2007年6月4日
各 位
旭化成ケミカルズ株式会社
旭化成ファインケム株式会社
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新規機能性モノマー、ビニルスルホン酸「VSA-H」の工業化・発売について
~世界で初めて高純度・量産化技術を確立~
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旭化成ケミカルズ(本社:東京都千代田区 社長:藤原 健嗣)の100%出資子会社である旭化成ファインケム株式会社(本社:大阪市西淀川区 社長:森山 直樹)は、スルホン酸基を有した最小のビニルモノマーであるビニルスルホン酸の高純度・量産化技術を世界で初めて確立しましたのでお知らせします。「VSA-H」の商品名で6月11日(月)より発売いたします。
「VSA-H」は高純度なノンナトリウム塩型スルホン酸モノマーとして、従来のナトリウム塩型スルホン酸モノマーで対応が困難であった電子材料分野などへの展開が期待される製品であり、2011年度には3億円の売上高を目指します。
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1.背景
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スルホン酸モノマーは、一分子中に重合性二重結合とスルホン酸基をもつ構造で、アクリル繊維の染色改良、機能性ポリマーの親水性・水溶性・分散安定性向上用途などに使用されています。近年では、電子材料分野や燃料電池の高分子電解質膜などのエネルギー分野での検討もすすんでいます。しかし、ナトリウムなどの金属イオンの同伴や不純物の混入が製品性能に影響を及ぼすため、ノンナトリウム塩型の高純度スルホン酸モノマーが求められていました。
一方当社は、スルホン酸モノマーメーカーとして独自のスルホン化技術を核にした製品群を有し、これまでの知見と重合制御技術を活かし、電子材料分野への展開を目指しています。このたび、自社製品ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液(N-SVS-25)の製造技術を応用し「VSA-H」の開発に至りました。 |
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2.「VSA-H」の特長
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スルホン酸基は類似の機能を有するカルボン酸基よりも強イオン性であり、イオン交換性能、分散性、水溶性、親水性、導電性などで高い効果が認められています。今回量産化技術を確立した 「VSA-H」は、既存のスルホン酸モノマーに比べ下記の特長を有しています。 |
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VSA-H |
既存のスルホン酸モノマー |
構造 |
ビニル基とスルホン酸基のみから構成されている最小のスルホン酸モノマー。 |
スルホン酸基以外の官能基を有するタイプが多い。 |
金属イオンの同伴 |
ノンナトリウム塩型(フリー型、H型)であり、ポリマーにナトリウムイオンが同伴されない。 |
ナトリウム塩型製品が多く、ポリマーにナトリウムイオンが定量的に同伴される。 |
使用効果 |
シンプルな構造なため、副反応が起きにくく、製品の劣化抑制が期待できる。
高純度のため、ポリマー製品の精製が容易である。 |
他の官能基や不純物の影響で、複雑な精製を要したり製品劣化が懸念される。 |
溶解性 |
親溶媒性で各種有機溶媒下での使用が可能である。 |
水には溶けやすいが有機溶剤に溶けにくい物が多い。 |
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高純度で副反応や製品劣化の可能性も少ない「VSA-H」は、技術の高度化が進む電子材料、燃料電池などの分野で貢献できるものと考えております。 |
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3.「VSA-H」製品情報 |
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(1) |
製品名: |
VSA-H |
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(2) |
化学名: |
ビニルスルホン酸 (Vinyl Sulfonic Acid) |
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(3) |
化学式: |
CH2=CH-SO3H |
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(4) |
CAS No. 1184-84-5 |
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4.販売計画 |
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(1) |
販売開始 |
2007年6月11日(月) |
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(2) |
販売目標 |
2008年度:1億円 |
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2011年度:3億円 |
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<ご参考> |
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1.旭化成ファインケム株式会社の概要 |
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(1) |
社 長 |
: |
森山 直樹 |
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(2) |
設 立 |
: |
1960年12月 |
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(3) |
資本金 |
: |
1億7500万円(旭化成ケミカルズ(株)100%出資) |
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(4) |
本 社 |
: |
大阪市西淀川区福町1丁目8-7 |
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(5) |
工 場 |
: |
開発製造所:大阪市西淀川区、延岡製造所:宮崎県延岡市 |
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(6) |
従業員数 |
: |
約140名(2007年3月末) |
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(7) |
売上高 |
: |
31億9600万円(2007年3月期) |
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(8) |
事業内容 |
: |
機能化学品の製造販売
-樹脂添加剤、医薬中間体・原体、電子材料用原料、他 |
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