懸念されるのが借入金の金利が上がることです。景気が回復すれば、セオリーとしては金利も上昇していきます。
消費税の改正を機に、アパート建築を考えているオーナーの方も多いかと思いますが、税額を気にするなら早めの対応が必要となってきます。

■消費税増税の適用期限 建築請負契約の場合
消費税増税の適用期限 建築請負契約の場合

アパート建築の場合、消費税5%を適用させるには今年の9月30日までに請負契約を済ませておく必要があります。

消費税だけじゃない、アパート建築費用の負担増

消費税以外にもアパート建築費用の負担をアップさせる要因がいくつかあります。

その一つが、建築資材、人件費です。昨今の社会情勢により、円安、復興需要などが進行し、建築資材、人件費の値上がりが予想されています。
さらに、金利が徐々に上昇傾向を見せ始めています。これも、ローンによるアパート建築の場合、大きな負担を強いられることになります。これらの負担増は、アパート建築後の経営収支を圧迫することになりかねませんので、注意が必要です。

今後、アパート建築については、計画、建築、経営開始のタイミングが重要になります。タイミングを逃さないように、社会情勢にも注意して計画されることをお勧めします。

景気の好転によっては、建築資材や人件費の値上がり、ローン金利の上昇なども予想される。それらの状況を踏まえたアパート建築計画が重要。

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