2006年12月14日

各 位
旭化成ファーマ株式会社
旭化成メディカル株式会社
株式会社クラレ
クラレメディカル株式会社

透析事業および血液浄化事業の統合について

 旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:大江 啓)の100%子会社の旭化成メディカル株式会社(本社:東京都千代田区  社長:吉田 安幸)と株式会社クラレ(本社:東京都千代田区 社長:和久井 康明)の100%子会社のクラレメディカル株式会社 (本社:東京都千代田区 社長:堀井 秀夫)は、両社の透析事業と血液浄化事業を統合することについて基本合意しましたのでお知らせします。
 今後、公正取引委員会の事前相談を経て、詳細検討を進めていく予定です。
 
1. 事業統合の背景と経緯
   透析および血液浄化事業は、国内外の患者数の増加と医療環境の 整備が進む中、日本発の優れた医療技術領域として大きな発展が期待されています。
 両社は本年6月、医療用中空糸膜の製造・開発技術の融合、発展を目指し、EVOH (商標:エバール)中空糸膜を 共同生産するA・Kメンブレン製造株式会社(本社:宮崎県延岡市 社長:日吉 辰夫)を設立しました。 さらに今後の医療用中空糸膜技術の向上と製品競争力の強化を図るためには、より一層の事業の一体化が必要と判断し、 今回の事業統合に関する基本合意に至りました。
   
2. 事業統合の目的
   旭化成メディカル(株)は、特に低分子量タンパクの除去性能の高い 世界標準の高性能膜のポリスルホン(商標:APS)中空糸膜とセルロース中空糸膜技術を、クラレメディカル(株)は、 優れた生体適合性で特に導入初期や高齢者に優しいマイルド透析のEVOH中空糸膜技術を有しています。 両社は今回の事業統合により、透析および血液浄化分野の事業基盤を強化しトップメーカーの地位を確固たるものとし ていきます。
 今回の事業統合の狙いは下記のとおりです。
   
  (1)医療用中空糸膜技術で世界をリードすること
   世界的に患者数増加が続く透析治療、難病治療分野で発展が期待される血液浄化治療(アフェレーシス治療)において、両社の医療用中空糸膜の技術とノウハウの融合により、より安全かつ有効な治療効果をもたらす次世代製品開発を加速させ、世界の医療技術の進歩に貢献することを目指します。
   
  (2)患者様のQOL向上に寄与する最適治療デバイスを提案、提供すること
   高齢化の進展、生活習慣病の増加とともに、原疾患、病態、年齢、生活スタイル等の多様化に適応した「患者本位の最適治療」が求められる中、両社製品の補完・相乗効果により、各医療機関の治療方針に適った患者様のQOL(Quality of Life)向上に役立つ透析・血液浄化治療デバイスを提案、提供することを目指します。
   
  (3)日本トップメーカーとして、グローバル競争基盤を強化すること
   事業統合による技術・市場シナジーに加えて、重複業務やSCM(Supply Chain Management)の効率化等の統合メリットと、今後さらに「優れた製品・情報・サービス」を提供し続け、医療に携わる方々からの信頼と満足を獲得できるよう、研究開発、設備投資、安定生産、品質管理、学術・営業活動の質的向上を目指します。
   
3. 統合会社の概要
 
社名: 旭化成クラレメディカル(株)
事業開始日: 2007年10月1日予定
資本金: 未定
出資比率: 旭化成ファーマ(株)85%、クラレメディカル(株)15%
代表者: 未定(代表取締役社長は旭化成メディカル(株)より選任)
本社所在地: 東京都千代田区
事業内容: 透析および血液浄化治療製品の開発・製造・販売
製造拠点: 延岡(宮崎県延岡市)、大分(大分県大分市)、中国(浙江省杭州市)
売上目標: 500億円(2010年度) (初年度年間換算約400億円)
従業員数: 約1,400名
販売拠点: 日本、米国、欧州、中国、韓国
   
4. 統合スキーム
 
旭化成メディカル(株)は統合対象事業(透析・血液浄化事業)を残し、社名を旭化成クラレメディカル㈱に変更する。同時に統合対象外の事業は新たな会社を設立し、この会社に承継させる。
    注:統合対象外の事業– 旭化成メディカル(株)のセパセル事業(輸血用白血球除去フィルター)とプラノバ事業(ウイルス除去フィルター)
クラレメディカル(株)は統合対象事業を分割し、旭化成クラレメディカル㈱に統合する。
    注:クラレメディカル(株)の歯科材料事業は統合対象外
上記統合により両社折半出資のA・Kメンブレン製造(株)は旭化成クラレメディカル(株)の100%子会社となる。なお、同社は統合以後、旭化成クラレメディカル(株)が吸収合併する予定
  ※「エバール」はクラレメディカル(株)の商標であり、「APS」と「プラノバ」は旭化成メディカル(株)の商標です。
     
≪ご参考≫
〔会社概要〕
  旭化成メディカル株式会社の概要
 
代表者: 吉田 安幸
設立: 1974年7月24日
資本金: 8億円(旭化成ファーマ(株)100%出資)
※旭化成ファーマ(株)は、持株会社旭化成(株)の100%出資会社。
本社: 東京都千代田区神田美土代町9-1
工場: 延岡工場(人工腎臓向け中空糸膜製造他)、大分工場(人工腎臓他組立加工)、中国工場(浙江省杭州市 人工腎臓組立加工)
主要製品: 人工腎臓、血液浄化関連製品、輸血用白血球除去フィルター、ウイルス除去フィルター等の開発・製造・販売
売上高: 401億円(2006年3月期)
従業員数: 約1,700名(2006年3月末)
   
  クラレメディカル株式会社の概要
 
代表者: 堀井 秀夫
設立: 2001年6月21日
資本金: 25億円((株)クラレ100%出資)
本社: 東京都千代田区大手町1-1-3
工場: 倉敷事業所(人工腎臓向け中空糸膜、歯科用接着材・充填用レジン製造他)
主要製品: 人工腎臓、血液浄化関連製品、歯科用接着材・充填用レジンなどのメディカル関連製品の開発・製造・販売
売上高: 128億円(2006年3月期)
従業員数: 約340名(2006年3月末)
       
〔用語解説〕
1. EVOH樹脂(商標:エバール)を用いた中空糸膜
  (株)クラレが世界に先駆けて事業化したEVOH樹脂 (エチレン・ビニルアルコール共重合体)を使用した中空糸膜。生体適合性に優れ、活性酸素の産生および炎症反応が抑えられると評価されている。
2. ポリスルホン(商標:APS)中空糸膜  
  ポリスルホン樹脂を使用した中空糸膜。 β2-MGなどの低分子量タンパクの除去性能が高く、また生体適合性および抗血栓性に優れている。
3. セルロース(商標:ベンベルグ)中空糸膜
  「ベンベルグ」繊維等セルロースを使用した中空糸膜。親水性のため、 蛋白質、血球の付着が少なく、性能の経時劣化が少ない。
4. 透析(人工透析)
  血液を体外に誘導し、中空糸膜(人工腎臓)を介して血液と 透析液を接触させ、本来尿中に排出される尿素、クレアチニン、尿酸などの老廃物を除去して浄化された血液を体内に戻す 療法(透析治療)。この療法を行う際の血液と透析液を接触させるための半透膜を容器に組み込んだものが人工腎臓 (ダイアライザー)である。
素材としてはセルロース系(再生セルロース、セルローストリアセテート)、 合成高分子系(ポリスルホン、EVOH、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート等)がある。
5. 血液浄化治療(アフェレーシス治療)
  血液浄化器を使用する血液浄化治療(療法)は、 薬剤等の内科的治療のみでは困難な肝不全や膠原病等の患者に適用される血液浄化に関する療法や治療システムで、 血漿中に存在する病因物質等を体外循環により除去する療法である。血液浄化器の素材としては合成高分子系中空糸膜 (ポリスルホン、EVOH、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン等)、吸着材,不織布等がある。


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