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2019年「路線価」、東京圏・大阪圏で6年連続上昇!

市場動向

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2019年7月16日

2019年「路線価」、東京圏・大阪圏で6年連続上昇!

相続税・贈与税の土地評価の算定基準となる路線価が、7月1日国税庁より発表されました。路線価は公示地価の約8割を目安に算出されますが、公示地価同様、上昇トレンドは衰えず、全国平均は4年連続の上昇となりました。東京圏・大阪圏では6年、愛知県は7年連続上昇です。

上昇トレンド続く!東京圏・大阪圏では6年連続上昇

今年も路線価が上昇しました。全国平均は、前年比1.3%上昇で4年連続の上昇となりました。上昇率は、この4年で最も高くなりました。また、都道府県庁所在地の最高路線価は、33都市で上昇、13都市が横ばい、下落したのは鳥取市だけでした。

首都圏では、訪日旅行客のみならず企業、人口の一極集中が続く東京都が強く4.9%上昇、千葉県1.0%、神奈川県0.9%、埼玉県1.0%で6年連続の上昇、上昇幅も増えています。また、いち早く地価が上昇した愛知県は2.2%で7年連続上昇、大阪府は1.9%で6年連続上昇となりました。いずれも上昇幅はアップしています。兵庫県も、マイナスから横ばいになりました。

都道府県別で、最も上昇率が高かったのは沖縄県の8.3%で2年連続の1位です。沖縄の税務署ごとの最高路線価を見ても那覇署が7年連続の他、宮古島署と石垣署が2年連続の上昇となるなど離島も含めて上昇しています。沖縄県は、訪日外国人だけではなく、日本の移住者も増えているとのことで、地価上昇の一因になっています。
2位は東京4.9%、3位は仙台市を中心に再開発が活発な宮城県4.4%、4位福岡県3.6%、5位京都府3.1%でした。この数年、京都の伸びが顕著になっています。

訪日外国人に人気で地価が大きく上昇し話題となった北海道のニセコ地区は、5年連続で上昇率トップで50%の上昇となりました。2位は京都市東山区四条通で43.5%上昇と大きな上昇を見せています。

■主要都府県の標準宅地の対前年変動率の平均値推移(単位:%)

東京圏の動向-城東・城北エリアが大幅に上昇

大都市の中では最も上昇率が高かったのが東京都です。毎年話題の東京銀座「鳩居堂前」は、今年も上昇し、1m2あたり4,560万円で、3年連続過去最高を更新しました。ただし、上昇率は前々年26%、前年9.9%、今年2.9%と鈍化しています。上昇率ランキングを見ても、銀座や青山は上昇していますが、上げ幅は鈍化しています。代わって台頭してきたのが、交通の利便性が高いもののこれまで低迷していた城東・城北エリアです。

東京都内48税務署の最高路線価を見ると、46地点が上昇し、青梅、日野管内の2地点が横ばい。23区に絞ると全40地点で前年比プラス、上昇率10%以上の地点は前年の10地点から22地点に倍増しました。
上昇率ランキングトップは、浅草雷門通りで35%の上昇率です。連日、訪日旅行客で賑わっています。複数の大学誘致で学生の街となった足立区北千住駅西口は、前年14.5%、今年はさらに上昇幅をあげ20.1%の上昇です。
その他の城東・城北エリアでは、江東区亀戸駅北口が18.5%、墨田区錦糸町駅南口が17.9%、北区赤羽駅東口が13.4%と高い上昇率を見せています。

その他上昇率ランキングでは千葉県の船橋市船橋駅19.7%、市川市本八幡駅19.6%でランキングの3位、4位となっています。東京都心へのアクセスがよく、人口増が続いているエリアです。東京圏は、訪日旅行客の影響で都心を中心に地価上昇を続けてきましたが、都心の地価上昇は鈍化し、アクセスのよい周辺、近郊都市の地価が大幅に上昇しています。

■「鳩居堂前」最高路線価推移

■東京圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

名古屋圏の動向-名古屋駅から繁華街、職住近接エリアに波及

名古屋圏では、愛知県が2.2%上昇し、7年連続の上昇となりました。
上昇率トップは、名古屋の繁華街の栄です。大津通り沿いの名古屋三越栄本店前で、前年の13.3%から今年は23.5%と上昇幅も10%以上伸びました。栄エリアは、商業施設を中心に再開発が多く計画されています。
昨年ランキング1位だった「名古屋市熱田区金山町1丁目 新尾頭金山線通り」の金山駅は、今年も20.1%で3年連続で20%を超える上昇です。金山駅はJRや私鉄、地下鉄が乗り入れているターミナル駅で、オフィスニーズもあり、利便性の高さから駅周辺でマンション建設も盛んです。

名古屋は、2027年のリニア中央新幹線開通に向けた再開発が後押しし、地価が全国に先駆けて上昇しました。名古屋駅周辺は大規模開発が続き、オフィスの空室率は最低水準です。まだまだ、再開発は続いていますが、地価の上昇率は一服感が見られます。JR名古屋駅前の路線価格は1m2あたり1,104万円と、名古屋圏では最高価格ですが、伸び率は前年の13%から今年は10%になりました。今後は、栄や金山に見られるように、職住近接のニーズが満たせるエリアの地価が上昇していくことが予想されます。

■名古屋圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

大阪圏の動向-京都、新大阪、江坂が急上昇、ベイエリアにも注目

大阪圏の上昇率トップは昨年に続き京都の東山区四条通で前年の25.9%から43.5%の大幅な上昇幅となりました。これは全国で2位です。京都では、続いて左京区川端通の30.2%、下京区の20%と、いずれも高い上昇率を示しています。京都市内全7税務署の最高路線価はすべて上昇し、うち6税務署は2桁の上昇です。要因は訪日旅行客増加によるホテル建設です。京都市は、もともと面積が狭いエリアで建築条例も厳しく、再開発しづらいエリアですが、最近では小規模な土地でもホテルが建設されています。

大阪府の上昇率トップは大阪市淀川区の新大阪駅前のニッセイ新大阪ビルで38.9%の上昇です。続いて吹田市豊津町の江坂駅前が36.4%、豊中市新千里東町の千里中央駅前が29.%上昇し、梅田以北の御堂筋線が大阪府の上昇率トップ3です。
特に、新大阪駅と江坂駅は前年に比べ上げ幅が3倍以上という急激な上昇です。
新大阪駅は、今年3月に「おおさか東線」が全線開通し、奈良方面と結ぶ直通列車が運行したことで、オフィスやホテルの需要が高まっています。今後は2031年「なにわ筋線」開通で関西国際空港までのアクセスが改善、2037年にはリニア中央新幹線が名古屋から新大阪まで延伸、2046年には北陸新幹線が新大阪まで延伸する計画もあり、当分は開発が続きそうです。
江坂駅は、単身者やファミリーにも人気の街で、最近では新大阪同様、オフィス需要も高まっているといいます。大阪中心部では、オフィスの供給が需要に追いつかず、割安で利便性の高い御堂筋沿線にニーズが波及しています。
中心部でも、御堂筋27.4%、心斎橋25.7%、難波26.0%と依然高い上昇率を示しています。

今後、注目されるのは2025年の大阪万博などの影響が期待されるベイエリア、人工島の夢洲(ゆめしま)、咲洲(さきしま)です。会場予定地の夢洲には、今回新たに路線価を14地点設定しています。また、となりの咲洲のコスモスクエア駅前は4.3%増と、3年ぶりに上昇しました。また、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致も続いており、決定すればベイエリアの人気はさらに高まると予想されています。

■大阪圏の最高路線価上昇率トップ5(1平米あたり)

今後の動向-6年連続増加で負担増は確実、東京オリンピック後は?

愛知県で7年、東京圏、大阪圏で6年連続、路線価は上昇しました。今年はどのエリアも、中心部から周辺部に上昇トレンドが波及しているのが特徴です。土地オーナーにとって、これは警戒すべきレベルといえるでしょう。
固定資産税は負担調整措置がありますので、急激に負担が増えることはありませんが、相続評価に関しては、負担増を免れません。地価の上昇で、5年前に実施した相続対策の効果がなくなったという話も聞きます。この4〜5年資産査定をしていないのであれば、あらためて資産の査定をし、その時の相続対策が有効か確認したほうがよいでしょう。

東京オリンピック後、地価がどうなるのか?さまざまな意見が飛び交っています。こればかりは、実際その時を迎えなければ予測は難しいでしょう。しかし、東京以外の日本全体を俯瞰すれば、大阪万博、統合型リゾート(IR)の誘致、リニア中央新幹線開通など、経済成長や地価上昇につながる大きなイベントが控えています。

いずれにせよ、アパート・土地オーナーにとって路線価の上昇は、将来の相続の負担増加につながります。相続対策を含めて資産価値を見直す時期ともいえるでしょう。路線価は1m2あたりの価格です。10万円上がれば、200m2の土地なら単純計算で評価額が2,000万円上がることになります。
路線価は国税庁のホームページで調べることができます。ぜひ、チェックしてみてください。

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