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2022年「公示地価」再び上昇傾向に!

市場動向

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2022年4月 5日

2022年「公示地価」再び上昇傾向に!

2022年1月1日時点の公示地価が発表になりました。昨年の三大都市圏の公示地価は8年ぶりに下落し、コロナ禍の大きな影響が出ました。しかし、昨年7月1日時点の基準地価では住宅地に回復傾向が見られます。コロナ禍の環境は、依然厳しい状況が続いていますが、三大都市圏の商業地、住宅地について、それぞれ見ていきたいと思います。

三大都市圏、商業地・住宅地ともに上昇

公示地価は、コロナ禍の影響が和らぎ再び上昇しました。三大都市圏は前年比で商業地0.7%、住宅地0.5%と、ともに上昇です。昨年はコロナ禍の影響を受けて下落しましたが、再び上昇トレンドの兆しを見せています。

ただし、訪日客で賑わっていた商業地の一等地は、依然下落が続いています。最高価格で話題になる東京・銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」は1.1%下落、大阪・ミナミのフグ料理店「つぼらや」が営業していたビルは15.5%下落で、2年連続で全国の商業地で最大の下落率となりました。
一方、国内の客足が戻りつつある東京・浅草は駅近の雑居ビルが昨年の12.0%下落から、1.1%上昇に転じているなど、明暗が分かれています。
複合ビルの開発が進む名古屋の商業地は、中心部で上昇が見られ、栄駅近くのオフィスビルは昨年の0.6%下落から12.3%の上昇です。
地方都市では「天神ビッグバン」と呼ばれる大規模再開発が進む福岡市が活況で、全国商業地の上昇率トップ10のうち7地点が博多駅周辺など福岡市内でした。

早くから回復傾向が見えていた住宅地も上昇しています。都道府県別に見ても上昇したのは昨年の8道県から20都道府県に増えました。マンション開発が活発になり、首都圏ではリモートワークが影響し、人気の周辺都市に地価の上昇が広がりました。
全国で見ると、住宅地の上昇率トップ100地点のうち96地点が北海道という異例の状況です。特に、札幌に隣接した北広島市は日本ハムファイターズの新球場が建設中ですが、割安感があり、ベスト10のうち7地点を占めています。
まだまだ予断は許さないものの、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中、低金利や住宅ローン控除などで、住宅需要は回復傾向が見られます。

■三大都市圏公示地価の変動率推移

■2022年公示地価 対前年比変動率(単位:%)

東京圏の傾向-テレワーク普及の影響で郊外人気を反映

商業地は、コロナ禍で混み合う都心を避け、近所で買い物をする傾向が増えたこともあり、再開発の進む柏、リニア新幹線駅予定の橋本、船橋、厚木、市川など東京近郊のエリアが上昇率の上位となりました。
東京都に限ると、中野区や杉並区、荒川区の駅周辺の上昇が顕著でした。特に中野駅では、10年前に中野セントラルパークが完成して以来開発が続き、いよいよシンボルだった中野サンプラザの解体が2024年に始まります。跡地の再開発エリアは「NAKANOサンプラザシティ」と名付けられ、複合高層ビルと7千人収容のアリーナが2028年に完成予定です。

住宅地の上昇率トップは新浦安駅近くのエリアでした。昨年は木更津、柏、市川など変動率上位10地点のうち9地点が千葉県で、今年も6地点が千葉県です。千葉県全体で見ると、全用途の公示地価は9年連続で上昇しています。
上昇率4位の茨城県つくばみらい市は、人気の千葉県流山おおたかの森駅もある、つくばエクスプレス沿線のみらい平駅で、子育て中の若い世代に人気が高いようです。
また、JR南武線の矢野口駅、稲城長沼駅、南多摩駅などの稲城市が、土地区画整理事業による基盤整備が進捗中で、相対的な割安感もあり、上昇率が拡大しています。
テレワークの普及が、東京の中心部から郊外へと広がっていて、東京からの人口流出が話題になっていますが、東京都心のニーズが衰えたわけではありません。中央区、豊島区、文京区などで上昇が目立ち、富裕層を中心にマンション取得意欲が旺盛で、地価は上昇傾向となっています。

■東京圏公示地価の変動率推移

■東京圏変動率上位ー商業地 ■東京圏変動率上位ー住宅地

■東京圏住宅地

※国土交通省「令和4年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

名古屋圏の傾向-職住近接で、商業地・住宅地ともに回復

名古屋は経済動向のバロメーターと言われ、地価の上昇や下落がいち早く影響が出るエリアです。今回の公示地価は、三大都市圏の中でも最も強い回復を見せました。
名古屋市中心部は職住近接エリアで、商業地は再開発が活発な繁華街・栄エリアで地価上昇が目立ちました。上昇率トップ10のうち、4地点が栄でした。上昇率トップは、再開発が計画されている、「栄第一生命ビルディング」です。近接している2つのビルと合わせて、一体的な建て替えが計画されています。

住宅地の上昇率トップは、東区の高級マンションの建設が相次いでいる地点です。職住近接エリアの特徴か、東区等の市中心周辺区で、居住用物件に対する投資需要が強まり、これまで高度商業地に投資されていた資金の一部が流入しているとのことです。
また、自動車産業が盛んな刈谷市や安城市のある西三河地域では、景気回復の影響もあって住宅取得の意欲が高く、下落から上昇に転じた市町が見られます。

■名古屋圏公示地価の変動率推移

■名古屋圏変動率上位ー商業地 ■名古屋圏変動率上位ー住宅地

■名古屋圏住宅地

※国土交通省「令和4年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

大阪圏の傾向-商業地は横ばいも、住宅地は回復傾向

商業地は、訪日客の影響が大きかっただけに、訪日客需要の回復が見込めず、横ばい止まりでした。特に訪日客に人気のミナミエリアの下落が目立っています。全国下落率10位のうち、8地点を大阪市が占めています。
一方、京都市は全体で昨年の2.1%下落から0.7%の上昇に転じました。観光客減少から店舗や宿泊施設について収益性の低下が見られるものの、緊急事態宣言解除後は国内観光客に回復傾向が見られ、地価が上昇しました。上昇率10位のうち、6地点が京都です。
今年になって、まん延防止等重点措置が適用されましたが、解除後は再び国内の旅行客が戻りつつあるようです。

住宅地は大阪市の中心部をはじめ、商業地よりも回復傾向が強く出ています。上昇率上位の大阪市の天王寺区、中央区は中心部にアクセスが良く、マンション需要が高まっています。
また、昨年も堅調だった北大阪地域では、北大阪急行延伸部沿線の箕面市をはじめ、豊中市、池田市、高槻市、茨木市および島本町で上昇が継続しています。鉄道駅徒歩圏でのマンションや大阪・京都への交通利便性が高い住宅地の需要が堅調です。

■大阪圏公示地価の変動率推移

■大阪圏変動率上位ー商業地 ■大阪圏変動率上位ー住宅地

■大阪圏住宅地

※国土交通省「令和4年都道府県地価調査」より 詳細はコチラ

コロナ禍の影響は限定的、住宅地の上昇に注意

公示地価にコロナ禍の影響が反映されたのは、昨年からでした。昨年は、その影響が大きく表れましたが、今年の公示地価を見るとコロナ禍の影響は限定的だったと言えます。
訪日客の回復が見込めない状況では、銀座や大阪ミナミなど訪日客で賑わい地価を押し上げていた商業エリアの回復はまだ見込めませんが、国内旅行客が戻っている浅草や京都ではすでに回復傾向が見られます。
また、都市の再開発も活発に進められています。先日は、日比谷公園に隣接する帝国ホテル周辺の大規模開発が発表されました。完成に15年かかる都内最大級の再開発です。大阪では2025年に日本万国博覧会が開催予定で、コロナ禍が落ち着けば再び注目されるでしょう。

土地オーナーにとって、注意したいのは住宅地です。コロナ禍で、いったんは下振れとなりましたが、すでに上昇傾向です。東京圏では、都心部の富裕層やパワーカップルと呼ばれる共働き世帯のニーズが高く、分譲マンション価格は高騰しています。また、コロナ禍で郊外に人気が広がり、地価の上昇エリアが広範囲に及んでいます。
地価が上昇すれば、資産価値も上昇しますが、相続税の負担など資産管理の対策が必要になります。コロナ禍の影響が出た昨年を除けば、地価は9年ほど上昇を続けていることになります。
今後の不安要因は、コロナ禍の状況と地政学リスクによる景気後退です。土地オーナーにとっては、地価が資産管理に影響しますので、今後も地価動向に注視したいと思います。

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