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住宅地10年ぶりに上昇!「平成30年公示地価」

市場動向

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2018年4月10日

住宅地10年ぶりに上昇!「平成30年公示地価」

2018年1月1日時点の公示地価が国土交通省から発表になりました。4年前から上昇トレンドにあった地価は、今回も引き続き上昇。全国の住宅地が10年ぶりに上昇、地方商業地が26年ぶりに上昇と、上昇エリアは広範囲に広がりました。三大都市圏を中心に動向を見ていきたいと思います。

地価上昇が全国に波及!三大都市圏は5年連続の上昇

地価の上昇トレンドは今回も衰えることはありませんでした。勢いは地方の中核都市から地方圏へと広がりを見せています。
まず、商業・工業・住宅の全用途で全国平均が3年連続で上昇。バブルが崩壊した1992年以降で初めてのことです。そして、昨年横ばいだった住宅地が0.3%ですが上昇。住宅地の上昇は10年ぶりのことです。

また、昨年あたりから地方の中核都市4市、札幌市、仙台市、広島市、福岡市が三大都市圏を上回る上昇を示していましたが、今回も同様に高い上昇を見せています。さらには、上昇トレンドは地方圏の商業地にも広がり、なんと26年ぶりに上昇しました。

地価上昇の要因は、これまでと同じです。まず年20%のペースで増加している訪日旅行客の影響が大きいでしょう。今回、住宅地の上昇率ベスト3は北海道倶知安町(くっちゃんちょう)です。外国人に人気のスノーリゾート・ニセコの麓、旅行客のホテルにとどまらず従業員宿舎、別荘地などの土地需要が高まったといいます。ベスト4から6までは沖縄・那覇です。こちらも同様に訪日旅行客の影響による土地需要が高まっています。

■三大都市圏公示地価の変動率推移

■平成30年公示地価変動率(単位:%)

東京圏の傾向-住宅地、商業地の顔ぶれが変わる

今回、特徴的だったのは住宅地の最高価格地点が、千代田区番町エリアから港区赤坂エリアに移ったことです。赤坂エリアの1平方メートルあたりの価格は401万円です。このあたりはアメリカ大使館やスペイン大使館があるエリアで、新興の富裕層によるマンション需要が旺盛なことから、地価が大きく上昇しました。

住宅地は東京圏で見ても5年連続の上昇です。東京23区はすべての区で上昇が続いていて、昨年を上回る3.9%の上昇です。エリアとしては、JR上野東京ラインが開通し、交通の利便性が高まった荒川区が6.1%、北区が5.6%、足立区4.1%と都心よりも上昇幅が大きいのが特徴的で、埼玉、千葉、神奈川の主要都市でも上昇が続いています。

商業地では、一昨年にバブル超えした東京・銀座の山野楽器銀座本店が12年連続で全国最高価格になりました。上昇率は鈍化したものの1平方メートル5,550万円です。
また、昨年は上昇率ベスト10のうち7地点が銀座でしたが、今回は8地点を渋谷駅周辺が占めました。今渋谷は100年に1度と呼ばれるほどの大開発が進行しています。2019年度には超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」東棟が駅の真上に完成。2023年度には南側の桜丘口で再開発が完了。2027年度には渋谷スクランブルスクエアの中央棟と西棟が完成するなど、7つの大型再開発が進んでいます。

■東京圏公示地価の変動率推移

■東京圏変動率上位ー住宅地 ■東京圏変動率上位ー商業地

名古屋の傾向-商業地、住宅地ともに堅調に上昇続く

全国に先駆けて地価が上昇し始めた名古屋圏。特に2027年のリニア中央新幹線開業に向けた名古屋駅周辺の再開発で駅周辺の地価は高騰していました。今回、商業地上昇率トップの名古屋駅西側の「名古屋市中村区椿町15-2(ミタニビル)」は、2位の「名古屋市中村区名駅2-36-10(松岡第二ビル)」と共に上昇を続けています。2016年にはミタニビルは38.4%も上昇していました。そこから比べればいくぶん落ち着きましたが、それでも25.1%で全国でも5位、松岡第二ビルは25.0%で6位です。
その他のエリアも上昇は拡大し、名古屋市で見れば昨年の4.8%から6.2%に、ほとんどの区で上昇幅が去年より拡大しています。特に東区、中村区、中区では店舗・オフィス需要やマンション需要が堅調とのことです。

一方住宅地も0.8%と、昨年よりやや上昇幅が拡大しました。特に名古屋市では、堅調なマンション需要に支えられほとんどの区で上昇しています。
上昇率トップは、繁華街と住宅地の複合的なエリアの「名古屋市中区栄5-1-20」で9.8%も上昇。その他、自動車関連企業の好調な業績を背景に住宅需要が堅調な豊田市、大型商業施設の建設が続いた長久手市が高い上昇を示しました。

また、近隣の地方圏の岐阜県や三重県は商業地、住宅地ともにマイナスでしたが、インバウンド観光の成功例として訪日旅行客に人気の高山市は、中心部の商業地が9.9%もの上昇率を示しました。

■名古屋圏公示地価の変動率推移

■名古屋圏変動率上位ー住宅地 ■名古屋圏変動率上位ー商業地

大阪の傾向-最高価格、ミナミがキタを逆転

大阪圏の商業地の上昇率は東京圏3.7%を超える4.7%の上昇でした。
訪日観光客の大阪人気は依然高く、地価を押し上げています。それを象徴するかのように、大阪市の最高価格の地点が変わりました。1970年の調査開始以来、最高価格だったのはキタのグランフロント大阪南館で、今回は7.1%の上昇で1平方メートルあたり1,500万円。これに対し、訪日観光客で沸くミナミのクリサス心斎橋は22.5%もの上昇で1,580万円と逆転しました。ミナミは訪日観光客向けのホテル開発、ドラッグストアの出店が相次いでいます。
上昇率トップの道頓堀・づぼらやの27.5%は、三大都市圏の商業地でも上昇率トップでした。
同様に、京都市でも9.1%の高い伸び、神戸市も三宮地区の再開発が進み5.5%上昇しています。

一方、住宅地は大阪圏全体では0.1%増と横ばいを続けています。
市区町村別で見ると、京都市が1.3%上昇し、ほとんどの区で上昇しました。市内中心部の上京区、中京区、東山区等では、住宅需要のほか、宿泊施設需要も競合し、上昇幅が昨年より拡大しています。
大阪市は0.6%の上昇で、福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区がマンション需要で高い伸びとなっています。

■大阪圏公示地価の変動率推移

■大阪圏変動率上位ー住宅地 ■大阪圏変動率上位ー商業地

今後の地価動向はどうなる?

訪日観光客の増加によるホテル、商業施設等の再開発は、三大都市圏の中心部から始まり、地価を押し上げてきました。上昇幅はいくぶん落ち着きを見せていますが、依然上昇を続けています。また、この傾向は、地方の中核都市に及び、さらに今回では、地方の観光地に波及していることが鮮明になりました。
住宅地の上昇率ベスト3の北海道倶知安町やそれに続く沖縄・那覇、飛騨高山などの例、また大阪の最高価格をミナミがキタを逆転したことにも、その傾向は顕著に表れています。

景気回復を含め"地価上昇は東京五輪まで"、という声も聞かれます。しかし、東京五輪で訪日旅行客が増え、日本の安全性やおもてなしの魅力を感じればリピーターも増えるのではないでしょうか。加えて、旅行がしたいというだけではなく、住みたい、留学がしたい、仕事がしたいと、ニーズの幅が広がる期待もあります。東京住宅地の最高価格地点となった赤坂には海外富裕層向けの億ションが立ち並び、北海道などの長期滞在型リゾート地では同様の別荘ニーズが高いといいます。

また、三大都市圏では東京五輪に関係なく、駅前を中心に再開発が進んでいます。東京の商業地の上昇率上位では、訪日旅行客ニーズの高かった銀座から、渋谷へと変わり、住宅地はこれまで都心に近いながらも開発の遅れていた、いわゆる下町の荒川区、北区、足立区が人気となり、地価を押し上げています。
これらの傾向を見ても、東京五輪以降に上昇率は鈍化しても、上昇トレンドは続くことが予想されます。
さらに、来年の10月は消費税のアップが予定されており、駆け込み需要により地価への影響もあるかもしれません。

アパート・マンションオーナーにとっては、土地の資産価値と適切な利用方法を見極めることが大切になってきます。公示地価が上昇すれば、公示地価の8割程度を目安として決定される路線価(7月初旬発表)もおのずと上昇し、今後の相続対策にも大きな影響を与えることになるでしょう。今後も地価動向に注視していきたいと思います。

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