1. 開発の背景 |
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旭化成ホームズは、1975年に初めて「二世帯住宅」というコンセプトを発表し、「二世帯住宅」のパイオニアとして高い評価をいただき、その後も「二世帯住宅研究所」を中心に、家族社会学や心理学的視点から各種の生活実態調査を行うことで、多くの研究成果を得てきました。親子の同居スタイルは、時代とともに移り変わります。当社では、既に同居をしている家族の意識の変化を継続的に調査してきました。その結果、少子高齢化が急速に進展するなかで、「同居」を選択する理由として「家事・育児協力への期待」が増加傾向を示しており、実際に子供を親世帯に面倒見てもらっている子世帯が増加していました。また、親世帯側の意識も、孫の教育には極力口を出さないという姿勢から、孫の成長のために積極的に関与する方向も見て取れ、親世帯・子世帯ともに同居により孫の成長に良い影響を与えることができるという認識が高まっています。また、結果として親世帯の暮らしも明るく会話も増えたという評価もされています。
現在、少子高齢化の急速な進展に対応した、高齢者居住の安定や女性の就業支援、子育て支援が社会的テーマとなりつつあることも踏まえ、住まいのあり方から提案する今回の商品が、一つの方向性となることを期待しています。
また現在、住宅ストックの活用が政策的テーマとなっておりますが、既存住宅において更新されるべき住宅ストックがまだ多く存在し、その住まい手が高齢化を迎え、高齢者世帯のみの居住となることでストックの更新が進展し難い状況になりつつあります。今回の提案が、この問題についても新たな切り口の一つとなることを願っています。 |
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背景の詳細については、「くらしノベーション研究所」による「二世帯同居における『孫共育』」調査報告書をご覧ください。 |
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2. 新・二世帯住宅「i_co_i」の概要 |
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(1) 「孫共育」を実現する提案 |
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今回の新・二世帯の提案は、「孫」の存在を軸に新たに親・子・孫の世代間のつながりを「孫共育」をキーワードとして展開しています。 |
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1) 孫共育ゾーニング |
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これまでの自立志向に注目した二世帯同居では、住宅のあり方として世帯ゾーンをいかに分離するかがテーマとなっていました。今回の提案では「孫共育」を実現するために、子世帯が不在の時は、親世帯と孫が一つの世帯のようなくらし方が可能となるように、孫共育ゾーンを親世帯と子世帯の中間に位置させる新たな二世帯住宅のゾーニングを提案しています。 |
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2) 2×NEST(ダブルネスト)の設置 |
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子供の勉強場所は、子世帯の妻がフルタイム勤務の場合には約7割が親世帯のLDを中心とした空間となり、専業主婦やパート勤務の場合にも実に約4割が親世帯で勉強しているというデータがあります。昨年末に「くらしノベーション」第一弾として発売した子供の居場所空間の提案である「+NEST」空間(プラスネスト)を親世帯にも設置する「2×NEST」(ダブルネスト)を提案します。限られた空間において多用な用途をまかない、落ち着いた茶の間風の設えとなる床上げタタミタイプの「+NEST」空間を親世帯側には推奨します。 |
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<親世帯タタミタイプ「+NEST」空間> |
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<子世帯「+NEST」空間> |
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3) 共用玄関または親世帯玄関近くに設置する「孫ロッカー」 |
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当社の調査によると、親世帯・子世帯の玄関が独立している二世帯住宅において、子世帯がフルタイムの共働き世帯の場合は、孫の8割以上が親世帯に帰宅しているという事実が判明しています。更に、親世帯が子世帯に行く目的では「放置された孫の私物を持っていく」という回答が上位を占めています。そこで当社では、玄関を共用する場合は共用玄関に、玄関を独立させる場合には親世帯の玄関近くで子世帯への動線上に「孫ロッカー」を設置し、孫のランドセルや遊び道具などの私物を自主的に収納できる設えとすることを提案します。 |
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孫の帰宅に伴う衣類や鞄などの道具類を「毎日使うものをまとめ、出かける時には必要なものを自分で持ち出し、帰った時には自分でしまう」習慣を身に付けさせることで、出しっぱなし、掛けっぱなしを解消し、親世帯の片付ける手間をなくします。同時に孫たちに自分のものは自分で管理するという自立性を身に付けさせることにつながります。 |
<孫ロッカー> |
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(2) 「孫共育」を軸にした世帯間の自立・交流・協力を促し、同居生活を楽しむためのさまざまな提案 |
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今回の提案は、「孫共育」を軸に世代をつなぐ提案ですが、二世帯同居に伴う気兼ね・気苦労に代表されるデメリットには、充分な理解と対策が必要です。当社ではこれまでの二世帯住宅の実績から、多くのノウハウを提供しています。これに加えて、新たに同居を考えるにあたって、デメリットの解消と共に自立しながらも積極的に同居を楽しみ、世帯間の自立・交流・協力を促す住まいの工夫が大切であると考え、多くのアイテムを提案いたします。 |
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1) 家族で囲む食卓の歓び(親世帯または共用のLDKの設えへの提案) |
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世帯の交流を考える上で、食事の場所は大変重要です。子世帯の父親の帰宅は比較的遅い時間となり、共働き家族の場合には親世帯と孫だけでの夕食が多くなります。息子夫婦同居・娘夫婦同居など同居の形態により融合への志向は異なりますが、いずれにせよ同居する家族が揃って食事をすることは、同居を楽しむ上での重要なふれあいの場となります。
今回、親世帯または共用の食事の場所に、おのずと二世帯で食事を楽しむ場が増えるような提案をいたします。具体的には、家族全員がゆとりを持って食卓を囲める「ビッグテーブル」を設け、鉄板焼きや鍋料理を楽しみ易くするために、食卓の上に照明と一体となった換気扇を用意しました。また、キッチンセットについては、大勢がキッチンを囲んで家事協力を楽しめるペニンシュラキッチンの設置を推奨します。 |
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<家族が集うビッグテーブル> |
<照明と一体となった換気扇> |
<ペニンシュラキッチン> |
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2) 自然を介してつながる歓び(庭・屋上といった外部空間への提案) |
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家族の交流を考える上で、四季の訪れや植物・生物とのふれあい、近隣とのつながりなどの視点からも外部空間の構成は大切な要素となります。
敷地にゆとりがあれば、彩る(視覚)、香る(嗅覚)、触れる(触角)、実る(味覚)、奏でる(聴覚)という要素をそれぞれテーマとした5つの庭を提案する「五感の庭」を提案します。四季の訪れを告げる花々や鳥の声を楽しみ、孫と親世帯の会話もふくらみます。もちろん家族総出の草むしりも大事なイベントとなります。
また、中庭プランニングを行う場合には、「ウッドデッキ」を設置することで、都市においてもプライバシーを確保しながら二世帯そろってのバーベキューや休日のブランチを楽しむことができます。
敷地が限られた場合でも、「屋上ベランダ菜園」を設置することで、孫と一緒に手をかけて野菜を育て、収穫する喜びを分かち合い、食物の大切さを伝える食育の場として機能します。 |
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<屋上・ベランダ緑化システム> |
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<中庭に設置されたウッドデッキ> |
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3) くつろぎ、ふれあい、助け合う歓び(親世帯または共用の浴室への提案) |
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幼児期の孫は誰かと一緒にお風呂に入るのが楽しみです。大きなお風呂はバスタブも洗い場もゆったりと大きめで、のんびりふれ合いを楽しめます。また、浴室乾燥暖房機とセットで設置されるミストサウナは、子育て中のお母さんの心身の疲れを取り除き、全身浴より体への負担が少ないことから健康やお肌のコンディションが気になる親世帯にもお勧めです。バリアフリーな大きなお風呂は、親世帯の高齢化に伴い入浴介助が必要になったときも安心です。 |
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<ビッグサイズのユニットバス> |
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<ミストサウナ> |
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4) 収納計画への配慮 |
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基本的に上下階で住み分けることが多い二世帯同居において、世帯間をつなぐ階段室は中間ゾーンとなることが多くなります。そこで提案するのが新たに開発した「デュアルクローゼット」。階段室と隣接する位置に上下2段に分けた収納スペースを設け、上段は階段室の踊り場から使用し、下段は1階の世帯が使用することができる大型収納です。上下階を行き来する孫のおもちゃや寝具などの道具を、踊り場から出入りする上段に収納することで、親世帯と子世帯のどちらも使い易く効率的に収納できます。
また、親世帯に設けることを推奨している床上げタタミタイプの「+NEST」空間は、床上げ空間を利用した大型収納が設置可能で、孫の雑多な道具類も素早く収納することが可能です。 |
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<新たに開発したデュアルクローゼット> |
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<タタミタイプ「+NEST」に設置した大型収納> |
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階段下の扉から床下げした階段下部空間全体を利用する下段と、踊り場から利用する上段に分けた効率的な収納スペースの新提案 |
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5) 洗濯家事への配慮 |
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共働き家族の夜の洗濯はかなり一般化した家事スタイル。室内物干しがあれば時間や天気を気にせず洗濯ができます。また、急な降雨などで親世帯に洗濯物の取り込みをお願いするにも、ベランダからひと続きの物干しコーナーに簡単に取り込んでおいてもらえます。 |
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<ベランダに隣接する室内物干しコーナー> |
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6) 親世帯加齢への配慮 |
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今は元気なアクティブシニアの親世帯も、いずれ老化は避けられません。ヘーベルハウスは高齢期に備えた加齢配慮設計・設備システム「AICS(Asahikasei Independent & Comfortable System)」で万全の備えを提供します。また、親世帯には寝室につながる位置に水まわりをレイアウトし、トイレと洗面を仕切らない「ワンルームサニタリー」の設置を提案します。また、玄関アプローチについても、介助車椅子での上り下りが可能な奥行き90cm以上で段差を10cm以下とした「ワイドステップ」とすることを提案します。 |
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<ワイドステップ> |
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<ワンルームサニタリー> |
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4. 商品概要 |
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構 造 |
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各商品シリーズにて対応 |
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本体価格 |
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今回提示のプロトタイプで本体価格4,230万円(消費税込み) |
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販売地域 |
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関東、東海、関西、山陽の一部、九州北部 |
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販売目標 |
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(年間)1,600棟 |
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発 売 日 |
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2010年5月1日 |
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【2×NEST(親世帯側:タタミタイプ)】 |
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【プロトタイプ外観】 |
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(画像はウェブサイトhttp://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/にてダウンロードできます。) |
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【プロトタイプ平面図】<キュービックタイプ> |
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2階平面図 |
R階平面図 |
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1階平面・配置図 |
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以上 |
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