2009年2月6日

各 位
旭化成ホームズ株式会社



温風や冷風を出さず心地よい室内環境をつくる住宅用冷暖房
“開放型循環方式に対応した冷暖房輻射パネル”の開発

 

 旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:波多野 信吾)は、三協立山アルミ株式会社(本社:富山県高岡市、代表取締役社長:川村 人志)と共同して、開放型循環方式による冷暖房システムとの接続が可能な「冷暖房輻射パネル」を開発しました。輻射冷暖房は、温風や冷風を出さずに心地よい室内環境をつくる住宅用冷暖房であり、今回の輻射パネルの開発により更なる普及が期待されます。
現在市販されている輻射パネルを用いた冷暖房システムは、スチール製やアルミ製の配管に直接冷温水を流す方式が多く、冷温水の循環回路を密閉して酸素の供給を遮断する「密閉型循環方式」がほとんどでした。密閉型のシステムは、設計や施工に精度が求められるために高い専門性を要する点や、防錆不凍液のメンテナンスが必須となるためにメンテナンスコストが高い点などが普及を阻害していました。
これに対して当社が開発した輻射パネルは、冷温水を流す架橋ポリエチレン管をアルミパネルに挟んだ構造となっています。接水部を樹脂化することにより錆や腐食の心配をなくし、関東以西で広く普及している「開放型循環方式」の床暖房システムなどとの接続を可能としました。これらにより低価格、軽量、高耐久性とメンテナンスの容易さ、などの特徴を備えています。
 
1.開発の背景
   当社では、真の快適性と住環境の関係を追究するための産学共同研究会「ひとと住環境研究会」を平成18年4月に設立し、ひとの「こころ」と「からだ」にとっての健康で心地よい暮らし方について研究してきました。これに関連するテーマとして、冷暖房システムのあり方などについての研究も行い、平成20年9月には快適な睡眠を実現するための寝室用冷暖房システムとして、旭化成せんいの三次元立体編物「フュージョン」を利用した冷暖房システムの開発などの成果を得ています。今回の開発も、このような研究の一環と言えます。
床暖房やパネルヒーターなどの輻射暖房は、エアコンなどの対流暖房のような温風が直接当たることによる不快感がないというメリットがあります。「ひとと住環境研究会」で座長を務める武蔵工業大学環境情報学部・大学院環境情報学研究科の宿谷 昌則教授の研究によると、冷暖房の快適性を考える場合、対流冷暖房よりも輻射冷暖房の方が重要と言われます。今回の開発は、このような研究成果を踏まえて、輻射冷暖房システムの見直しを行ったものです。
現在市販されている輻射冷暖房システムはほとんどが密閉型循環方式であり、コストが高いことや、設計や施工に高い精度が求められるなど、一般の住宅において広く普及するための課題が残されていました。また、輻射冷房は、室温を下げることを目的とするエアコンなどの対流冷房とは異なり、自然の通風を入れながらの冷房にも適しています。当社が提案してきた自然の恵みを生かす住まいづくりの中で、個人の住宅における今後の普及が期待されます。
 
2.輻射パネルの特徴
   今回開発した輻射パネルは、スチールやアルミなどに直接冷温水を流すものではなく、アルミパネルに架橋ポリエチレン管を挟んだ構造となっています。そのため錆や腐食の心配がないので、密閉型ではなく開放型循環方式での利用が可能となります。
 
  (1) 低価格
    架橋ポリエチレン管を挟んだアルミ製パネルということでのコストダウンとともに、開放型による冷温水循環回路の施工費の低価格化が図られました。90センチメートル幅×天地丈の輻射パネルを、既存の密閉型循環システムにより設置した場合の販売価格が一般的に70万円~100万円程度となるところ、本システムの輻射パネルでは1/2~1/3程度に抑えられる見込みです。
 
  (2) 軽量
    架橋ポリエチレン管を用いることによりパネルの軽量化が図られ、大人二人で運べるようになりました。一般的に90センチメートル幅×天地丈の輻射パネルの重量はスチール製のもので100キログラム程度ですが、本システムの輻射パネルでは約56キログラムです。
 
  (3) 高耐久性、メンテナンスの容易さ
    冷温水を流す循環回路が架橋ポリエチレン管のため錆や腐食のおそれがなく、防錆処理など循環系統のメンテナンスは不要です。
 
  (4) 意匠性
    本パネルは、単なる設備機器としてではなくインテリアの一部としてデザインされており、意匠性にも優れております。そのため寝室などの個室や水廻りだけでなく、LDKなどにも設置しやすくなっています。
 
  (5) 多様な熱源との組み合わせ
    輻射パネルに流す冷温水の熱源は、エコキュートなど既存システムのヒートポンプ熱交換器を想定しています。開放型循環方式であるためオール電化、TESシステム、弊社オリジナル地中熱利用冷暖房システムなど多様な熱源との組み合わせが考えられます。
 
3.今後の展開
   平成19年から既にモニター邸や試験棟などでの実証試験をしておりますが、今後は特に冷房効果などについての検証を更に進め、今秋頃を目処に当社商品ヘーベルハウス新築の際に選択できる設備仕様としての商品化を目指します。
なお、本システムを利用した冷暖房システムとして、株式会社長府製作所(本社:山口県下関市、取締役社長:川上 康男)でも商品化が予定されております。
 
【輻射パネル設置例】
(画像はウェブサイト http://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/ にてダウンロードできます。)
 
以上
 

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