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評価替えで固定資産税の負担が増える!?

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2018年6月 5日

評価替えで固定資産税の負担が増える!?

今年は3年に一度の固定資産税の評価替えの年になります。すでに平成30年度の「固定資産税・都市計画税納税通知書」が届いていると思いますが、都市部を中心としたこの数年の地価の上昇を考慮すると、多くの方の固定資産税の負担が大きくなっていることと思います。地価の上昇は利用価値の上昇ともとれます。負担増の対応策としても、土地の効果的な有効利用が必要となるでしょう。

地価上昇で固定資産税の負担も増える

土地・家屋の固定資産税は3年に一度、評価額を見直します。これを「評価替え」と言います。本来は、毎年評価額を査定すべきですが、膨大な量の土地・家屋があるため、実務的に不可能です。そこで3年に一度の評価替えが行われ、3年間評価は据え置かれるのです。そして、今年はその評価替えの年にあたります。

土地に関しては、今回の評価額は平成29年1月1日の公示地価が基準になります。前回の基準となるのが平成26年1月1日ですが、ご存じのとおり、この3年間で地価は三大都市圏を中心に上昇しています。東京都の実際の公示地価の推移を見てみます。

東京区部全域で見ると平成26年の地価は1m2あたり504,800円、平成29年は同549,100円で、44,300円の上昇です。区部の平均を上回る文京区では3年間で75,600円の上昇です。単純計算で200m2の土地で1,512万円の上昇、330m2では2,495万円の上昇になります。

土地の評価額は公示地価の7割を目途とされ、なおかつ急激に負担が増えないように調整措置がとられてはいますが、地価が上がれば固定資産税も上がることは間違いありません。場合によっては、負担調整の見直しで評価額の上昇以上に固定資産税が上がるといったこともあります。
固定資産税の評価は土地・家屋共に非常に複雑なのです。

■東京都公示地価推移(住宅地)1平米あたり

今年は3年に一度の固定資産税の評価替えの年。この数年、地価は上昇トレンドとなっている影響で固定資産税の負担は大きくなる。

固定資産税評価額は複雑な補正率や負担調整率で決まる

固定資産税・都市計画税は土地と家屋に分けて計算します。計算式は次のとおりです。
●固定資産税=固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率)
●都市計画税=固定資産税評価額(課税標準)×0.3%(標準税率)

土地の固定資産税評価額は公示地価の7割が目途と書きましたが、実はかなり複雑な計算のため、専門家でも難しいと言われています。土地と家屋、それぞれの評価額の算出方法を見てみます。

土地については、次の計算式で求めます。
●土地の固定資産税評価額=固定資産税 路線価×補正率(不整形地、間口狭小など)×土地面積

相続税評価と同じように、固定資産税も道路に面する1m2当たりの価格を示す固定資産税路線価に土地面積を掛けて求めます。この固定資産税路線価が公示地価の7割になるように設定されているのですが、その他、土地の形状による補正がなされます。例えば、道路に面している間口が狭かったり、土地の形状がいびつだったりした場合は補正率によって減額されます。
また、小規模住宅用地の特例で、200m2までは評価額が6分の1に、200m2を超える部分から住宅の総床面積の10倍までの面積の住宅用地は評価額が3分の1になります。

これに加え「負担調整措置」というのがあります。税負担の急増を緩和しながらも公平な課税にしていくためにとられた措置で、平成9年度に導入されました。これはバブル期に急激に上がった実勢価格に対して、固定資産税評価額はなだらかに上がるよう負担調整する措置です。逆に、バブル崩壊後、地価が下落したのにもかかわらず固定資産税が上がったのは、バブル期に上げきれなかった分、負担調整が続いていたからです。その後もばらつきを均衡化するため、今も負担調整措置は続いています。

家屋の評価方法については、次の計算式で評価額が決まります。
●家屋の固定資産税評価額=再建築価額×減点補正率(経年減点補正率など)

再建築価額とは、評価の対象となった家屋と全く同じ建物を建てたとした場合の建築費のことです。これには家屋の構造、屋根、外壁、柱、建築設備などについて細かく評点数を定めて計算します。そして、その家屋の建築後の年数の経過によって生じる損耗の状況による減価を考慮し、経年減点補正がなされます。
ただし、家屋の固定資産税評価額は再建築価額の20%を下回らないことになっています。一般の木造住宅の場合、築30年も経てば実際の取引で値段がつかないケースが多いと思いますが、固定資産税評価はゼロにはならず、固定資産税はずっと負担することになります。

固定資産税評価額は計算方法や「負担調整措置」の考え方があり算出が複雑。専門家でも難しいと言われている。

意外と多い固定資産税の課税ミス、今年もすでに発生

固定資産税の計算は複雑で、実は毎年のように課税ミスが自治体から発表されています。例えば朝日新聞によると、朝日新聞埼玉版に掲載された課税ミスの掲載は過去10年で少なくとも14件もあったとのことです。

よくある間違いの一つが、評価額が6分の1になる小規模住宅用地の特例の適用漏れ。埼玉県和光市では特例措置の適用漏れを昨年発表し、過去8年分を返還しました。また、埼玉県宮代町では奥行きや間口の狭さによる減額補正をしない間違いがありました。

家屋でも課税ミスはあります。今年の1月、横浜市では経年減点補正率の間違いを発表しました。鉄筋コンクリート造と鉄骨造では補正率が異なりますが、両方の構造を組み合わせたビルをまとめて鉄筋コンクリート造の補正率で計算していたのです。耐用年数の短い鉄骨造のほうが減価は早いのですが、すべてを鉄筋コンクリート造の補正率で計算したため、減価が遅くなり、その分固定資産税額も過大となっていました。12年間の間違いで納税者への還付総額は8億8,000万円とのことです。また、東京都清瀬市でも、木造住宅と非木造住宅の補正率を逆にした間違いが、今年の5月に発表があったばかりです。
また、集合住宅の敷地内駐車場を「住宅用地」から外してあるということもあります。これは、間違いとは言えませんが、確認してみる価値はあります。

固定資産税評価に間違いがないかどうか、自分で判断するのは難しいのですが、まずは納税通知書をしっかり見てみましょう。そして、固定資産税評価に対して不服がある場合は、各市区町村(東京都23区内は東京都)に設けられた固定資産評価審査委員会に対して「審査の申し出」をすることができます。この申し出は3年に一度の評価替えの年にしか認められていません。つまり、今年を逃せば3年後、ということになります。期限は納税通知書を受け取った日の翌日から3カ月以内となっています。
また、評価以外の法令解釈や特例が適用されていないなどの事実確認などは、「審査請求」をします。期限は納税通知書が交付された翌日から3カ月以内ですが、こちらは毎年できます。気になるところがあれば、まずは市区町村(東京都23区内は都税事務所)に相談してみるとよいでしょう。

固定資産税評価額の間違いは意外と多い。疑問があったら、まずは市区町村(東京都23区内は都税事務所)に相談してみるのがよい。

固定資産税の負担増を補う、効率的な土地活用が必要

景気が上向き地価が上昇すること自体は、資産価値の向上となるので良いことなのですが、同時に固定資産税や将来の相続税などの維持・管理コストの負担が大きくなることを意味します。
特に都市部では、空き家、空きの多い駐車場、空室の多い老朽アパートなどは、維持・管理コストがかかり、資産としては不良資産と言わざるをえません。

特に空き家は維持・管理コストだけでなく、大きな社会問題に発展する可能性もあります。都市部の住宅密集地では、震災時の倒壊や火災などのリスクが、地域レベルで問題視されています。さらに、予想外の例として、東京都心の空き家にハクビシンが住み着いて繁殖していると話題に上ったこともあります。老人や子どもがかみつかれる被害もあり衛生面でも問題です。空き家を放置しておくと防災や防犯面でも近隣に迷惑がかかるのです。
そうした中、「空家対策特別措置法」が施行されました。これにより、①倒壊の恐れが高い、②衛生上著しく有害、③景観を損ねる、などに該当する「特定空家」と判定された場合、行政の権限で撤去することも可能になり、固定資産税が更地の6分の1になる優遇措置が適用除外となります。

また都市部では「子どもが独立し、今は両親が住んでいるが、いずれは誰も住まなくなる実家」は、少なくないでしょう。地価の上昇が続けば、固定資産税や相続税が重くのしかかってくることは避けられません。しかし、地価の高い土地は、利用価値の高い土地でもあります。賃貸住宅による土地活用などにより、収益を生む優良資産として活用することが十分に可能です。

先の「子どもが独立し、今は両親が住んでいるが、いずれは誰も住まなくなる実家」などは、両親が元気なうちに賃貸併用住宅に建て替えるといった方法もあります。
固定資産税を補う十分な収益が得られるだけでなく、将来の相続にも備えることができます。本来、誰も引き継ぐ人がいない実家では、相続税評価額を大きく減額できる小規模宅地等の特例が使えませんが、賃貸併用住宅なら使えるのが大きなメリットの一つです。
例えば、1、2階が賃貸住宅、3階が自宅の場合、敷地の3分の2が50%評価減になるのです。この小規模宅地等の特例は、軽減が50%でもかなりの節税効果がありますので、相続税対策としては非常に有効です。また、アパート経営による収益がありますので、建築費のローンの返済に加え、負担が大きくなる固定資産税の一部を経費にできたり、将来の相続税の納税資金の確保もできます。
三大都市圏などの都市部では、地価はまだ上昇すると見られています。これを機会に、資産の有効活用を考えてみてはいかがでしょうか。

■アパート併用の自宅を建てた場合の小規模宅地等の特例の適用

空き家、空きの多い駐車場、空室の多い老朽アパートなどは、固定資産税の負担が大きくのしかかる。土地活用など効率的な資産活用が必要。

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