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1. プロジェクト展開の背景 |
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現在、日本社会は少子化・高齢化に直面すると同時に、グローバル経済の大きな変化への対応を迫られる中、高齢者居住支援、若年世代の子育て支援、共働き世帯支援、地域コミュニティー再生、生活エネルギーの削減による環境負荷低減など、私たちの生活スタイルと価値観に直結する課題が頻繁に社会的にクローズアップされるようになっています。このような背景から長期優良住宅普及促進法が本年施行され、建物自体の長期耐用化については各社とも積極的な取り組みを展開していますが、住宅の長期使用を前提とした上での家族のあり方や地域との係わり方など「暮らし」のあり方に対する提案や啓蒙活動の一層の展開が必要と当社では認識しています。
また、環境問題への取り組みにおいては、居住分野におけるエネルギー消費量削減は喫緊の課題であり、太陽光発電設備や省エネ機器の普及が進みつつありますが、一方で、本来どのような室内居住環境を目指し、どのように暮らすのかという視点からのアプローチが不足していると思われます。
当社ではこのような認識に基づき、もう一度住生活分野におけるライフスタイル提案の強化を図る必要性が高まっていると判断し、住生活研究30周年にあたる本年、これらの研究成果を蓄積している住生活総合研究所を「くらしノベーション研究所」と改称し、30年にわたる住生活研究の成果に新たな視点を加えて、戸建住宅にとらわれない住宅分野共通の住ソフト提案を、新たに「くらしノベーション」ブランドとして積極的に発信していくことに致しました。 |
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2. 「+NEST」の概要 |
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本年5月に住生活総合研究所が行った調査報告「家族の生活時間」において、子育て期の家族は生活リズムのズレが大きく、一緒に過ごすことが困難な状況であり、主婦の生活時間のバランスも同時期に大きく変化し、夫や子供の支援も欠かせない状態となることが浮かび上がりました。同研究所では、この結果を踏まえ「家族の生活時間の合理化による、コミュニケーション時間の確保は困難である」という前提を立て、「時間を創り出すのではなく、その時間の質を変える」ことで「子育て期に家で過ごす時間を楽しめる、住まいの工夫を導く」ことを目的とした「子育て家族の暮らしと住まい調査」を企画・設計し、本年2月~3月に実施しました。
今回の生活提案「+NEST」は、この結果に基づき、家事・子育てなどの削ることの出来ない生活時間を、家族・友人との楽しいコミュニケーションの時間に変えることのできる住まいのあり方として、「ペニンシュラキッチン」「+NEST空間」「家族ロッカー」「室内物干しコーナー」の4アイテムを導入した暮らしを提案するものです。 |
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(1) 家族の揃う貴重な時間「朝だんらん」を演出する「ペニンシュラキッチン」 |
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今回の調査の結果、家族の揃う唯一の時は、朝食の時間であることが浮き彫りとなりました。父親は残業で帰宅時間は遅く、子供も成長と共に塾や習い事などで、家族が食卓に集う時間は減少しています。「朝だんらん」とは、夕食時のように時間をかけてくつろぐものではなく、家族誰もが忙しい一日の始まりの時間に、家族皆で集まって家事協力を行いながら家族・親子のコミュニケーションを実現するものです。そのために、当社では家族皆が周りを囲み、朝食準備や後片付けを手伝いやすいオリジナルのペニンシュラキッチンを用意しました。広々としたカウンタートップ、ダイニング側の背面からも水栓が使える新型シンク、ナイフやフォークなどのカトラリー類を収納できるダイニング側収納など、貴重な「朝だんらん」の時間を演出するアイテムです。 |
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(2) 夫・子供の帰宅シーンを改善し、それぞれの自立と会話の促進を促す「家族ロッカー」 |
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帰宅に伴う衣類や鞄などの道具類の放置は、子供・夫ともに多く、主婦の悩みの種となっています。玄関とLDの間に各自の専用ロッカーを設け、「毎日使うものをまとめ、出かける時には必要なものを自分で持ち出し、帰った時には自分でしまう」習慣を身に付けさせることで、出しっぱなし、掛けっぱなしを解消し、主婦の片付ける手間をなくします。同時に子供たちに自分のものは自分で管理するという自立性を促すとともに、朝、子供と父親が一緒にロッカー前で身支度をする際のコミュニケーションを導く効果もあります。また、一列に並んだ家族それぞれの専用ロッカーであることから、その扉を各人のメッセージボードとして利用できるようにしてあり、一層のコミュニケーション促進に役立つ工夫をしてあります。 |
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(3) 家族が別々のことをしながらもつながる「+NEST空間」のあるLD |
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当社では、子供の成長と住まいのあり方が世間の耳目を集めた平成14年に、子育て期家族のコミュニケーションをテーマとした「ヘーベルハウス へそのある家」を発売しました。これは、自社にて「リビングライフ調査」「子どもと住まい調査」を実施し、子育て世代におけるコミュニケーションに配慮したLD空間のあり方を提案したものでした。調査結果では、現在の住まいではLDKという場所を核として多様な営みが行われており、子供の学習場所についても小学生の8割近く、中学生でも約3割がLDで最も多く勉強を行っており、親・子ともに時間を共有でき、コミュニケーションを図ることのできる場所への想いが強いことが明らかになっていました。
その後、子供の学習と住まいの関係が取りざたされた平成19年、LDの一角に「こもり感」「安心感」「自立感」を備えた子供の学習コーナー「NEST空間」を設ける設計提案を東京エリアで試行販売し、お客様から多数の共感をいただきました。今回実施した「子育て期家族の暮らしと住まい調査」において、この学習コーナーが勉強以外の様々な生活シーンでも有効であることを確認し、新たに「+NEST空間」としてデスクタイプとタタミタイプの2タイプを用意しました。これにより、生活リズムがバラバラでも、「+NEST空間」を核に家族が緩やかに心地よくつながることができるLDを提案しています。 |
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(4) 夜洗濯に対応し、家族で協力し易い「室内物干しコーナー」 |
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本年5月の調査報告「家族の生活時間」において、子育て期の専業主婦世帯の半数、共働き世帯の約8割は夜洗濯を行うという興味深い調査結果がでています。これからの子育て期の住まいでは、夜の物干し場所の計画は必須ともいえそうです。室内物干しコーナーは、「じゃまにならず、人にみられず、よく乾く」場所であり、家族の生活動線上にあって気が付いた人が取り込んだり、自分の衣類を畳んだりできる場所に設けます。 |
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3. キャンペーンの展開と今後の計画について |
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全国のモデルハウスにて、「+NEST」発売フェアを展開(12月) |
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家庭教師のトライなどを通じて、生徒宅にキャンペーン告知ツールを配布 |
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雑誌とのタイアップセミナーの開催を計画(来春予定) |
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当社の分譲マンション「アトラス」シリーズに採用住戸を設定 |
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アトラス品川大井(10月に即日完売) |
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アトラスタワー茗荷谷(販売中、平成23年竣工予定) |
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【+NEST プロトタイプ平面図】 |
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(画像はウェブサイトhttp://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/にてダウンロードできます。) |
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【+NEST アイテム群】 |
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・家族の揃う貴重な時間「朝だんらん」を演出する「ペニンシュラキッチン」 |
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オリジナルペニンシュラキッチン |
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生活シーンイメージ |
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・夫・子供の帰宅シーンを改善し、それぞれの自立と会話の促進を促す「家族ロッカー」 |
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家族ロッカー外観 |
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家族ロッカー内観 |
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生活シーンイメージ |
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(ダウンロードできます。) |
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・家族の居場所とつながりながら子供の学習や家族の多目的空間となる「+NEST空間」 |
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生活シーンイメージ |
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「+NEST空間」デスクタイプ |
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「+NEST空間」タタミタイプ |
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(ダウンロードできます。) |
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・夜洗濯に対応し、家族で協力し易い「室内物干しコーナー」 |
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生活シーンイメージ |
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室内物干し金物 |
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以上 |
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