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平成30年「路線価」、主要都府県で5~6年連続上昇!

市場動向

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2018年7月17日

平成30年「路線価」、主要都府県で5~6年連続上昇!

相続税・贈与税の土地評価の算定基準となる路線価が7月2日、国税庁より発表されました。路線価は公示地価の約8割を目安に算出されますが、公示地価同様、上昇トレンドは衰えず、全国平均は3年連続の上昇となりました。主要都府県では5〜6年連続上昇です。

主要都府県では5〜6年連続上昇、訪日観光客効果の影響続く

路線価の全国平均は、前年比0.7%増で3年連続の上昇となりました。公示地価も上昇が続いていましたので、想定通りの結果といえます。都道府県別に見ると、上昇したのは13から18に増えています。また、都道府県庁所在地ごとの最高路線価の地点では、33都市で上昇、13都市が横ばい、下落したのは水戸市だけでした。
首都圏では、東京都が依然強く4.0%上昇、千葉県0.7%、神奈川県0.6%、埼玉県0.7%と5年連続の上昇です。愛知県は1.5%で6年連続上昇、大阪府は1.4%で5年連続上昇となりました。
18都道府県が上昇した一方で、29県は下落しています。兵庫県は、神戸・三宮センター街は22.5%と高い上昇を見せましたが、県平均では0.4%のマイナスで、エリア内でも二極化が広がっていることを伺わせます。

都道府県別で見て、最も上昇率が高かったのは沖縄県の5.0%です。先頃、沖縄県の観光客数がハワイを超えたと話題になりましたが、それだけではなく移住による人口増加もあり、那覇市中心部のホテル建設ラッシュ、米軍基地の跡地利用など、様々な要因が地価を押し上げています。
また、公示地価で住宅地の上昇率ベスト3となったスノーリゾート・ニセコの麓・北海道倶知安町(くっちゃんちょう)は、同地区の「道道ニセコ高原比羅夫線通り」が88.2%もの上昇を見せ、全国の主要地域で最も高い伸び率となりました。地方は訪日観光客の影響が大きく出ていますが、ここまで急激に伸びたのは、限定的なニーズによるものです。外国の富裕層による別荘の売買が盛んで、外国資本によるホテル建設ラッシュが続いています。

■主要都府県の標準宅地の対前年変動率の平均値推移(単位:%)

東京圏の動向ー周辺部の利便性の高いエリアも上昇

毎年話題になる、全国で最も路線価の高い東京銀座「鳩居堂前」。昨年はバブル期の価格を超えたと話題になりましたが、今年もさらに上昇しました。ただし、上昇率は昨年の26%から9.9%に下がり、上昇率ランキングも14位と後退しました。それでも路線価は4,432万円。昨年より400万円のアップです。
東京圏で上昇率ランキングの1位は、「港区北青山3丁目 青山通り」で15.8%上昇。トップになったのは2007年以来のことです。こちらも、上昇率は昨年の20.7%からは鈍化しています。

東京都内では、上昇率ランキング4位の足立区「北千住駅西口駅前広場通り」が14.5%上昇。北千住は東京電機大学など複数の大学を誘致し、今では学生の街としてかつてのイメージを一新しました。
その他、ランキングの6位がブランド力のある沿線、東急田園都市線の二子玉川駅の「世田谷区玉川2丁目玉川通り」で13.2%上昇。2015年の再開発以来、商業施設は年々活況を呈しています。
都内の税務署別最高路線価の上昇率で見ると、銀座、青山、四谷などの都心の他に、世田谷区や足立区など23区の周辺部を含めた10地点が10%以上上昇しています。
その他の周辺部で、上昇率の伸びが目立ったのが、「北区赤羽1丁目赤羽駅東口広場通り」9.8%、「品川区小山3丁目武蔵小山商店街通り」7.3%、「葛飾区新小岩1丁目新小岩駅南口広場通り」7.0%などがあります。

その他上昇率ランキングで、目立ったのが横浜駅西口で今年リッチモンドホテルが開業した「市道高島台107号線(鶴屋橋北側)」、再開発がさらに進む「川崎駅東口広場通り」で共に14.9%の上昇です。東京都心の商業地に比べれば、まだ割安と投資マネーが入っているようです。
都心部の上昇率がやや落ち着きを見せ、足立区や世田谷区、横浜市中心部など周辺部の利便性の高いエリアの開発が進んでいるようです。

■「鳩居堂前」最高路線価推移

■東京圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米当たり)

名古屋圏の動向ー名駅通り、24年ぶり1,000万円台

名古屋は2027年のリニア中央新幹線開通に向けた再開発が後押しし、地価の上昇をけん引しています。最も高かったのは、名古屋駅前「名古屋市中村区名駅1丁目 名駅通り」で1,000万円でした。これは、同市内で1994年の1,163万円以来、24年ぶりの1000万円越えとなりました。
昨年、駅周辺では大名古屋ビルヂング、JRゲートタワー、JPタワー名古屋と高層ビルの全面開業が続きました。名古屋駅地区のオフィス空室率は2.2%と高稼働が続いています。今後も高層ビル建設が続いているようで、名古屋駅周辺の地価上昇は続くと見られています。

上昇率ランキングで1位だったのは、「名古屋市熱田区金山町1丁目 新尾頭金山線通り」で22.8%上昇と昨年に続き20%を超える上昇です。
金山駅はJR東海道線や名古屋鉄道、市営地下鉄が乗り入れているターミナル駅です。大手企業の本社もいくつかあり、観光客とビジネスマンのどちらにもニーズがあります。複合商業施設「アスナル金山」の再開発構想もあり、このエリアもまだまだ地価上昇は続きそうです。

■名古屋圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米当たり)

大阪圏の動向ー依然高い上昇率、大阪市周辺も急上昇

昨年から東京、名古屋よりも上昇トレンドの強い大阪圏でしたが、やや上昇率は鈍化したものの、今年もランキング5位までは20%を超える上昇率でした。上昇率全国トップ10の中の6エリアは大阪圏です。
公示地価では最高価格が、ミナミがキタを逆転したことで話題になりました。路線価は、キタの阪急百貨店うめだ本店前の御堂筋「大阪市北区角田町」が6.8%上昇し1,256万円で、35年連続で近畿2府4県の最高値となりました。一方、ミナミは戎橋ビル前「中央区心斎橋筋2丁目」が22.3%上昇し1,184万円でしたが、来年あたりは超えるかもしれません。

大阪府の傾向としては、東京都と同様、地価の上昇が中心部から周辺部に割安感を求めて波及しています。例えば、堺市堺区の南海・堺東駅前の路線価は前年の5.3%から、今年は12.5%に急上昇しています。同エリアでは、マンション需要だけでなくホテル需要も高まっているといいます。

上昇率トップは、訪日旅行客で賑わう東山「四条通大和大路西入中之町」が25.9%と高い上昇率を示しました。京都中心部は、他に四条河原町交差点に近い「下京区四条通寺町東入2丁目御旅町」の21.2%、河原町通りの「中京区河原町通四条上る米屋町」の19.9%も高い上昇率を見せました。ただし、京都市以外では、横ばいか下落が続き南北格差の傾向が強くなったといいます。

■大阪圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米当たり)

今後の動向ー緩やかな上昇トレンド続く!? 5年間の上昇は大きい。

主要都府県では、上昇率は鈍化したものの路線価は上昇しています。東京都心部の地価高騰はミニバブルだという人もいれば、実需に見合った上昇だという人もいます。大方の見方としては、東京、名古屋、大阪ともに、今後も地価は緩やかに上昇すると見られています。
路線価が上がり始めて5年が経ちます。1、2年ならさほどの影響はないかもしれませんが、今後も上昇を続けるとなると、土地オーナーは相続対策、固定資産税負担などを含めた資産管理を見直す時期にきているといえます。

5年前と今の路線価を価格で比較してみます。
例えば東京の上昇率が高かった足立区の北千住駅の路線価は2013年182万円、2018年284万円で102万円アップ。56%の上昇です。世田谷の二子玉川駅は2013年170万円、2018年257万円で87万円、51%のアップです。
住宅地になると、ここまでの高騰はないかもしれません。しかし路線価は1m2あたりの価格です。仮に10万円上がったとしたら、単純計算で200m2の土地なら2,000万円上がる計算になります。実際の相続税の計算にあたっては評価減などの上で税率をかけますが、負担増は否めないでしょう。

アパート・土地オーナーにとって路線価の上昇は、将来の相続税の負担増加につながります。相続対策を含めた資産管理・運用をより綿密に計画的に考える必要がありそうです。
路線価は国税庁のホームページで調べることができます。ぜひ、チェックしてみてください。

国税庁路線価図・評価倍率表

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