1.開発の背景 |
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全世界でCO2排出量削減が求められるなか、わが国の家庭部門におけるCO2排出量は年々増加傾向にあり、この部門での削減が喫緊の課題となっています。一般的に住まいのLCCO2において、生活エネルギーの占める割合は非常に大きく7割から8割を占めるといわれています。
当社では平成16年4月より、住まい方を通じて日常生活で消費するエネルギーの削減を支援するエコ生活支援ウェブサイト“EcoゾウさんClub”の運営を開始し、住まい手の生活の仕方とCO2排出量との相関について知見を深めてきました。しかし、さらに削減効果を高めるためには、具体的にどこに無駄があるのか、また自分の取った行動に削減効果があるのかを判断できるように、リアルタイムに見える化することが重要であると考えます。また、この取り組みは継続して実行することが大切ですので、より容易に取り組みを続けやすいシステムとすることが重要です。これらの点を踏まえ、平成17年9月より本システムの試行を重ねてきました。 |
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2.システムの構成(ヘーベルタウン上大岡の場合) |
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3.システムの特長 |
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電気・ガス・水道・発電量を表示可能な総合システム |
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電気・ガス・水道のエネルギー使用量や光熱費を各種別に、CO2排出量は3つの全体量を、同一のモニターに表示する総合的なシステムです。さらに、太陽光発電システムや家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)を設置した場合は、その発電量や月間売電量・料金も同一のモニターに表示可能です。 |
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(2) |
リアルタイム表示で「いま、その時」の省エネ・環境行動を喚起 |
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表示の基本コンセプトとして、ただ漫然と利用した量を表示するだけでは削減行動を喚起することはできないと考え、表示方法を累積グラフとし、「現在のグラフが過去値(目標)グラフを上回らないように生活する」という視点を強調しました。例えば時間別では前週の同曜日同時間、日別では前年同月同日の消費量を過去値(目標)として、削減行動の動機付けになるような表示としています。これは、累積をせずに単位時間ごとの消費量を表示するグラフでは、どの時間(日)に消費が多かったのかという点は振り返りやすくても、「今、その時」の省エネ・環境行動を起こすための動機付けにはなり難いと考えたからです。 |
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【モニター表示画面構成】 |
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(画像はウェブサイト http://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/ にてダウンロードできます。) |
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(3) |
EcoゾウさんClubとの連携 |
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EcoゾウさんClubは、当社がウェブサイト上で平成16年に運営を始めた、誰でも無料で入会できるエコ生活支援サイトです。電気・ガス・水道の使用量などを入力することで、エネルギー消費量やCO2排出量が自動計算で表示されます。会員間の比較ランキングやゲームポイントなどの機能も備え、特に子供を中心に家族で楽しみながら省エネ活動が促進されることを狙いとしたものです。この取り組みは、平成16年度の地球温暖化防止活動環境大臣表彰を受けました。
今回開発したシステムでは、このEcoゾウさんClubとの連携設定を行うことで、同クラブへの入力作業を自動化することができます。同クラブにおける比較情報が加わることで、自分自身のエネルギー消費状況に対する相対評価が可能となり、ゲーム感覚的な競争意識も生まれ、楽しみながら省エネ活動へのモチベーションアップが期待されます。 |
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4.今後の展開について |
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本システムの中核となるものは、市販の廉価な小型Linux(リナックス)サーバーに搭載されたソフトウェアです。今回、「ヘーベルタウン上大岡」に設置するディスプレイについては各家庭のパソコンを使用していますが、今後新築部門での仕様化に向けて、専用モニターを含めた周辺機器の選定などを進めていきます。
当社では、本システムの普及を通じて、お客様が当社のEcoぞうさんClubにインターネット接続をしていただくことで、供給した住宅における各家庭の生活エネルギーの使用状況や省エネ行動に関するデータを自動的に収集することが可能となります。これは当社の商品開発に際して、環境に配慮した住まい方提案の強化に繋げることができるものと考えています。
また、本システムは、各家庭のモニターと小型サーバーを介してインターネットに接続されることで、当社とユーザーを直接結ぶ有効なコミュニケーションツールとしても機能する可能性があるため、様々なサービス展開も検討してまいります。 |
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以上 |
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