「2025年問題」とは、団塊の世代が後期高齢者の75歳になることに伴い、社会や経済に様々な影響を及ぼすと懸念されている問題です。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、『LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会』で、住まいのトレンドの一つに「家じまい元年」を取り上げました。「家じまい」は家の売却の意味ですが、都市部の家は資産価値が高く、売却が得策とは限りません。活用方法をご紹介します。
日本の高度経済成長期を支えた団塊の世代が2025年頃までに75歳を迎え、後期高齢者になります。団塊の世代は第一次ベビーブームの時期に生まれ、人口のボリュームも多い世代。これにより、日本は5人に1人が後期高齢者という超高齢社会になります。
2025年問題が社会に与える影響として、社会保障費の負担増加、医療・介護体制の維持、経済の縮小などが懸念されています。
LIFULL HOME'Sでは、超高齢社会で増加する相続に着目し、実家の「家じまい」をトレンドとしてあげました。理由の一つが売却査定依頼の理由のうち、「相続」の割合が年々増加していることです。5年前と比べて7.7%増加しているということです。
現代では核家族化の進行で、持ち家は一世代限りというケースが増えています。LIFULL HOME'Sでは、相続を機に実家の売却=「家じまい」が増加すると予想し、2025年を「家じまい元年」と提唱しています。
5人に1人が後期高齢者となる超高齢社会に。実家を売却する「家じまい」も増加すると予想される。
誰も継がない(住まない)実家は、やがて空き家となります。この空き家問題も社会問題として取り沙汰されています。空き家のまま放置し、管理が行き届いていないと「管理不全空き家」に指定され、固定資産税の住宅用地の軽減措置(6分の1等に減額)を解除されてしまう可能性があります。管理が行き届いていない判断は、「窓ガラスや外壁が破損している」「草木が生い茂っている」「定期的な管理を行っていない」などです。このリスクを回避するという意味で、早めに売却することはメリットがあるでしょう。
一方、売却には様々な諸経費がかかり、実際の手残りは売却価格の4分の3程度と、思ったより少ないことがデメリットとしてあげられます。
LIFULL HOME'Sによると、実家を売却した時の親の年齢は、70歳前後から増えはじめ、85歳頃がピークになるということです。今は地価が上昇していますが、10年後どうなっているかは分かりません。
三大都市圏のような都市部は土地の利用価値が高く、ポテンシャルを最大限引き出せば、収益を生み、資産価値が向上します。売却だけではなく活用も検討してみるとよいでしょう。
売却には様々な諸経費がかかり、実際の手残りは売却価格の4分の3程度になる。都市部の実家は資産価値が高く、売却だけでなく活用を検討したほうがよい。
では、実際どのように活用したらよいか。まず検討したい活用法は、自宅を賃貸併用住宅に建て替えることです。
賃貸部の家賃収入により、住宅ローンの軽減ができる他、副収入や相続時の相続税軽減効果といったメリットがありますが、高齢の親世代には暮らしの部分で大きなメリットがあります。例えば、高齢の親が住む戸建ての場合、二階はほとんど使っていないという話はよく聞きますが、賃貸併用住宅に建て替えれば、高齢者も住みやすい「ワンフロアライフ」が実現できます。
また、入居者が同じ建物に住むことによって、ゆるやかなコミュニティができ、高齢の親世帯にとっては安心感が得られます。さらに、賃貸部分に家族を住まわせることも考えられ、将来的な家族の変化に合わせて柔軟に対応できます。
賃貸併用住宅については、バックナンバー「オーナー調査から発見!賃貸併用住宅の新しい価値とは?」で詳しく解説しています。
実家を賃貸併用住宅に建て替える。賃貸併用住宅には、「経済的メリット」の他に「暮らしの価値」がある。
高齢夫婦のニーズには次のようなものがあります。
「一軒家は広すぎ、管理も大変。もっとコンパクトな住まいに住みたい」
「施設に入るにはまだ早い。とはいえ将来の健康不安もある」
これらのニーズに応えたのが「ヘーベルVillage」のようなシニア向け安心賃貸住宅です。
「ヘーベルVillage」ではシニアが気軽に住める賃貸住宅でありながら、緊急時の見守り・駆けつけサービスや、相談員による定期訪問などがあり、高齢者施設に入る前のシニアの新しい住まいとして人気の賃貸住宅です。
そこで、親世代は「ヘーベルVillage」に住み替え、自宅は賃貸住宅に建て替えて活用します。建て替え費用で資産を圧縮でき、賃貸住宅の収益を将来の納税対策として活用することもできます。実家の「家じまい」をするのではなく、収益性の高い賃貸住宅であれば、子ども世代に負担をかけず喜ばれるでしょう。
実家を賃貸住宅に建て替えることで収益不動産として生まれ変わり、資産の圧縮効果も。将来の相続もスムーズとなる。