2012年3月12日
旭化成株式会社
旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:藤原 健嗣)は、本日、米国の救命救急医療機器大手であるZOLL Medical Corporation(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Richard A. Packer、米国NASDAQ上場:ZOLL、以下「ゾール・メディカル社」)と、当社の米国子会社による株式公開買付け(以下「本公開買付け」)およびそれに続く現金を対価とする合併(以下「本合併」)によりゾール・メディカル社を買収(以下「本買収」)することについて合意しましたので、お知らせいたします。
当社は、上記合意内容に基づき、米国で新たに設立した子会社を通じた本公開買付けおよび本合併により、ゾール・メディカル社の発行済普通株式の総数を総額約22.1億米ドル(1株あたり93米ドル)で取得します。本買収は友好的なものであり、当社およびゾール・メディカル社の両取締役会は本買収を既に承認しております。なお、本買収完了のためには、独占禁止法に基づく条件の充足その他一般的な前提条件を満たすことが必要となります。
記
1.ゾール・メディカル社買収の目的
(1)本買収の背景
当社は創業以来、時代の変化に応じ、その時々の社会的なニーズに応えることで持続的に成長を遂げてきた企業です。昨年スタートさせた中期経営計画「For Tomorrow 2015」の中で、当社は21世紀の社会が求める新しい価値を「健康で快適な生活」「環境との共生」と考え、この価値の提供に貢献することをグループの方針として掲げています。この方針に適合した新しい事業を創出することを目的として、昨年4月にグループ総合力の結集と融合を目指す「これからプロジェクト」(環境・エネルギー、住・くらし、医療の3領域)を立ち上げ、これからの社会的ニーズに合致する成長型ポートフォリオの構築を進めています。
その一環として医療関連分野については、「For Tomorrow 2015」の中で、当社グループ経営を支える次世代の中核事業領域と位置付け、グローバルな成長戦略を推進しています。
(2)本買収に至った経緯
当社のヘルスケア事業は泌尿器・骨領域・血液疾患等の医薬事業および透析等の血液浄化関連、バイオプロセス関連の医療機器事業の2つの領域により構成されています。当社はこれらの事業に加え、新たに成長を牽引する事業基盤の構築を検討してきました。その検討の中で、「人びとのいのち」を救うために必要不可欠な医療であり、今後もグローバルに成長が期待できる領域としてクリティカルケア(救命救急医療)分野に絞り、参入の機会を模索してきました。
また、ゾール・メディカル社は生命蘇生技術をコアテクノロジーとした会社で、米国の体外除細動器市場では強固な事業基盤を保有しています。着用式除細動器「LifeVest」や体温マネージメント機器「Thermogard」等の革新的医療機器で事業拡大を図るとともに、その基盤を欧州、アジアに拡げることを重要な方針として掲げています。当社は、日本での事業強化を模索していたゾール・メディカル社との協業を開始し、第一弾として昨年8月より、AED(自動体外式除細動器)「ZOLL AED Plus」を当社グループが販売を始めるとともに、ゾール・メディカル社の日本における薬事コンサルタントおよびマーケティングを当社グループ企業が引き受ける等、幅広い協力関係を構築してきました。今般、今後の両社のさらなる協力関係の強化について協議してきました結果、今回当社とゾール・メディカル社との間で本買収の合意に至りました。
(3)本買収の意義
本買収により、当社は以下のことが実現できると考えています。
・ | 当社は、これまで既存の医薬、医療機器事業を通じて、医療現場へのマーケティング力、製品開発力および薬事法等の規制や医療保険制度への対応力を培ってきました。これらの知見・リソース等を活かすことによってゾール・メディカル社の日本およびアジア事業拡大を加速することが可能であり、また同社の製品の競争力を強化することにも貢献できます。 |
・ | 当社はゾール・メディカル社の救命救急医療のグローバルに強固な基盤を確保することによって、さらなる成長のための投資の機会を得ることが可能になります。 |
・ | 当社の既存の医療機器事業との顧客情報の共有、共同マーケティング等により、グローバルな事業拡大や新たな疾患領域への対応の機会を得ることができます。 |
なお、当社は本買収以降、ゾール・メディカル社の成長戦略の実現および加速のために必要な資源投入を図ります。また、上記の付帯効果を着実に実現し、当社の将来の中核事業とするために、M&Aを含め積極的な戦略的投資を行います。当社は、救命救急医療分野での革新的医療技術の開発、普及に取り組み、国内外で医療施設のニーズ解決と患者様のQOL向上に貢献していきます。
2.本買収の概要
(1) | 本公開買付け実施者 当社米国子会社の下に設立された買収目的子会社(以下「SPC」) 本買収のため、当社は、SPCを米国マサチューセッツ州に設立しました。本公開買付け終了後、SPCはゾール・メディカル社に吸収合併され、ゾール・メディカル社は当社の連結子会社となります。 |
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(2) | 本公開買付けの対象会社 ZOLL Medical Corporation |
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(3) | 買付けを行う株券等の種類 普通株式 |
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(4) | 買付け価格 1株当たり93米ドル |
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(5) | 買付けに要する資金 約22.1億米ドル(予定) ゾール・メディカル社の発行済株式総数を買付け、オプション等その他証券に関する支払いを行うために要する金額を記載しています。 |
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(6) | 買付け期間 買付け期間はゾール・メディカル社との合意の日(米国東部時間2012年3月12日)から10営業日以内に開始され、開始後最短20営業日(土曜日、日曜日および米国における祝祭日は含まれない)で終了します。なお、合意内容に基づき、買付け条件が充足されない場合は、買付け期間の延長を実施する可能性があります。 |
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(7) | 下限応募株式数 SPCは、ゾール・メディカル社の発行済株式総数の3分の2以上(完全希薄化ベース)の応募があった場合に買付けを行います。 |
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(8) | 本公開買付けによるゾール・メディカル社株式の保有割合の異動 本公開買付け前の保有割合 0% 本公開買付けおよび本合併後の保有割合 100% |
3.ゾール・メディカル社の概要
(1) 会社名 | ZOLL Medical Corporation | |
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(2)設立 | 1980年 | |
(3)所在地 | 米国 マサチューセッツ州 | |
(4)Chief Executive Officer | Richard A. Packer | |
(5)売上高 | 523.7百万米ドル(2011年度) | |
(6)営業利益 | 48.2百万米ドル(2011年度) | |
(7)従業員数 | 1,908名(2011年10月2日時点) | |
(8)主な拠点 | 米国、ドイツ |
4.当社の業績への影響
本買収が成立した場合、ゾール・メディカル社は当社の連結子会社となります。これに伴う当社の業績に与える影響については、本公開買付け終了後、必要に応じ、速やかに開示いたします。
なお、本公開買付けの終了は本年4月以降となりますので、2012年3月期の当社連結業績に与える影響はありません。
5.将来見通しに関する注意事項
本プレスリリースは、当社およびゾール・メディカル社の見通し、目標、計画、戦略等の将来に関する記述が含まれております。これらの将来に関する記述は、将来の業績に関する保証ではなくおよび将来における当社およびゾール・メディカル社の実際の業績、展開または財務状況と大きく異なることとなるような知れたるまたは不知のリスク、不確実性その他の要素があります。これらの将来に関する記述は、「考えます」、「期待します」、「見込みます」、「計画します」、「意図します」、「はずです」、「するつもりです」、「予測します」、「将来」、その他、これらと同様の表現、または特に「戦略」、「目標」、「計画」、「意図」等に関する説明という形で示されています。多くの要因によって、本文書に述べられている「将来に関する記述」と大きく異なる実際の結果が、将来発生する可能性があります。かかる要因としては、(i)公開買付けで買付け条件を満たすのに十分な株式が取得できない、(ii)本買収の完了に必要とされる規制上の条件または他の条件が充足されないリスク、(iii)当事者に関連する法制度、会計基準等またはその他の経営環境の変化が及ぼす影響、(iv)事業戦略を実行する上での課題 、(v)金融の不安定性および他の一般的経済状況または業界状況の変化が及ぼす影響、および(vi)本買収の完了に関するその他のリスクが含まれますが、これらに限定されるものではありません。当社もゾール・メディカル社も、法律によって明示的に必要とされる場合を除いて、新情報、将来の情勢またはその他の結果として将来の見通しに関する記述を更新する義務は負いません。本発表における将来に関する記述は、この注意事項に従うこととなります。
6.追加情報
本プレスリリースに記載されている本公開買付けはまだ開始されていません。本プレスリリースは情報を提供するためだけのものであり、ゾール・メディカル社の普通株式の買付けの応募、または売付けの募集を勧誘するものではありません。公開買付けは、当社およびSPCが米国証券取引委員会(以下「SEC」)に届け出るSchedule TOによる公開買付説明書(買収提案、送達状、その他の関連公開買付け文書を含む。)に基づいて実施されます。随時修正される可能性のあるこれらの資料には、提示の条件等の重要な情報が含まれることから、入手可能となった際には、公開買付けに関する決定をされる前に熟読されるようお願いします。投資家および株主は、当社およびSPCが届け出るこれらの資料(入手可能となった以降)およびその他の文書を、SECのウェブサイトhttp://www.sec.govまたは当社のウェブサイトhttp://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/en/ir/index.htmlから無料で入手することができます。
以上