2010年3月2日

各 位
旭化成ケミカルズ株式会社


高濁度原水に対応した新型浄水用浸漬式膜の販売開始について
〜当社従来製品に比べ最大30%の透水性能アップを実現〜
 

 旭化成ケミカルズ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:坂本 正樹)は、アジアをはじめとした原水濁度が高い地域での拡販や砂ろ過逆洗排水の回収などの新しい用途を開拓すべく、新たに高透水型浸漬式膜モジュール(製品名:「マイクローザ UHS-620A」)を開発しこの度販売を開始しましたので、お知らせします。
 当社では、当社の主力製品である加圧式膜モジュールに今回発売の新型浸漬式膜モジュールを製品ラインナップに加え、浄水用分離膜の分野での世界トップシェアを目指します。
  砂ろ過法の浄水設備において、目詰まりを防ぐために砂などのろ材を定期的に洗浄する際に出る排水。
 
1. 背景
   水処理用途の分離膜には、低濁度原水に適性のある加圧式膜モジュールと高濁度原水に適性のある浸漬式膜モジュールの2つのタイプがあり、一般的には低濁度用途を中心に膜の導入が進んできました。当社の水処理膜「マイクローザ」も、比較的良好な原水を対象として、加圧式膜モジュールで既に世界中の浄水設備において600箇所以上の採用実績があり、トップクラスのシェアを有しています。
 一方、高濁度原水に対しては浸漬式膜モジュールが適していますが、凝集沈殿+砂ろ過などの従来法と比べ、経済性の点で不十分でした。当社でも、2005年に浸漬膜の販売開始以降着実に採用実績が増えつつあり、多くの面で他社膜との優位性が実証されていますが、その採用は限定されていました。
 今回、独自の高次ネットワーク構造のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製中空糸膜を改良し、更に高透水化し経済性を高めた新型の浸漬膜モジュールを開発しました。この新型の高透水型浸漬式膜モジュールの発売により、今後市場拡大が期待される原水濁度が高いアジア地域や、砂ろ過逆洗排水回収などの新しい高濁度用途をターゲットとして、更なるシェアアップと市場拡大を目指します。
 
2. 特長
   今回販売を開始した新型の高透水型浸漬膜モジュール(製品名:「マイクローザ UHS-620A」)は、以下のような特長を有します。
  (1) 濁度が高く、また濁度変動が大きい原水に対してもろ過安定性に優れます。
  (2) 従来から定評のある高次ネットワーク構造のPVDF膜に改良を加えることにより、小孔径化(0.08μm)を図りながら当社従来製品に比べ20%〜30%の透水性アップを実現しました。
  (3) 当社独自の充填率の高いモジュール及びラック構造の採用により、当社加圧膜ユニットと比べ約半分の省スペースを実現できます。
  (4) 高濁度への耐性から逆洗排水の排出頻度及び排水量を低減することができ、水の利用率を高めるとともに、排水処理の負荷も軽減できます(95〜99%の回収率。当社加圧膜モジュールと比べ4〜5%高い)。
 
3. 販売計画
   これまで、原水濁度が高いために膜の採用が限定されていたアジア地域における浄水設備での拡販や、砂ろ過逆洗排水回収などの新規用途での採用を目指します。すでに中国では受注が進んでおり、その他韓国をはじめとしたアジア地域においても、10万m3/日を越える複数の大型ろ過設備への導入が計画されています。
 
<ご参考>
1. 加圧式膜モジュールと浸漬式膜モジュールについて
   加圧式膜モジュールは、低濁度原水に対して優れた透水性能を発揮し、またハンドリングが容易などの特長があります。一方、浸漬式膜モジュールは、濁度が高く水質変動が大きい原水でもろ過安定性に優れ、また設置面積の点でも加圧式に比べ優位性があります。
 
<加圧式膜モジュール>   <浸漬式膜モジュール>  
加圧式膜モジュール   浸漬式膜モジュール  
     
2. 浄水用浸漬式膜モジュールの主な納入実績
 
国名 水量(m3/日) 稼動年 用途 備考
日本 1,400m3/日 2007年 工業用水処理 従来型浸漬膜
中国 10,350m3/日 2007年 中水回収 従来型浸漬膜
日本 4,000m3/日 2008年 工場排水処理 従来型浸漬膜
中国 10,800m3/日 2008年 工場排水回収 従来型浸漬膜
中国 16,300m3/日 2009年 工場排水回収 従来型浸漬膜
スリランカ 6,500m3/日 2009年 水道浄水 従来型浸漬膜
韓国 2,500m3/日 2009年 工業用水処理 従来型浸漬膜
中国 20,000m3/日 2010年 下水回収 従来型浸漬膜
中国 7,200m3/日 2010年 中水回収 UHS-620A
中国 6,500m3/日 2010年 工場排水回収 UHS-620A
     
 
 
以上
 

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