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2020年「基準地価」、コロナショックが地価直撃!

市場動向

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2020年10月20日

2020年「基準地価」、コロナショックが地価直撃!

国土交通省から、7月1日時点の基準地価が発表されました。コロナ禍で予想されていたとおり、基準地価は下落基調になりました。特にインバウンド需要が旺盛だった商業地に大きな影響が出ています。三大都市圏の地価動向を見ていきます。

三大都市圏の住宅地は7年ぶりに下落、商業地は上昇幅縮小

緊急事態宣言から約半年がたち、街は少しずつ活気を取り戻しつつありますが、まだまだ新型コロナウイルス感染拡大の懸念は拭えません。これまで、インバウンド需要の影響で上昇を続けてきた地価にも、当然その影響が出ています。

三大都市圏の全用途平均は7年連続上昇していたのですが、横ばいとなりました。用途別に見ると、住宅地は東京圏、名古屋圏、大阪圏はそろってマイナスとなり、三大都市圏の住宅地は7年ぶりに下落となりました。
商業地は名古屋圏を除いてプラスはキープしたものの、三大都市圏全体では上昇幅が5.2%から0.7%に縮小しました。ただし、コロナ禍であっても再開発が進んでいる地域もあり、例えば東京都内で最も上昇したのは、6月に開業した東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」がある東京都港区の商業地で、9.1%の上昇でした。

また、三大都市圏よりも大きく上昇していた地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)は、上昇幅は縮小したものの、上昇を継続しています。特に天神ビッグバンといわれる再開発が進行する福岡市の商業地は7.5%上昇となり、4政令市の中では最も高い伸びとなっています。

逆にコロナ禍の影響で活況を呈したエリアもあります。その一つが物流拠点となるような、高速道路そばの土地や物流関連の工業地です。「巣ごもり消費」の影響でネット通販が伸び、アクセスの良いエリアの地価が上昇しています。

■基準地価の変動率推移

東京圏の動向-商業地は8年連続上昇も住宅地は7年ぶり下落

東京都は住宅地、商業地ともにプラスを維持しましたが、上昇幅は大きく減少しました。
住宅地の上昇率5%以上の地区は、昨年23区で13地区ありましたが、今回はゼロに。ただし、下の地図を見ても分かる通り、都心部や北東エリアの上昇は続いています。

商業地では、23区は昨年に全区が上昇率5%でしたが、全て5%未満になりました。
特に繁華街や観光地は軒並み下落しています。15年連続で全国の最高価格だった「明治屋銀座ビル」はマイナス5.1%で、下落は9年ぶりとのことです。
また、昨年まで商業地上昇率トップだった浅草は、ランキングから姿を消しました。東京圏商業地の下落率ランキングトップ10には、銀座が3地点、新宿が2地点入っています。
ただし、前述の虎ノ門ヒルズ駅や3月に開業したJR山手線の高輪ゲートウェイ駅周辺では高い地価上昇も見られます。

東京圏の上昇率ランキングで住宅地、商業地、共に目立ったのが千葉県です。千葉県全体では、住宅地がマイナス0.2%で6年ぶりのマイナス、商業地は7年連続上昇するも上昇率は2.8%から1.4%に半減。ただし、商業地の上昇率ランキング、ベスト10の7地点が千葉県です。再開発の進む市川市本八幡駅、千葉駅、新浦安駅が高い上昇率を見せています。住宅地では、東京湾アクアラインの接続地点で東京都へのアクセスが良くなった袖ケ浦市、君津市、木更津など房総地域の上昇が目立ちます。

■東京圏(東京都・神奈川県)の地域別変動率

■商業地変動率上位-東京圏(単位%)

■住宅地変動率上位-東京圏(単位%)

■東京圏住宅地

※国土交通省「令和2年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

名古屋圏の動向-商業地、住宅地ともに8年ぶりに下落

三大都市圏の中でも、いち早く地価上昇トレンドを示した名古屋。2027年のリニア中央新幹線の開業に向け、名古屋駅中心に地価は上昇していましたが、商業地、住宅地ともに8年ぶりの下落です。

商業地も三大都市圏の中で下落したのは名古屋圏だけです。国土交通省によると「名古屋駅周辺でのオフィス需給の逼迫、賃料上昇により、伏見・丸の内・金山地区など周辺にオフィス需要が波及していることに加え、店舗・ホテル・マンション用地需要も競合していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により投資需要が停滞し、中区、中村区、熱田区などでは上昇から下落に転じた」とのことです。特に繁華街の中区栄の駐車場はマイナス8.9%と全国でも4番目の下落率でした。

住宅地は、下の地図の色を見て分かる通り、ほとんどのエリアが暖色からブルー(上昇から下落)になりました。名古屋市の中心部では、利便性の高いエリアのマンション用地需要がコロナ禍で停滞し、中区は昨年25.4%もの上昇を見せましたが、今年は横ばいです。
上昇を示した刈谷市は、周辺に大手企業の本社、工場があり、関係者による住宅取得意欲が高いとのことです。

■商業地変動率上位-名古屋圏(単位%)

■住宅地変動率上位-名古屋圏(単位%)

■名古屋圏住宅地

※国土交通省「令和2年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

大阪圏の動向-商業地は8年連続上昇も住宅地は7年ぶり下落

この数年、三大都市圏の中でも最も大きな上昇を見せていた大阪圏の商業地は、8年連続の上昇でしたが、1.2%と昨年の6.8%と比べると上げ幅は縮小しました。ミナミの繁華街の閑散ぶりがテレビでもよく報道されていましたが、昨年45.2%も上昇したミナミの中央区宗右衛門の商業ビルはマイナス4.5%の下落になり、最高価格としても、キタのグランフロント大阪が8.8%上昇で3年ぶりにトップになりました。ドラッグストアや飲食店の閉店が相次いでいる繁華街に比べ、大阪市中心部はオフィス需要が下支えしました。

商業地上昇率トップの淀川区『宮原3-5-24』は新大阪駅近くの新大阪第一生命ビルディングで、同じくオフィス需要に下支えされたとのことです。上昇率2位の箕面市『船場東3-1-6』は、大阪メトロ御堂筋線直通の北大阪急行電鉄延伸により、2023年に開業する「箕面船場阪大前駅」の予定地です。

京都の商業地も昨年の11.5%から1.4%に上昇幅が縮小。特に観光地の東山区、下京区、中京区で上昇幅が大きく縮小しました。

住宅地も大阪圏全体では7年ぶりに下落したものの、大阪北摂エリアでは、駅徒歩圏でのマンション用地や大阪・京都への交通利便性の良好な住宅地の需要が堅調で、吹田市、箕面市、豊中市、茨木市などで上昇幅が縮小したものの上昇が続いています。

■商業地変動率上位-大阪圏(単位%)

■住宅地変動率上位-大阪圏(単位%)

■大阪圏住宅地

※国土交通省「令和2年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

海外投資家が注目する日本の不動産市場

働く人に景気の実感を尋ねる、内閣府「景気ウォッチャー調査」の9月調査結果では、5カ月連続改善し、指数は49.3とコロナ前の1月41.9を上回り、おととし4月以来の高い水準となりました。内閣府は「新型コロナの影響による厳しさは残るものの、持ち直している。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも持ち直しが続くと見ている」としています。

国土交通省では、地価LOOKレポートで「リーマンショック時の地価下落の主因となった、マンションやオフィスの需給バランスに大きな変化は見られていない」とし、地価が今後も下落を続けるかどうか判断するのは難しいとしています。
今後、地価がどうなるのか。不動産業界の見方としては、コロナ禍の影響は注視しつつ、長期的には悲観的に捉えていないという声が多く、テレワークの進展による郊外エリアの人気など、新しいニーズに期待する声もあります。

一方、国際的に見ると日本の不動産が海外投資家から注目を集めているといいます。コロナ禍では全世界の経済が停滞しましたが、1~6月の首都圏への不動産投資額は150億ドル(約1兆6千億円)で、世界首位となりました。特に、コロナ禍で世界的に売買が停滞する中、大型オフィスの売買が多かったとのことです。1~6月の海外投資家の比率は39%で、昨年同期の6%から大幅に高まりました。
コロナ以前から、東京の不動産は海外の主要都市に比べると割安で、海外投資家から注目されていましたが、このコロナ禍で安全性や安定性が評価されたともいえるでしょう。世界の主要都市がロックダウンし、いまだ感染者が増加する中、東京などはロックダウンもせず、街に自粛ムードはあるものの少しずつ回復しています。今はオフィスの空室率も高まっていますが、長期の視点で見れば、価値は落ちないと見られているようです。

まだまだ先行き不透明感は拭えませんが、地価に関しては海外投資家のように長期の視点も必要です。コロナ禍では、新たなニーズも含めて様々な影響を及ぼすかもしれませんが、今後の動向に注視していきたいと思います。

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