2013年8月5日
旭化成ホームズ株式会社
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都 新宿区、代表取締役社長:平居 正仁)は、2013年8月10日より、当社の二世帯住宅研究所による研究成果を踏まえて、二世帯住宅に新たな視点を提案する「ヘーベルハウス 『都市の実家』」を発売いたします。
二世帯住宅研究所では、親子同居をする世帯を対象として、世代ごとの住生活における家族の関係と意識の変化について調査を実施しました。その結果、高度成長期に東京などの大都市に流入し、1970年代に持家を形成した後に子世帯と同居をしている世代(1940~1949年生まれ)は、他の世代に比較して、別に暮らす子供の一家が宿泊する機会が多く、知人等を招くことが多いなど、家族や知人などとのコミュニケーションが緊密であることが分かりました。当社では都市で世代を重ねつつあるこの世代に見られる傾向を踏まえ、家族や地域・社会との繋がりを深め育む力を「実家力」と呼び、この「実家力」のある二世帯住宅を新たに提案するものです。
商品の特徴は該当世代の敷地を50~60坪程度と想定し、二世帯住宅としてはコンパクトでありながら、同居していない子供家族が気軽に宿泊でき、親世帯が外部の来客を招き入れやすいことや、親世帯の介護が必要になった際にも暮らしやすいなどの融通性の高い二世帯住宅の間取り構成ノウハウを提案していることです。
例えば、親世帯のLDK空間は、コンパクトながら大勢の家族が集える工夫を“イマドキLDK”として提案しています。この“イマドキLDK”に繋げて設置する”タタミリビング”は、別に暮らす子供の一家が宿泊したり、将来的に親の介護が必要となった時にも訪問介護サービスを受けやすい居室となるなど、多様な用途の広がりを持たせています。また、親世帯・子世帯の間に“どっちもルーム”を配することで、同居していない子供が親世帯へちょっとした立ち寄り宿泊をしたり、子世帯側の居住室として利用することにも対応しています。
当社では、都市型二世帯住宅のパイオニアとして、これからも時代の変化を捉えながら、世代を重ね住み継がれる二世帯住宅の在り方を提案して参ります。
I.開発の背景
旭化成ホームズでは、1975年に「二世帯住宅」を世の中で初めて商品化し、その後も「くらしノベーション研究所」を中心に、家族社会学や心理学的視点も含め各種の生活実態調査などを実施し、時代の変化を反映した二世帯住宅商品を上市することで高い評価を頂いてきました。
昨年発売した「2.5世帯住宅」は、晩婚化・非婚化により30代40代の単身者が増加する状況を踏まえ、二世帯住宅に子世帯の兄弟姉妹にあたる単身者が同居する住まいを提案しました。今回は、現在当社が販売する二世帯住宅の約半数の親世帯年齢が1940年~1949年生まれとなっており、この世代は、人口動態から見ると、1961年(昭和36年)をピークにその前後で毎年60万人近く、10代後半から20代前半の若者を中心として地方から三大都市圏へ人口流入した世代であることに着目しました。この世代はその後都市部に居を構え、世代を重ねるなかで新たな地縁・血縁関係を生じさせつつあると推測されることから、その特性を調査しました。
具体的には、当社の建物に親子同居でお住まいの親世帯・子世帯への調査と、一般の建物で親子同居する親世帯・子世帯・近遠居(同居していない子供家族を近居~遠居に分類)する子供世帯への調査を行い、それぞれの意識と関係性の実態を世代ごとに比較しました。この結果を踏まえ、新たな二世帯住宅を提案したいと考えました。
II.「イマドキ親世帯の実家ネットワーク」調査の結果概要
当社の2011年度に建替えで二世帯住宅をご注文頂いたお客様の親世帯年齢分布図は右図の通りです。これに基づき今回の調査では、同居する親世帯の年齢世代を次のように名称を定義して調査を実施しています。
以下に調査の結果判明した特徴的なポイントのみ列記します。(詳細は調査報告書をご覧ください)
(1)二世帯住宅の形態
住宅形態としては3つの世代とも独立二世帯と共用二世帯の合計で8割以上を占めていますが、「イマドキ親世帯」は独立二世帯の比率が高く、「コレカラ親世帯」では共用二世帯と融合二世帯の比率が高くなっています。(調査報告書P.44を参照)
(2)同居していない子供家族が親世帯に宿泊する頻度
「イマドキ親世帯」では子供の近居が少なく、遠居の子が親世帯に泊まる頻度が他の世代より高いことが分かりました。(調査報告書P.28を参照)
■同居していない子との距離
■同居していない子が泊まる頻度
(3)地域・社会との関わり
「イマドキ親世帯」の約7割が知人を自宅に招いており、対人意識の面でも地域・趣味・仕事などを通じて知人を増やしたいと考える人が新しい世代ほど多くなることが分かりました。中でも地域活動への参加経験割合や地域に対する対人意識においては「イマドキ親世代」が他の世代よりも高くなっています。(調査報告書P.34・35を参照)
■親世帯父の地域活動経験
■親世帯の知人を呼ぶ
■親世帯父の対人意識
(4)孫との関係
孫がいる親世帯では、「孫の世話が楽しい」と答えた世代は「イマドキ親世代」が最も多く、実際に孫と出かけた経験については、「買い物」「近所の公園」「地域のお祭り」のいずれのシーンでも「イマドキ親世帯」が多いという結果でした。(調査報告書P.36・37を参照)
■孫の世話が楽しい
■孫と出かけた経験
<調査のまとめ>
調査を通じて「イマドキ親世帯」の実態が浮かび上がってきました。
■くらし方のイメージと実態
■親子協力関係のイメージと実態
Ⅲ.「都市の実家」商品の特長
今回の調査により判明した、家族や地域・社会との緊密で良好な関係を築く力を「実家力」と呼び、「イマドキ親世帯」に求められる「実家力」を備えた二世帯住宅の設計要件を次のように4点にまとめました。
これらの要件を満たす空間を従来の空間構成手法で実現すると、建物の面積は大きなものとなり、該当世代に多いと推定される50坪~60坪程度敷地に収めることは困難になります。そこで、これらの多様な条件を合わせて満たすことが可能な融通性の高い空間を提案することで、コンパクトながらも家族や地域・社会との繋がりを深め育む力のある「実家力」のある住まいを提案します。
(1)イマドキLDKの提案
同居していない子も含めた家族全員が集まっても、使いやすく楽しく食卓を囲むことが可能となるように、ビッグテーブルを中心としてキッチンセットや食器棚などを取り囲むように設置しました。従来はリビングに集うことを前提にLDKを構成するため、大勢の食事を想定した場合、LDK合計の面積は大きくならざるを得ませんでした。今回は発想を転換し、大きなDKを集うくつろぎの場として、母親のための空間やTVを見て寛ぐ空間をコンパクトに設置する「イマドキLDK」とし、後述する多目的なタタミルームを続きの部屋とすることで、大勢のくつろぎ場所や来客の受け入れなども可能とする合理的な空間構成としています。
(2)タタミリビングの提案
近遠居の子世帯が家族で親世帯に気兼ねなく泊まることができるために、4人が就寝可能な空間が必要となります。また、家族の集まりを想定して「イマドキLDK」を提案しましたが、食事以外に大勢の家族がくつろいだり、親世帯に来訪する友人や地域の客などを迎える空間も必要となります。これらに対応するために、「イマドキLDK」に連続して畳敷きの和洋室を「タタミリビング」として提案しています。
また、将来にわたって親世帯が住み続けることを想定すれば、将来の要介護期の暮らしも想定する必要があります。今回提案する「タタミリビング」は収納に将来のトイレ・流し用の準備配管を設置し、在宅介護用の部屋とすることを想定しています。24時間の訪問介護サービスを利用する際にもヘルパーの動線と家人の動線が分離される工夫がされた間取りとなっています。
(3)どっちもルームの提案
遠居の子供が出張のついでに飲んで帰って夜中に一人で泊まることが多かったり、親世帯も独立した子供の荷物を保管していたりすることに注目し、親世帯・子世帯の中間に位置する部分にコンパクトな「どっちもルーム」を設置することを提案します。同居しない子供のベッドと荷物を保管し、急な単身での宿泊に対応できるようになります。また、子世帯にも連続する位置に設置されるため、子世帯側からの利用も可能です。
(4)コックピット書斎の提案
「イマドキ親世帯」の世代は、家族や地域・社会との繋がりを大切にする一方、自分の個室や専用コーナーを求めるという傾向があります。そのために、来客時でも気にならない動線上に、約2畳で椅子に座れば全てに手が届く範囲にモノが配置される高密度な作業空間を「コックピット書斎」として設けます。
Ⅳ.概要
1.構造 | : | 重量鉄骨システムラーメン構造 またはハイパーフレーム(鉄骨軸組制震フレーム)構造 |
---|---|---|
2.販売地域 | : | 関東、東海、関西、山陽の一部、九州北部 |
3.発売日 | : | 2013年8月10日(土) |
■2階建プロトプラン平面図
■プロトプラン外観
以上