HOME > 旭化成 繊維グローバル産学連携プロジェクト > 産地の学校<ベンベルグ>ラボ > ベンベルグ®ラボ第2期
繊維・アパレル産業に携わる人材の発掘と育成、産地が抱える課題の明確化やプロジェクト支援など、繊維産業の活性化に向けて様々な取り組みを行なっている「産地の学校」。旭化成は、主宰を務める株式会社 糸編・代表の宮浦晋哉さんの活動に感銘を受け、2017年に産地の学校と共同で産学連携プロジェクト<ベンベルグ>ラボを立ち上げました。
<ベンベルグ>ラボ第7講は、奈良時代より約1300年にわたり機織りの歴史と伝統をいまに受け継ぐ、桐生産地(群馬県桐生市)の視察を行いました。江戸時代には渡良瀬川と桐生川の豊富な水資源を背景に「西の西陣、東の桐生」とうたわれ、高級絹織物「桐生織」の産地として名を馳せた桐生産地。今回は、産地の伝統技術でもあるジャカード織りを通して、桐生織の魅力に触れていただきたいと思います。
株式会社ミタショーは桐生の伝統的技術とウールや特殊素材のウォッシャブル加工を融合し、オリジナリティに富んだ製品を多く手がける機屋さん。常務取締役三田氏より、桐生産地の特長と共に、企画・設計や製織、洗い加工など製品が出荷されるまでの織物工程をご説明いただきました。
「カットジャカードのカット技術や多重織りで手の込んだ模様を表現できるのが桐生織の強みです。」と三田常務。複雑な意匠も織り出すことが出来るため、国内外問わず多くのメジャーブランドからの信頼も厚いという。また、製織工場内には21台の様々なジャカード織機が並び、多品種小ロット対応が得意な産地の特長を活かしていました。
続いてワッシャー加工場に移動。機屋さんが自社内に洗い工場を持つケースは全国的にも少ないそうです。こちらでは、ミタショーが得意とするウールの縮絨をはじめ、<ベンベルグ>やポリエステルなどのデリケートな生地にも洗いをかけ、天日干しで乾燥させることで独特の風合いを生み出しています。取材で訪れた当日も、生地が気持ちよさそうに竹竿に吊るされ乾かされていました。
次に訪れたのは、戦後間もなく創業し多くの高級和装織物を手がけてきた桐生の伝統的な機屋さん、小林当織物株式会社。代表取締役小林氏と村岡常務から、桐生織物の歴史や産地が抱える課題などのお話しがありました。また、最近では積極的に国内産地への視察を行っているそうです。「しっかりしたものづくりができる人材や設備体制の確保はもちろんのこと、他産地のいいところを取り入れながら桐生の将来につなげていきたい。」と小林氏。
資料館には、創業時以来保存されてきた注文台帳や生地サンプルがずらりと並んでいます。全てが貴重な文化財と言えるくらい資料的価値のあるものばかり。これらのサンプルをもとにアレンジを加え、新たな素材が生まれていくとのこと。ラボメンバーも目の色を変えて資料に釘付けの様子でした。
今回の視察では、歴史ある織物文化をいまに受け継ぐ桐生の伝統的な一面と、さらなる高みを目指そうと新しい技術を取り入れ挑戦する革新的な一面、その二つの顔を見ることができました。伝統を守りながら革新を繰り返してこそ未来は生まれます。資料館で古い生地サンプルにふれ、様々に思いを巡らせるラボメンバーの姿に、繊維産業の明るい未来を見る気がしました。
講義を終え、受講生や関係者の方々に感想を伺いました。
※ベンベルグ®は旭化成の再生セルロース繊維・キュプラのブランドです。