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2019年「基準地価」、三大都市圏7年連続上昇!

市場動向

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2019年10月 8日

2019年「基準地価」、三大都市圏7年連続上昇!

国土交通省から、7月1日時点の基準地価が発表されました。地価は三大都市圏を中心に7年前から上昇を始めています。上昇トレンドは衰えることなく、全国へと広がりを見せ、商業地とともに住宅地も上昇しています。三大都市圏の地価動向を見ていきます。

地価上昇は全国に広がり、地方商業地は28年ぶりの上昇!

今回発表の基準地価で特徴的だったのは、三大都市圏を除く地方の商業地が前年比0.3%上昇したことです。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)を中心に、駅周辺の大規模再開発や訪日外国人向けのホテル需要が衰えません。地方四市に関しては、商業地10.3%、住宅地4.9%と共に上昇、今回も三大都市圏をしのぐ大きな上昇となっています。

その他、長崎では2022年度に九州新幹線が開通、21年には国際会議場と高級ホテルが開業、23年にサッカーJリーグのスタジアムを核とする複合施設が開業と、駅周辺は「100年に一度」と言われている大規模な再開発で、長崎市の商業地は平均4.8%の上昇をみせています。
また、地方では数年前から地価が急騰している北海道倶知安町が、今回も大きく上昇しています。対前年商業地66.7%、住宅地66.7%の上昇で上昇率がともに全国1位。スキーリゾートは特に外国人に人気があります。
三大都市圏に限らず、全国で再開発が盛んなようですが、地方圏の商業地が上昇するのは1991年以来、28年ぶりです。

三大都市圏も、全体の傾向を見ると上昇トレンドは続き商業地は東京圏、名古屋圏、大阪圏ともに7年連続の上昇です。東京都心部では、一服感が見られるものの、あちらこちらで再開発が続いています。要因は、訪日外国人の増加によるホテル・商業施設、交通インフラの開発、さらには「景気回復に伴い高水準の企業収益が続く中、働き方改革等に対応したオフィス環境の改善のための拡張・移転の動きも加わり、主要都市ではオフィスビルに対する需要が堅調」など多様な需要が競合することで地価が上昇していると見られています。

■基準地価の変動率推移

東京圏の動向-都心部は一服感、東京都の住宅地は2.5%上昇

全国で最も高い基準地価は、今回も銀座2丁目「明治屋銀座ビル」でしたが、昨年の7.7%から、今回は3.1%上昇と鈍化しました。しかし、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)は8〜9%の上昇です。虎ノ門では、日本一の高さとなる超高層タワーが建設予定で、20年には地下鉄「虎ノ門ヒルズ駅」が新設されるなど再開発が進み、18.1%の上昇です。

都内の商業地で最も上昇率が高かったのは、浅草1丁目34.5%、次いで西浅草2丁目31.1%の上昇。都内で上昇率が30%を超えるのは07年以来12年ぶりとのことです。

東京都の住宅地は2.5%の上昇。公示地価でも見られたように、都心部周辺の荒川区、足立区、台東区などが上昇しています。東京都上昇率トップ10のうち9地点が23区の北部に固まり、都心5区の地点はトップ10に入りませんでした。地価上昇は周辺部に広がりを見せています。

千葉県でも地価が堅調に上昇。商業地はリーマン・ショック直前の水準を上回りました。上昇率が最も高かったのは市川市八幡2丁目の22.5%上昇。JR八幡駅周辺はタワーマンションの建設ラッシュに沸き、北口で新たな再開発が進んでいます。次いで東京ディズニーリゾートに近い浦安市美浜1丁目が22.4%上昇。ホテル開発が活発なエリアです。2つの地点は東京圏で見ても上昇率は4位、5位です。
住宅地で東京圏トップが千葉県柏市大室で11.5%上昇。ここは、つくばエクスプレス沿線に位置し、昨年は1.0%の下落でした。近隣で区画整理や都市計画道路の整備が進み、宅地開発に対する期待が一気に高まったとのことです。

■東京圏(東京都・神奈川県)の地域別変動率

■商業地変動率上位-東京圏(単位%)

■住宅地変動率上位-東京圏(単位%)

■東京圏住宅地

※国土交通省「令和元年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

名古屋圏の動向-住宅地中区錦の地価は渋谷と同水準

2027年のリニア中央新幹線の開業に沸く名古屋。中心部の開発が住宅地の地価も押し上げています。名古屋市内の住宅地は、2.1%上昇と7年連続の上昇です。特に、上昇率トップの名古屋市中区錦一丁目は25.4%の上昇で、価格は1m2あたり106万円。これは、渋谷区の平均約114万円に迫る水準です。
名古屋市中心部では職住近接のニーズが高まっていて、富裕層向けのマンションの人気が高く地価を押し上げているようです。

市郊外となる港区エリアでも、住宅地が11年ぶりにプラスに転じています。名古屋港周辺では、大型商業施設「ららぽーと名古屋みなとアクルス」の開業など複数の再開発計画が進んでいます。

商業地で最も上昇率が高かった地点は、金山と栄の間に位置する中区富士見町で27.3%上昇しました。この地点が上昇率トップになるのは初めてのことです。2位は中村区名駅南で26.6%上昇。劇団四季専用劇場、グローバルゲートといった商業施設が開業し、開発が進んでいます。この他、栄、金山の商業地の上昇率が高く、名古屋駅周辺から広がりを見せています。

■商業地変動率上位-名古屋圏(単位%)

■名古屋圏住宅地

※国土交通省「令和元年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

大阪圏の動向-大阪商業地の上昇率が加速

三大都市圏の中でも最も大きな上昇を見せたのが大阪圏の商業地です。地点のランキングでは3位までが40%を超える上昇となっています。また、上昇率ベスト10を見ると、昨年は京都市が独占状態でしたが、今回は8地点が大阪市、残り2地点が大阪府吹田市と京都市です。
最も高かったのは、ミナミの繁華街、中央区宗右衛門の商業ビルです。45.2%もの上昇で、1m2あたりの価格は2440万円。価格としても大阪圏の最高価格で、これは2016年比の2.2倍の価格です。今年の4月に米投資ファンドから、日本企業が買い取ったことも地価を押し上げた要因の1つです。昨年、大阪中心部では、ミナミがキタを逆転したと話題になりましたが、さらに差を広げました。価格2位はキタのグランフロント大阪で1m2あたりの価格が2170万円、上昇率は34.0%です。

ミナミは、訪日外国人旅行客で賑わい、道頓堀付近のドラッグストアの賃料は東京都内を上回る場所もあり、地価はピークを迎えているとの声もあります。一方のキタはオフィス需要が旺盛で、バブル期以来の空室不足とのこと。オフィスの新規供給が待たれている状況です。

大阪圏の住宅地は、昨年上昇に転じましたが、今回も0.3%上昇しました。大阪市、茨木市、堺市でマンション需要が高まっています。
京都市は2.0%上昇。市内中心部の上京区、中京区、下京区、東山区などでは、住宅需要の他、ホテルなど宿泊施設需要も競合し、高い上昇率を示しています。

■商業地変動率上位-大阪圏(単位%)

■大阪圏住宅地

※国土交通省「令和元年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

再開発は、全国的に今後もめじろ押し、地価上昇トレンドは続く!?

今回、地方圏の商業地が28年ぶりに上昇に転じました。三大首都圏では7年連続の上昇です。上昇エリアは、確実に全国に広がりを見せています。これまで、地価上昇の要因は、訪日外国人に起因する要素が大きかったのですが、最近では景気回復や働き方改革によるオフィス需要の喚起や、雇用・所得環境の改善が続き住宅取得需要の下支えなどが、地価上昇の要因として考えられています。

景気動向に関しては、消費税増税後の影響や、訪日韓国人の減少、世界情勢など、今後どうなるか不透明な部分も多いのは事実です。また、今年も台風など自然災害に悩まされ、地価への影響も少なからずあると思われます。
住宅取得需要に関しては、低金利の維持や住宅取得支援施策等の影響で、増税前の駆け込み需要はそれほど大きくなかったようです。ただし、東京都のマンション平均価格は一戸あたり6000万円を超え、区部に限ると7000万円を超えています。一般のサラリーマンがそう簡単に買える金額ではなくなりました。その影響で、今中古マンションの人気が高く、成約件数は3年連続して新築を上回っているようです。つまり、住宅取得需要そのものは、衰えていないということです。夏に、オリンピックの選手村のマンション「晴海フラッグ」が売り出され、坪単価300万円前後でしたが、平均倍率は2.57倍と好調でした。

いよいよ、来年はオリンピックが開催されます。東京の地価はその後が心配されていますが、東京も含め、大阪、名古屋、長崎や「天神ビッグバン」と言われ開発が進む福岡など、再開発は全国的に続き、地価を押し上げる要因となる可能性はあります。

大きなトレンドとしては、今後も地価の上昇は続くと思われますが、土地オーナーにとって、地価動向は相続税への影響もありますので、気になるところです。外部要因も含めた経済動向、地価動向に注視したいところです。

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