1. 背景 |
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建物の基本性能を長期にわたって維持し続けるためには部材の交換や補修など様々なメンテナンスが必要ですが、部材ごとにバラバラに交換・補修を行うと手間が煩雑になりトータル費用も高くなってしまいます。当社は「ロングライフ住宅の実現」を事業戦略ビジョンに掲げた平成10年に、建物の耐用年数を60年とした「メンテナンスプログラム」を策定し、定期的・計画的に集中してメンテナンスを行うことができる環境を整えました。
メンテナンスプログラムを策定するにあたって、それまでは耐用年数12~13年程度であった外壁防水塗装の仕様を15年耐久塗装に変更し、基本性能に関わるメンテナンスを60年間のうち15・30・45年目の合計3回だけに集中して行える仕様としました。更に平成19年1月には新仕様「ロングライフコート」を採用して、外壁防水塗装の耐用年数を15年から30年まで一気に延ばし、メンテナンスプログラムも60年間のうち30年目に1回だけのメンテナンスで済むように改訂しました。
外壁防水性能については、上記のように30年長期耐用化してきましたが、30年という長い期間には土埃の付着や雨筋汚れ・煤汚れなどのために美観を損なうことが考えられます。特に幹線道路沿いなど汚染負荷の高い地域では、美観維持のために外壁の高圧洗浄などのメンテナンスの手間や費用が発生していました。このような外壁汚れの防止には、太陽光と雨を利用したセルフクリーニング効果を持つ「光触媒コーティング」が効果的です。
しかし、従来からあった光触媒塗装には、当社建物の30年耐久外壁防水塗装の上塗りに適する30年耐久の光触媒塗装が存在しませんでした。また、建物の耐用年数が60年という長期になると、途中で再塗装できる現場施工が前提となりますが、従来から存在した現場施工光触媒塗装は施工品質の確保が非常に難しいものばかりでした。そのため、30年耐久という高耐久で、現場施工が容易なタイプの光触媒塗装の開発が望まれていました。 |
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2. 超高耐久型光触媒コーティングの特徴 |
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(1) 光触媒塗装で初めての耐用年数30年という高耐久性 |
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従来からあった一般的な光触媒塗装は耐用年数が15年程度以下のものが多く、当社の建物外壁防水塗装ロングライフコートの耐用年数30年と同等以上のものは存在しませんでした。つまり、30年周期のメンテナンスプログラムにおいて推奨できる光触媒塗装が存在しないという状況でした。
今回の光触媒コーティング「デュラ光」は、業界初となる耐用年数30年の高耐久型なので、メンテナンスプログラムで予定される30年目の計画的メンテナンス時期まで性能が持続し、途中で高圧洗浄や再塗装など余分な手間や費用をかけることなく建物外壁の美観を保つことができます。 |
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(2) 光や雨があたりにくい箇所でも防汚効果を発揮 |
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一般的な光触媒塗装は、光触媒が日照を受けることで「分解力」と「親水性」が生まれます。これにより、壁面に汚れが付着することを防ぐ「防汚効果」と、光があたらない時に一旦付着した汚れも、光があたった時に分解して雨が降った時に自動的に洗い流す「セルフクリーニング効果」を発揮します。逆に言えば、光や雨があたらない箇所では光触媒塗装の機能は発揮されないということになります。
これに対して「デュラ光」は、光触媒と親水物質とを組み合わせたハイブリッド設計となっており、日照があたらなくても常に親水性を保つために静電気を帯びにくく、汚れを付着させにくいという特性があります。つまり、北側面や軒下など光や雨があたりにくい箇所でも、優れた防汚効果を発揮します。 |
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(3) 将来的な再塗装も可能な施工品質の高い現場塗装工法 |
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サイディングの外壁材などに見られるような、工場で外壁に塗装した状態で建築現場に搬入される光触媒塗装は、将来的なメンテナンスの際に同じ素材・同じ工法での再塗装は困難となります。しかし、建物の耐用年数が60年という長期にわたり、その間に外壁材そのものの交換はしないと考えると、途中で再塗装できる現場施工が必要となります。
「デュラ光」は建築現場での吹き付け塗装による施工のため、築30年目のメンテナンス時期に全く同じ工法での再塗装が可能であり、当社の標榜するロングライフ住宅の耐用年数である60年間を通して外壁の美観を維持することができます。しかも「デュラ光」は、外壁防水塗装の上に直接吹き付ける1コート(1層だけの塗装)施工であるため、保護層を下塗りする2コート塗装の光触媒コーティングでは困難であった施工中の視認性向上を実現したので、塗りムラなどを生じる心配がなく高い施工品質が確保されます。 |
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以上 |
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