1. 背景 |
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旭化成グループでは、医療関連事業を重点成長領域の一つと位置付け、積極的な事業拡大を図っています。この戦略に則り当社では、バイオプロセス事業の拡大を進めており、バイオ医薬品※3や血漿分画製剤※4といった生物学的製剤の製造工程で広く使用されるウイルス除去フィルター「プラノバ」※5の製造・販売に加え、米国子会社である旭化成バイオプロセス社において、バイオプロセスの装置・システム・サービス事業を展開しています。
近年、バイオ医薬品の需要は大きく伸びており、今後も伸び続けることが予想されています。一方で、このバイオ医薬品の製造工程では、細胞培養液から細胞や不純物をより効率的に除去・分離し、清澄化して、より高品質なろ液を得るための高性能な部材へのニーズが高まっています。
このニーズに対応するため、当社では、旭化成グループの持つ中空糸を中核とした分離膜技術を活かしたバイオプロセス用分離材の開発を進め、この度、細胞培養液のろ過に用いられるポリスルホン中空糸膜「BioOptimal MF-SL」を開発し、販売開始に至りました。 |
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2. 「BioOptimal MF-SL」の特長 |
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「BioOptimal MF-SL」は、細胞培養液からの細胞除去・分離及び清澄化に最適のフィルターで、次のような特長を有しています。 |
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(1) |
タンジェンシャルフロー(クロスフロー)ろ過※6により効果的にろ過を行い、その後の工程に掛かる負担を低減することが期待されます。 |
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(2) |
濁度が高い培養液にも優れたろ過性能を発揮し、清澄なろ液が得られます。 |
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(3) |
中空糸を使用しており、スケールアップが容易です。 |
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【一般的なバイオプロセスの工程例】 |
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3. 今後のバイオプロセス事業の展開について |
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当社では、「BioOptimal MF-SL」、「プラノバ」に加え、今後も高性能なバイオプロセス用分離材を開発・提供することで、成長市場であるバイオプロセス分野で積極的に事業を拡大していきます。さらに、当社のバイオプロセス用分離材と、旭化成バイオプロセス社の装置技術とを組み合わせることによって、多様なバイオプロセスシステムを提供していきます。 |
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<ご参考> |
◆用語説明 |
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※1 生物学的製剤 |
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ヒト及び動物の細胞、及びそれら組織由来成分などを原料とした医薬品。 |
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※2 バイオプロセス |
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生物学的製剤の原薬製造プロセス。主に細胞培養などでタンパク質を生産する工程と、生産されたタンパク質を精製して原薬とする工程から構成されている。このバイオプロセスで使用される分離材、装置、及びそれらを組み合わせたシステムを取り扱う事業がバイオプロセス事業。 |
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※3 バイオ医薬品 |
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遺伝子工学、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して生産されるペプチドやタンパク質を有効成分とする医薬品。インターフェロン、成長ホルモン、エリスロポエチン、各種モノクローナル抗体などがある。 |
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※4 血漿分画製剤 |
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血漿から精製して得られる治療に有益なタンパク質製剤で、感染症の治療に用いるグロブリン、血友病などの治療に用いる血液凝固第Ⅷ因子などの血液凝固因子製剤などがある。 |
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※5 「プラノバ」 |
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バイオプロセスで使用される、有害なウイルスを除去する中空糸型ウイルス除去フィルター。当社が製造・販売し、その品質は世界の医薬品メーカーで高く評価されている。 |
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※6 タンジェンシャルフロー(クロスフロー)ろ過 |
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試料溶液をろ過膜表面に平行に流して浸透させるろ過方式で、膜の目詰まりを防ぎ、単位膜面積当たりの処理容量が多いという利点がある。 |
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◆旭化成メディカル株式会社の概要 |
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本 社 |
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東京都千代田区神田神保町一丁目105番地 |
代表者 |
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代表取締役社長 吉田 安幸 |
資本金 |
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2億円(2010年3月末日現在) |
設 立 |
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2007年10月1日 |
株 主 |
: |
旭化成株式会社100% |
事業内容 |
: |
ウイルス除去フィルター「プラノバ」、白血球除去フィルター「セパセル」などの製造、販売 |
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以上 |
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