HOME > 旭化成 繊維グローバル産学連携プロジェクト > 産地の学校<ベンベルグ>ラボ > ベンベルグ®ラボ第2期
繊維・アパレル産業に携わる人材の発掘と育成、産地が抱える課題の明確化やプロジェクト支援など、繊維産業の活性化に向けて様々な取り組みを行なっている「産地の学校」。旭化成は、主宰を務める株式会社 糸編・代表の宮浦晋哉さんの活動に感銘を受け、2017年に産地の学校と共同で産学連携プロジェクト<ベンベルグ>ラボを立ち上げました。
<ベンベルグ>ラボ第6講は、国内最大の毛織物産地として知られる尾州(愛知県西部から岐阜県西濃地域)の視察を行いました。尾州産地は木曽川の豊かな水を利用し織物産業が発展。地域分業で高級毛織物を生産し、日本にとどまらず海外でも高いブランド力を持っています。今回は、世界トップレベルの技術力を誇る愛知県一宮市の毛織物工場を視察し、短繊維(ニット)の生産工程を通してものづくりの魅力を感じていただきます。
最初に訪れたのは昭和39年に丸編み機を導入し、尾州で“丸編みニット”の先駆けとなった宮田毛織工業。編地のしくみをはじめ、編機の分類、針と針床の関係性など、ニットの基礎を説明していただきました。
丸編み機で重要な役割を果たすメリヤス針の話では、針先の小さな“くぼみ”に込められた日本の匠の技術に一同唸らずにはいられませんでした。丸編み機の高速化を可能にしたこの編み針の説明をはじめ、普段知ることのできない知識の数々に、ラボメンバーもニットへの興味が一段と増した様子です。
その後、2班に分かれ工場内を視察しました。“丸編機”の名前の通り、円を描くように並んだコーンから、糸が一本ずつ編み込まれ筒状に生機を編み上げます。メリヤス針も目で追えないほどの速さでしっかり働いていました。
次の視察は尾州毛織業の最大手であり、積極的な海外展開でも知られる中伝毛織さんを訪れました。中嶋社長の挨拶から、尾州の歴史や生産工程の説明。さらに職人の高齢化や後継者不足などの現状にも話が及び、産地が抱える課題の一端をうかがい知ることができました。
工場内には整経機をはじめ、ワインダーや横編み機など様々な整理機器が置かれています。とくに織機の種類の豊富さには驚かされます。ここで織れない生地はないのでは、と思うほどの充実ぶりでした。
グループ会社の藤井整絨では、毛織物の整理工程を視察。毛焼、縮絨、洗絨、煮絨、起毛など、織り上がりの風合いを整える多くの重要な工程を見ることができました。ショールームでこれまでに製作した生地サンプルを拝見し第6講終了です。
今回の視察では、毛織物が製品になるまでに至る多くの工程を知るとともに、尾州の高い技術力の奥深さを実際に体感することができました。また、産地の抱える課題についても改めて考えさせられるいい機会となりました。
講義を終え、受講生や関係者の方々に感想を伺いました。
※ベンベルグ®は旭化成の再生セルロース繊維・キュプラのブランドです。