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平成30年「基準地価」、全用途平均が27年ぶりに上昇!

市場動向

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2018年10月10日

平成30年「基準地価」、全用途平均が27年ぶりに上昇!

国土交通省から基準地価(7月1日時点)が発表されました。地価は三大都市圏を中心に5年ほど前から上昇を始めています。上昇トレンドは衰えることなく、より力強いものになり、商業地とともに住宅地も上昇しています。三大都市圏の地価動向を見ていきます。

上昇トレンド強まる、地方の観光地へも波及

基準地価は、毎年7月1日時点の地価について各都道府県がとりまとめ、9月に公表するもので、公示地価と共に重要な土地取引の指標となります。昨年の基準地価は商業地の全国平均が10年ぶりに上昇しましたが、今年は全国平均の全用途が下落から上昇に転じました。バブル景気の影響を受けた1991年以来、27年ぶりとのことです。総じて地価の上昇トレンドは衰えを見せていません。
住宅地の全国平均はいまだマイナスですが、下落幅の縮小傾向は続いています。商業地の全国平均は2年連続の上昇、上昇幅は伸びています。

三大都市圏を見ると、その上昇トレンドはさらに顕著になっています。特に大阪の住宅地は横ばいから上昇に転じ、三大都市圏の各圏域では住宅地、商業地の全てが上昇となりました。商業地は東京圏、名古屋圏、大阪圏ともに6年連続の上昇です。やはり、訪日外国人の増加に伴うホテル・商業施設の需要の高まりは大きく、再開発などの投資需要は拡大しています。加えて景気回復も順調に進み、オフィスの空室率は低下傾向が続き、賃料の改善も見られているということです。

また、4年前から三大都市圏を上回る上昇を示している地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)は、今回さらに上昇トレンドを強めました。また、公示地価でも話題になりましたが、基準地価の上昇率1位は商業地、住宅地ともに、外国人に人気のスキーリゾート・ニセコ、北海道倶知安町です。商業地45.2%、住宅地33.3%もの上昇でした。
住宅地の上昇率ベスト10を見ると、ベスト3が倶知安町、沖縄県は那覇市エリアなど6地点が入っています。もともと地価の安いエリアだけに、観光需要とともに別荘などの居住エリアとしても人気が高まっています。

■基準地価の変動率推移

東京圏の動向-都心部から利便性高く、割安感あるエリアへ拡大

全国で最も高い基準地価として有名な銀座2丁目「明治屋銀座ビル」は前年比7.7%上昇し、1平方メートルあたり4,190万円になりました。1991年バブル期のピーク3,800万円を2年連続で超えました。

商業地の上昇率では、新宿区歌舞伎町が初めてトップになりました。2位は横浜駅再開発の期待感から同駅近くの横浜市神奈川区鶴屋町、その他、訪日外国人で賑わう浅草、大規模再開発が続く渋谷区が大きく上昇しました。また、高い上昇率を示す区が都心から、荒川区、北区、墨田区、板橋区、足立区の周辺の区に拡大しています。
武蔵野・多摩エリアでは吉祥寺駅周辺でファンドによる不動産の需要が強く、高い上昇率を維持しています。

東京の住宅地では荒川区西日暮里の他、足立区、江東区、北区といったエリアが上昇率の上位に並んでいます。商業地と同様に、都心に近いのに土地の値段が割安な北東部エリアに上昇トレンドが広がっているのが分かります。
千葉県では、東京湾アクアラインの影響で県外からの需要もあり、君津市、木更津市で高い上昇が続いています。

■東京圏(東京都・神奈川県)の地域別変動率

■商業地変動率上位-東京圏(単位%)

■住宅地変動率上位-東京圏(単位%)

■東京圏住宅地

※国土交通省「平成30年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

名古屋圏の動向-名駅から栄・伏見に開発が広がる

2027年予定のリニア中央新幹線の開業に沸く名古屋駅では3年前に45.7%も上昇する地点を見せましたが、駅周辺の大規模再開発は一巡したと言われています。それでも中村区のエリアでは20%を超える依然高い上昇率を示しています。駅東側の「名駅野村ビル」は上昇率が24.5%で、全国の商業地で7位の伸び率でした。

しかし、再開発の動きは名駅から東側の伏見・栄地区に広がり地価が大きく上昇しています。これまで、エリアトップの上昇率だった名古屋駅のある中村区が12.2%、栄・伏見のある中区が16.0%の上昇率となり、中区が中村区を上昇率で12年ぶりに逆転したと話題になっています。市営地下鉄伏見駅に近い「名古屋鴻池ビルディング」は上昇率24.8%で名古屋圏では上昇率トップ、全国で5位です。

住宅地は、名古屋市で1.6%上昇。都心回帰の動きが見られ、住居や投資目的でのマンション需要は高いとのこと。上昇率が高かったのは、長久手市の3.9%です。商業施設開業による利便性の向上や人口増加を背景に上昇しました。

■商業地変動率上位-名古屋圏(単位%)


■名古屋圏住宅地

※国土交通省「平成30年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

大阪圏の動向-京都市は商業地、住宅地ともに上昇率に勢い

昨年に続き、都道府県別の商業地トップは2年連続で京都で7.5%上昇しました。大阪圏の商業地上昇率10位のうち8地点、住宅地上昇率10位では9地点が京都市です。商業地のトップは八坂神社周辺で、全国でも2位の29.2%の上昇です。繁華街の四条河原町から徒歩10分ほどのエリアで、参道に続く商店街は訪日外国人で賑わっています。京都市は需要が高い割に、一つずつの区画が狭く、開発用地が不足しています。その影響で地価が上昇しやすい状況にあります。

大阪の商業地の最高価格は、ミナミ(難波・心斎橋)の商業ビル「クリサス心斎橋」で1平方メートルあたり1,680万円。これは、4年連続トップだったキタ(梅田)の複合施設「グランフロント大阪南館」同1,620万円を抜き逆転しました。これは公示地価に続いての逆転現象です。
クリサス心斎橋は道頓堀川の戎橋に隣接し、周辺でもホテルやドラッグストアの進出が旺盛です。ミナミでは訪日外国人の賑わいの他、オフィス需要が高いようです。

住宅地は、京都市、大阪市、堺市、神戸市、奈良市などで上昇。京都市は2.0%上昇し、下落が続く山科区を除き全ての区で上昇幅が拡大しました。利便性の高い都市部の中京区、上京区では7%超の伸び率を示しています。
大阪府で見ると、昨年まで4年連続で横ばいでしたが0.2%上昇。10年ぶりに上昇に転じました。都心に近い利便性の高いエリアでマンション建設が盛んです。

■商業地変動率上位-大阪圏(単位%)


■大阪圏住宅地

※国土交通省「平成30年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

地価上昇トレンドは今後も続く。訪日外国人の動向が鍵

基準地価の上昇トレンドは勢いを増しているように見えます。一部バブルの懸念も出ていますが、それは地価が上昇し始めた4、5年前から言われていたことです。国土交通省では実需に基づいて上昇していると分析し、背景としては(1)雇用・所得環境が改善する中で、低金利環境の継続等による需要の下支え効果もあり、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に住宅需要が堅調であること、(2)外国人観光客の増加等による店舗、ホテル需要の高まりや再開発事業の進展を背景に投資需要が拡大していること、としています。

地価の上昇は年々都市部から郊外へ、三大首都圏から地方中核都市へと広がりを見せています。東京では、都心から北東エリアへと地価の上昇が広がっています。これまで都心に近く利便性が高かった割に開発が進んでいなかった、下町エリアです。よく話題に上がる『住みたい街ランキング』等でも、北千住や赤羽の人気が高まっていることからも伺えます。今後も、城東エリア(台東区、荒川区、墨田区、江戸川区、江東区)への人気が高まり、再開発が進むと思われます。

また、訪日外国人の影響は依然強く、日本全国を見渡せば、北海道、京都、沖縄県の基準地価を大きく引き上げています。しかも、商業地だけではなく住宅地も押し上げる傾向にあります。今回、沖縄県の住宅地は4.0%上昇し、2位の東京都の2.4%を抑え、3年連続でトップです。
しかし、懸念材料もあります。今回の基準地価は7月1日時点のため、7月の西日本豪雨、台風21号、北海道地震など大規模災害の影響は含まれていません。観光地への影響は大きく、いまだに宿泊キャンセルが続いています。北海道の地震などで"日本は危ない"との印象が広がれば訪日外国人が減り、これまでとは逆の影響が地価に表れるかもしれません。

大きなトレンドとしては、今後も地価の上昇は続くと思われますが、土地オーナーにとって、地価動向は相続税への影響もあります。外部要因も含めた経済動向、地価動向に注視したいところです。

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