2013年10月1日
旭化成ファーマ株式会社
旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:浅野 敏雄)は、英国のVernalis社(ヴァーナリス社 本社:英国バークシャー州ウィナース、CEO:イアン ガーランド)と、Vernalis社の持つフラグメント創薬および構造に基づく医薬創製技術を用いた、関節リウマチを含む自己免疫疾患に対する創薬に関する共同研究契約を締結しましたのでお知らせします。
今回の共同研究により、Vernalis社の持つ先端的フラグメント創薬および構造に基づく医薬創製技術を効果的に取り込んでいくことで、旭化成ファーマの自己免疫疾患領域における創薬研究開発を飛躍的に加速化できるものと期待しています。
<Vernalis社の概要>
Vernalis社は医薬品開発に特化した製薬企業である。現在発展段階のVernalis社は上市薬として偏頭痛の急性期治療薬フロバトリプタンを保有し、米国での咳を伴う風邪症候群に対する処方薬として複数の新規製品の開発および販売権とともに7つの開発パイプライン候補品を保有している。また、Vernalis社はフラグメント創薬および構造に基づく医薬創製において優れた技術を持っており、大手製薬企業との提携の原動力となっている。Vernalis社の詳細については www.vernalis.com 参照。
<用語解説>
1.フラグメント創薬(Fragment-based drug discovery)
医薬品探索においては、まず基本となる化学構造であるリード化合物(新薬候補化合物)を見出し、それを化学的に改変して目的の薬理活性を有する化合物を探し出すことが多い。フラグメント創薬とは、リード化合物として適したサイズよりさらに小さな化学物質をスクリーニングしてリード化合物創製のための出発点とする方法で、近年本手法による医薬品開発の成果が示されつつあり注目を浴びている。フラグメント創薬において優れたリード化合物を得るためには、標的タンパク質の構造から論理的に化合物を設計する方法が効率的であり、そのためには構造に基づく医薬創製技術が不可欠である。
2.構造に基づく医薬創製技術(Structure-based drug discovery)
医薬品となる化合物は、生体内で標的タンパク質に作用して薬理作用を発現する。構造に基づく医薬創製技術とは、医薬品探索研究においてまず標的タンパク質の三次元構造を解明し、その構造についての知識を活用して薬物設計する手法である。標的タンパク質そのもの、あるいは化合物との複合体の三次元構造をX線解析やNMR(核磁気共鳴を利用した化合物の構造解析方法)などの物理化学的手法を用いて解析し、解析結果を用いてコンピュータシミュレーションなどにより合理的に化合物構造を設計することができる。
以上