HOME > アパート経営・土地活用の知恵袋 > マンスリーレポート > 経営ノウハウ > 退去時のトラブル防止を目指した原状回復ガイドラインの再改訂
アパート経営・土地活用の知恵袋
マンスリーレポート 最新情報をレポートします

退去時のトラブル防止を目指した原状回復ガイドラインの再改訂

経営ノウハウ

タグ :

2011年10月 1日

退去時のトラブル防止を目指した原状回復ガイドラインの再改訂

民間賃貸住宅の賃貸借契約は、貸す側と借りる側、各々の合意に基づいて内容が決められています。しかし、退去時に貸した側と借りた側のどちらの負担で原状回復を行うことが妥当なのか、その範囲や金額でのトラブルが以前から問題になっていました。そこでトラブルを未然に防止するため、国土交通省住宅局より「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下ガイドライン)が再改訂され、2011年8月に発表されました。

原状回復の定義が明確に

2004年にも改訂されている原状回復ガイドラインですが、今回は、原状回復の定義を明確にして、その考え方に従って基準が策定されました。

原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。

建物価値の減少とは部屋を借りている間の経年変化や通常の使用により生ずる損耗等によって、建物の価値が減少することを指します。これらの修繕費用は、賃料に含まれるものとして借主が負担しないことが明確化されました。一方、故意や過失、善管注意義務違反での損耗や毀損は借主が負担する原状回復の対象となります。善管注意義務違反とは、借主として賃貸住宅で生活する上で注意すべきことを怠ったことを指します。また、通常の使用を超えるような使用による損耗についても具体的な例を挙げています。これにより2004年の改訂時に曖昧だった貸主と借主の原状回復の範囲が、今回の再改訂によって明確に国交省の指針として示されました。

具体化された善管注意義務違反

では、明確化された借主側の原状回復対象となる、通常を超える使用や、借主の善管注意義務違反に関わる内容について具体的に見ていきましょう。

●カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ・カビ
(飲み物をこぼすこと自体は通常の生活の範囲内ですが、その後の手入れ不足で生じたシミやカビの除去)

●冷蔵庫下のサビ跡
(拭き掃除で除去できる程度のものは通常の生活の範囲内だが、そのサビを放置し床を汚損した場合)

●台所の油汚れ
(使用後の手入れが悪くススや油が付着している場合)

●タバコ等のヤニ・臭い
(クロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合)

●落書き等の故意による汚損
(経過年数によって残存価値が低くても使用可能な設備を使用不可にすると原状回復の義務が発生)

これらは一部の例ですが、すべて借主が退去時に原状回復をすべき項目であり、その費用も借主の負担になるとされています。

契約時に原状回復の費用負担を明確化

このように改善が図られたガイドラインですが、さらに、トラブルを未然に防ぐ方策として、貸主が借主に対して契約時に原状回復についてわかりやすく説明するために契約書に添付できるフォーマットが作成されました。先ほどの事例の他にも代表的な項目について、貸主と借主の修繕分担表と、修繕に向けた原状回復工事の工事単価を記入できるようになっています。

これを契約書に添付して入居前に借主に説明し、入居時にその時の損耗等の有無など物件の状況と原状回復などの契約条件を貸主・借主双方がよく確認し、納得したうえで契約を締結することができるようになりました。原状回復のトラブルを未然に防止するうえでは、極めて有効なツールとなるでしょう。

これから入居される入居者に対してはもちろん、今入居している借主にも説明して、原状回復に関するトラブルを未然に回避したいものです。

土地活用・アパート経営の資料プレゼント

セミナー・イベント情報を見る

窓口・WEB・電話で相談する

▲ページトップへ

マンスリーレポートトップへ