〜初期のマンションに多い“地上権・既存不適格”の建替え事例〜
当社18件目のマンション建替え事業
「シンテンビル(左門町ハイツ)」が着工

2014年03月14日
旭化成不動産レジデンス株式会社

 旭化成不動産レジデンス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:渡辺 衛男)は、新宿区左門町に1962年に竣工した「シンテンビル(左門町ハイツ)」の建替えについて、本年2月に解体工事に着手しましたのでお知らせします。当社が手掛けるマンション建替え事業としては、これが18件目の着工となります。

 今回の事業は、現行の建築法規では容積率オーバーのいわゆる「既存不適格マンション」だったため、現行法規に沿って建替える再建マンションの延床面積が従前より大きく減少する事例です。このように床面積が減少するマンション建替えはほとんど前例がありませんが、1965年代以前に建てられたマンションが建替え時期を迎える今後は、容積率以外に日影規制によるものも含め、既存不適格の問題がマンション再生の大きな障害になると予想されます。

 また、本事業の主な建替え理由は老朽化および耐震性の不足ですが、同時に敷地権が地上権(借地権)で、その契約期間の満了が迫っていたこともありました。本事業では、建替えにあたって新たに地上権を設定し直すことで、従前と同じ地上権マンションとして再建しました。このような、地上権マンションを地上権マンションに建替える事例は、おそらく日本初となります。

 既に約120万戸と言われる築30年超のマンションの再生では、建替えによる面積増加が見込めないマンションの再生が重要な課題となっていくと思われます。当社ではこれまでの経験から得られた様々なノウハウを活かし、今後もマンション建替え事業に積極的に取り組んで参ります。

<建替え事業の概要>

■建替え経緯 2009年   簡易耐震診断により耐震性不足が判明し検討開始
2011年3月   東日本大震災に遭遇し住民が建替えを決意
2011年3月   建替え推進決議
2011年5月   事業協力者選定コンペティション実施
2011年6月   事業協力者選定(旭化成不動産レジデンス)
2013年2月   建替え決議成立
2014年2月   解体工事着工
2014年7月   本体工事着工(予定)
2014年10月   分譲住戸販売開始(予定)
2016年1月   建替え工事完了(予定)
■所在地 東京都新宿区左門町20番7(地番)
■敷地面積 581.38m2(175.8坪)
■権利者数 28件
■建替え事業手法 全員同意による任意建替え(等価交換方式)
■建替え決議等 区分所有法第62条に基づく建替え決議

<新旧建物概要>

  建替え前 建替え後
建物名称 シンテンビル(左門町ハイツ) 未定
分譲時売主 首都圏不燃建築公社 旭化成不動産レジデンス
竣工年 1962年(昭和37年) 2016年(平成28年)予定
構造・規模 鉄筋コンクリート造
地上11階・地下1階
鉄筋コンクリート造
地上13階・地下1階
延床面積 4,068m2
(1,230.5坪、登記簿上)
3,560m2
(1,076.9坪、従前比87.5%)
総戸数 住戸28戸、事務所1戸 住戸36戸、事務所1戸
(非分譲住戸7戸含む)
住戸間取り 3K、3K+納戸 1K、1LDK、2LDK
住戸専有面積 43m2、50m2 25〜53m2

■従前建物:(写真)手前が事務所部、後ろの白い建物が住居部

従前建物

(画像はウェブサイトhttp://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/にてダウンロードできます。)

◇ご参考:今回の事例の特徴◇

<既存不適格マンションの建替え>

 今回のように建替え後の延床面積が従前より小さくなるケースでは、一般的に建替え後の外部販売住戸の確保が難しいため、区分所有者の経済的な負担が大きくならざるを得ず、合意形成はより慎重且つ丁寧に行うことが求められます。

 今回の事例では、建替えか否か判断しようとしていた2011年3月に東日本大震災に遭遇し、負担を伴っても建替えを進めることを管理組合が決断し、具体的な計画がスタートしました。

<地上権(借地権)マンションの建替え>

 高経年のマンションには地上権(借地権)マンションも多く、契約満了に際しての具体的な更新手続きやそれに伴う合意形成をどのようにするかなどの問題が内在している場合が多いと推測されます。

 建替えに際しても、事業協力者には区分所有法や円滑化法だけでなく、地上権(借地権)の取扱い等について借地借家法に関する知見・ノウハウが求められます。

<マンション再生に関する法律改正>

 今回のケースでは、延床面積が減少するにもかかわらず建替え計画を全員合意で進めることができました。しかし、今後増加すると思われる既存不適格マンションの再生では、必ずしも今回のような合意形成ができるとは限りません。今後は、2月に閣議決定され今国会での成立が見込まれているマンション建替え円滑化法の改正など関連法規の整備により再生の選択肢が増えることで、マンション再生が加速することが期待されます。

<当社のマンション建替え事業について>

 当社では、建設用地を地権者から単純に購入して建設・分譲する形でのマンション開発事業は原則的に手掛けないという方針の下、特徴である合意形成力を活かして密集市街地の共同化、法定再開発、および、マンション建替え事業に特化して事業展開をしています。

 特にマンション建替え事業については、2005年に竣工した「同潤会江戸川アパートメント(現・アトラス江戸川アパートメント)」を第1号として、今回のシンテンビル(左門町ハイツ)建替え事業が18件目の着工という業界トップクラスの実績を残しています。

以上


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