電力・ガス・食料品等の物価上昇が懸念されていますが、家賃相場に関しても、一般的に物価上昇ととも上昇すると言われています。今年に入って、カップル向き、ファミリー向きの家賃は上昇傾向にあります。三大都市圏を中心に最新の家賃相場を見てみます。
不動産情報サービス・アットホームの「全国主要都市の[賃貸マンション・アパート]募集家賃動向(2022年9 月)」から、マンションの募集家賃と平均家賃指数の推移について、今年9月までの動向を見ていきます。
首都圏の平均募集家賃は、東京都下・埼玉県・千葉県がタイプ別の全面積帯で前年同月を上回りました。今年も郊外人気は続いています。
平均募集家賃の前年同月比上昇率を見ると、埼玉県のカップル向きが7.1%、神奈川県のファミリー向きが7.3%と大きく上昇しています。特にファミリー向きの家賃指数は、東京23区、東京都下、千葉県で2015年1月以降の最高値を更新しています。
それではエリアごとに細かい動向を見ていきましょう。なお、面積帯は30m²以下を「シングル」、30m²~50m²以下を「カップル」、50m²~70m²以下を「ファミリー」、70m²超を「大型ファミリー」としています。
都心部ではシングルの需要低調が懸念されていますが、23区の家賃指数は3月の繁忙期からほほ横ばいです。平均家賃も前年同月比で0.6%微減しましたが、87,902円と高い水準をキープしています。
上昇基調なのが、カップル、ファミリーです。平均家賃の前年同月比はカップル1.7%、ファミリー3.6%上昇。コロナ前の水準を回復し堅調に推移しています。特にファミリーは2015年1月以降の高値を更新しています。
郊外人気が注目されていますが、東京23区の人気エリアには高いニーズがあり、2015年1月を100とした家賃指数で見ると、高い水準を保っています。
シングルが1月の繁忙期から下落していますが、これはこのエリアの毎年の傾向です。その後第2繁忙期とも言われる9月に向けて回復し、平均家賃の前年同月比では1.4%の上昇です。
カップル、ファミリー、大型ファミリーには上昇傾向が見てとれます。平均家賃を前年同月比で見ると、ファミリーは7.1%、大型ファミリーは7.8%もの上昇です。
特にファミリーは2015年1月以降の高値を更新しています。実際、家賃が上昇し始めたのは2020年の9月頃で、昨年の家賃指数はまだ100に達していませんでしたが、今年は100を超え上昇しています。
ファミリーの平均家賃は、前月比では下落したものの、前年同月比では7.3%もの上昇です。今年は繁忙期以降も上昇を続けました。
カップルは2015年1月以降の高値を更新し、前年同月比で4.4%上昇しています。
大型ファミリーは2020年の1月以降、急上昇していましたが、2021年の6月頃から下落し、今年の7月から再び上昇、平均家賃は191,975円と東京23区、大阪市に次ぐ高値水準です。家賃指数126.5は今回ご紹介するエリアの中では最高値です。
どの面積帯も2021年の繁忙期を過ぎたあたりから平均家賃は上昇し、今回も前年同月比で大きく上昇しました。シングル2.7%、カップル7.1%、ファミリー5.6%、大型ファミリー8.5%の上昇です。大宮、川口などの郊外の人気は依然高く追い風となっているようです。
カップル、ファミリー、大型ファミリーの上昇が目立ちますが、シングルも高値で推移しており、2015年1月以降の高値を更新しています。
埼玉県同様、平均家賃は全面積帯で前年同月比を上回りました。シングル2.7%、カップル5.6%、ファミリー7.0%、大型ファミリー5.0%の上昇です。家賃相場の動きも埼玉県と似ています。シングル、ファミリーは2015年1月以降の高値を更新しています。郊外人気は、特にファミリー層にあったのですが、埼玉県、千葉県でシングルにもその傾向があるようにも見えます。
千葉県は地価も上昇しており、流山市が人口増加率1位となり話題となりました。また、開発が進み人気が出ている「つくばエクスプレス」があり、今後も注目のエリアです。
昨年は大型ファミリーを除いて、名古屋市も大阪市も横ばいで推移していました。今年の傾向を見てみます。
大型ファミリーの平均家賃は、前年同月比で3.4%下落しました。名古屋市ではシングルが強いのですが、ファミリーの家賃が上昇し、家賃指数がシングルに追いつきました。
全体的には2020年の初めから家賃は上昇し、上がったり下がったりを繰り返しながらも、同水準で推移しています。
名古屋圏の地価は、インバウンドの影響がなかったこともあり、東京・大阪圏よりも早い回復傾向が見られます。家賃もコロナ禍の影響はほとんどなく、推移しています。
大型ファミリーが昨年秋から上昇を始め、高値を維持しています。平均家賃の前年同月比は5.4%の上昇でした。シングル、ファミリーは前月からは下落していますが、今年に入ってから上昇し、やや上昇基調となっています。平均家賃の前年同月比は、シングル1.3%、ファミリー2.9%の上昇でした。
カップルの平均家賃は、今回は前年同月比で下落しましたが、2019年の中頃から上昇を始め、家賃指数は高く推移しています。
大阪圏の地価動向を見ると東京圏のように郊外の地価上昇が若干見られましたが、今後も郊外人気が続くのか、都心回帰となるのか注目されます。
世界的なインフレは、日本でも進み日々の生活で実感することが多くなりました。急激な円安による輸入品価格の高騰やコロナ禍でのサプライチェーンの機能不全が背景にあると言われています。
住宅業界も同様で、コロナ禍の影響で資材を輸入する際に必要なコンテナ不足などが原因となり、建材や住宅設備などが不足。マンションや戸建てなどの不動産価格は上昇しました。特にマンション価格の上昇は激しく、東京23区の2022年度上半期(2022年4月~2022年9月)の平均価格は7,768万円、東京都下で5,174万円です。前年同月比で下がったものの、まだまだ高値圏を推移しています(不動産経済研究所調べ)。
同様に賃貸住宅の建築費も上がっていることから、新築物件を中心に、ファミリー向け賃貸住宅を中心とした家賃上昇の要因となっているのです。今の新築の賃貸住宅はクオリティも高いですが、賃貸住宅経営は長期の事業ですので、さらに付加価値をつけたプランニングをお勧めします。
ヘーベルメゾンでは、多様化する入居者の設備やアイテム、間取りのニーズに応えるのはもちろん、入居者間のゆるやかなコミュニティを醸成する賃貸住宅など、豊富なラインナップをご用意しています。賃貸市場やニーズを見極めることで、長期安定の賃貸住宅経営が期待できるでしょう。
住宅価格については、世界的なインフレが落ち着かない限りは高値を維持することが予想されます。今後の動向に注視していきたいと思います。