都心の建替えマンション「アトラス池尻レジデンス」
〜複雑な権利関係を解消し、既存公園の付替えも経て竣工〜

2014年5月09日
旭化成不動産レジデンス株式会社

 旭化成不動産レジデンス株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:渡辺 衛男)は、東京都世田谷区池尻3丁目にて「池尻団地」の建替え事業を推進してきましたが、この度その再建マンション「アトラス池尻レジデンス」が竣工しましたのでお知らせいたします。

 今回の事業は、大変複雑な権利関係(所有権と地上権の混在)の解消を経た建替え事例です。また、地区計画により、都市計画法上の一団地を解消するとともに隣接する既存公園の付け替えを行うなど、今後の貴重な事例となりました。

<アトラス池尻レジデンス外観>
<アトラス池尻レジデンス外観>

≪池尻団地建替え事業の特徴≫

(1)前回の東京オリンピック開催に伴い建設された団地の建替え

 今回建替えを行った池尻団地は、前回の東京オリンピックが開催された前年、1963年に竣工しました。従前建物の1・2階部分にあった事務所・店舗は、オリンピック開催に伴い国道246号線が拡幅された際に移転を余儀なくされた小規模店舗等の移転先として確保されたものでしたが、奇しくも今回、2度目となる東京オリンピックの開催を前に新たなマンションに生まれ変わりました。

(2)非常に複雑だった権利関係の調整

 従前建物は、住宅125戸・店舗1戸・事務所1戸・倉庫8戸からなる5階建て3棟に加え、普通建物1棟が存在しました。区分所有権は、店舗・事務所・倉庫および普通建物は借地権者、住宅の区分所有者は所有権者であり且つ借地部分の底地権者であるという複雑な権利関係となっていました。
 マンションの建替えの円滑化等に関する法律(円滑化法)では従前と同様の権利による再建しか想定されていませんが、池尻団地では建替えを機会に複雑な権利関係を整理して普通の所有権マンションにすることを前提としていたため、この問題の解決が大きな課題でした。
 これについては、建替え組合設立後・権利変換手続きの前に、再取得予定の借地権者が一旦転出することなどで借地権を解消するという特殊なスキームを考え出すことで解決しました。

(3)公園の付け替え(敷地の交換)により、敷地形状と隣接公園の整形化を実現

 従来の池尻団地の敷地には「区立池尻南公園」が一部食い込むような形で隣接しており、団地・公園ともに使い勝手の悪い敷地形状となっていました。今回の建替えに伴う地区計画の中で公園の位置と形状の変更を決定し、建替え組合と行政が団地敷地の一部と公園敷地の一部を交換する形で公園位置の移動・形状変更が行われました。

 新しい公園のデザインなどについては、近隣住民にも意見聴取しながら、マンション敷地の空地部分と一体化した緑化計画をすることで、周辺の景観に寄与するとともに世代を問わず楽しむことができる緑豊かな公園をつくりました。

(4)高齢区分所有者への丁寧な対応

 建替え時期を迎えたマンションは建物の老朽化とともに区分所有者ご本人も高齢化しておられる場合が多く、池尻団地でも高齢の区分所有者が多数おられました。前述のように複雑な事業スキームでもあり、権利調整や合意形成にあたっては、十分にご理解・ご納得いただけるよう説明会や個別面談などでの丁寧な対応を心がけると同時に、必要に応じて専任の高齢者担当が個別対応もしました。

≪建替え事業の概要≫

■建替え経緯 1993年 建替え推進委員会設立
2009年6月 建替え推進決議
2009年10月 事業協力者選定(旭化成不動産レジデンス)
2010年12月 建替え決議
2011年8月 建替え組合設立
2012年2月 解体工事着工
2012年9月 本体工事着工
2014年3月 建替え工事完了
■所在地 東京都世田谷区池尻3丁目21番(地名地番)
■敷地面積 5,992.86m2(1,812.8坪)
■権利者数 住宅権利者117名(店舗等除く)
■建替え事業手法 マンション建替え円滑化法に基づく組合施行

■新旧建物概要

  建替え前 建替え後
建物名称 池尻団地 アトラス池尻レジデンス
分譲時売主 首都圏不燃建築公社 旭化成不動産レジデンス
竣工年 1963年(昭和38年) 2014年(平成26年)
構造・規模 鉄筋コンクリート造
地上5階 3棟
鉄筋コンクリート造
地上11階・地下1階 1棟
延床面積 11,286.13m2(3,414.0坪) 20,227.24m2(6,118.7坪)
総戸数 住宅125戸、店舗1区画、
事務所1区画、倉庫8区画
205戸(非分譲住戸89戸含む、
他に店舗1区画)
住戸間取り 3K 1DK〜4LDK
住戸専有面積 40m2〜45m2 31.20m2〜94.76m2

<ご参考>

 従来から当社では高経年マンション建替えを中心に「合意形成力」を活かしたマンション開発事業に取り組んできました。特にマンション建替え事業では着工ベースで累計20件という業界トップクラスの実績を残しており、今回の「アトラス池尻レジデンス」はその内14例目の竣工プロジェクトとなります。

以上


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