2008年5月30日

各 位
旭化成クラレメディカル株式会社



EVOH中空糸紡糸工場の竣工について
 

旭化成クラレメディカル株式会社(本社:東京都千代田区 社長:吉田 安幸)では、EVOH樹脂を用いた人工腎臓および血漿成分分離器向け中空糸膜紡糸工場(EV工場)の新設工事を宮崎県延岡市で行ってまいりましたが、本日、竣工しましたのでお知らせいたします。
 
 
1.EV工場の概要
  (1) 名 称 旭化成クラレメディカル EV工場
  (2) 場 所 宮崎県延岡市
  (3) 生産品目 EVOH樹脂を用いた中空糸膜
(人工腎臓用中空糸、血漿成分分離器用中空糸)
  (4) 投資額 約26億円
  (5) 工 期 2006年8月着工、2008年5月竣工
  (6) 生産能力 260万本/年(2008年6月より生産開始予定)
 
2.工場新設の背景
 EVOH中空糸膜の人工腎臓は優れた生体適合性で特に導入初期や高齢者に優しいマイルド透析として高い評価をいただいております。
 このたび竣工した工場は、2006年6月に当時の旭化成メディカル株式会社とクラレメディカル株式会社との共同出資でA・Kメンブレン製造株式会社を設立し、EVOH樹脂を用いた中空糸膜工場の新設工事を進めていました。A・Kメンブレン製造株式会社は、昨年10月の旭化成メディカル株式会社の透析事業・血液浄化事業とクラレメディカル株式会社の透析事業の統合に伴い、統合会社である旭化成クラレメディカル株式会社の100%子会社となったことから、事業統合と同時に吸収合併されました。
 当社は人工腎臓分野では、特に低分子量タンパクの除去性能が高く、世界的にも主流となっている高性能のポリスルホン(商標:APS)中空糸膜を有しております。今回のEV工場の竣工により、EVOH中空糸膜が製品のラインアップに加わり、両製品の補完・相乗効果を生かした各透析施設における最適な治療方針の対応が可能となります。また、アフェレシス(血液浄化療法)分野では、適用疾患拡大により、二重濾過血漿交換療法(DFPP)に使用される血漿成分分離器の需要が高まっており、これに対応した安定供給を実現いたします。
 今後も当社は各医療機関の治療方針に適った患者様のQOL(Quality of Life)向上に役立つ透析・血液浄化の治療システムを提案、提供し、この分野のトップメーカーとして世界の医療技術の進歩に貢献することを目指します。
 
<ご参考>
旭化成クラレメディカル株式会社の概要
  (1) 代表者 吉田 安幸
  (2) 設 立 1974年7月24日
  (3) 資本金 8億円(旭化成ファーマ(株)93%、クラレメディカル(株)7%出資)
※旭化成ファーマ(株)は、旭化成(株)の100%出資会社
  (4) 本 社 東京都千代田区神田美土代町9−1
  (5) 工 場 延岡工場(人工腎臓向け中空糸膜製造他)、大分工場(人工腎臓他組立 加工)、
中国工場(浙江省杭州市 人工腎臓組立加工)
  (6) 従業員数 約1,500名(2008年3月末)
  (7) 主要製品 人工腎臓、血液浄化(アフェレシス)関連製品等の開発・製造・販売
 
【用語解説】
1.EVOH樹脂を用いた中空糸膜
  株式会社クラレが世界に先駆けて事業化したEVOH樹脂(エチレン・ビニルアルコール共重合体)を使用した中空糸膜。生体適合性に優れ、活性酸素の産生、炎症反応が抑えられると評価されている。
 
2.ポリスルホン中空糸膜
  ポリスルホン樹脂を使用した中空糸膜。B2-MGなどの低分子量タンパクの除去性能が高く、また生体適合性及び抗血栓性に優れている。
 
3.透析(人工透析)
  血液を体外に誘導し、中空糸膜(人工腎臓)を介して血液と透析液を接触させ、本来尿中に排出される尿素、クレアチニン、尿酸などの老廃物を除去して浄化された血液を体 内に戻す療法(透析治療)。この療法を行う際の血液と透析液を接触させるための半透膜を容器に組み込んだものが人工腎臓(ダイアライザー)である。 素材としてはセルロース系(再生セルロース、セルローストリアセテート)、合成高分子系(ポリスルホン、EVOH、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート等)がある。
 
4.血液浄化療法
  血液浄化器を使用する血液浄化療法は、薬剤等の内科的治療のみでは困難な肝不全や膠原病等の患者に適用される血液浄化に関する療法や治療システムで、血漿中に存在する病因物質等を体外循環により除去する療法である。 血液浄化器の素材としては,合成高分子系中空糸膜(ポリスルホン、EVOH、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン等)、吸着剤,不織布等がある。
 
5.二重濾過血漿交換療法(DFPP)
  体外に取り出した血液を血漿分離膜により血球成分と血漿成分に分離した後、分離された血漿を血漿成分分離器を用いて病因物質等を分離除去し、アルブミン等の有用なタンパクを患者さんに戻す治療法です。
 
以上
 

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