2012年1月11日
旭化成株式会社
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤原 健嗣)は、高品質な窒化アルミニウム(AlN)基板を用いた紫外発光ダイオード(UV-LED)の開発を進めているベンチャー企業であるCrystal IS社(本社:米国ニューヨーク州、President and CEO:Steven Berger, Ph.D.、以下「CIS社」)と、2011年12月28日付でCIS社の全株式を取得する株式売買契約を締結し、子会社化することとしましたのでお知らせします。
当社は今後、両社が有する競争優位技術を融合発展させ、成長が期待されているUV-LED市場への参入と省エネルギーデバイス分野への展開を目指します。
1.背景
当社では、現在実行中の中期経営計画「For Tomorrow 2015」の中で、環境・エネルギー、住・くらし、医療の3分野において「これからプロジェクト」を設置し、新事業創出に向けた取組みを展開しています。環境・エネルギー分野においては、電子部品領域の化合物半導体事業を強化事業のひとつとして位置づけ、これまでホール素子事業を始めとして、磁気抵抗素子、赤外線センサなどを製品化するとともに、「これからの環境・エネルギープロジェクト」において新たな技術開発による新事業創出の検討を進めています。
この一環として当社では、世界最高水準のAlN単結晶成長技術と、これを活かしたUV-LED技術を有するCIS社の一部株式を2010年7月に取得し、AlN単結晶基板の共同開発を推進していました。
一方CIS社は、高いAlN単結晶成長技術をもとに、紫外光の中でも非常に短い波長のUV-LEDにおいて世界最高水準の効率・長寿命を実証しており、実用化に向けた検討を進めていました。
この度、CIS社のこれらの優れた技術と当社がエレクトロニクス事業で培った高度な薄膜・デバイス技術を融合することで当社の化合物半導体事業の拡大につながると判断したこと、また、CIS社とUV-LED事業拡大に関しての将来構想が一致したことから、買収の合意に至りました。
2.今後の展開
今回のCIS社の子会社化により、AlN単結晶成長技術の工業化を早期に実現するとともに、両社が有する競争優位技術を融合発展させ、成長が期待されているUV-LEDの早期事業化を目指します。また、将来的には UV-LED事業のみならず、AlNの特長を活かした、省エネルギーニーズに対応したデバイスへの応用および事業展開についても検討を進めていきます。
<用語説明>
1. 窒化アルミニウム(AlN)
アルミニウムの窒化物で紫外光を受発光する、耐圧が高い、熱伝導率が高いなどの特長を持つ化合物。その物性から次世代の半導体材料として期待がある一方、純粋な結晶を成長させることが困難で商業ベースで量産化された例はない。
2. 紫外発光ダイオード(UV-LED)
短波長の紫外光を発するダイオード。紫外光は可視光に比べて波長が短く目に見えないが、エネルギーが強く、化学反応を活性化させる機能があるため、種々の用途への展開が期待されている。紫外光の中でも特に波長の短い紫外光は殺菌効果があり、現在水銀ランプが使われている、水・空気・物体表面の殺菌用途に加え、小型・軽量、長寿命、省電力などのメリットを活かしたポータブル殺菌機器などへの展開も期待される。
<ご参考>
【Crystal IS社概要】
設立 | 1997年 Rensselaer Polytechnic Instituteからのスピンオフ |
---|---|
所在地 | 米国ニューヨーク州 |
代表者 | Steven Berger, Ph.D., President and CEO |
事業内容 | AlN基板、UV-LEDおよびそのアプリケーション開発 |
従業員 | 25名 |
以上