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2024年の家賃相場を振り返る

市場動向

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2024年12月 5日

2024年の家賃相場を振り返る

2024年は昨年に続き、ファミリー世帯を中心に家賃が上昇しています。各面積帯で2015年以来の最高値となっているエリアが増加しました。しばらくは、この上昇基調は続くと見られています。三大都市圏を中心に、2024年の家賃相場がどう動いたか振り返って見ていきます。

東京23区、神奈川県、埼玉県、名古屋市のファミリー向きは最高値

不動産情報サービス・アットホームの「全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2024年9月)」から、マンションの平均家賃指数(2015年1月=100)と世帯別平均家賃の推移について、今年9月までの動向を見ていきます。

今年もファミリー向き(50m2~70m2)の家賃が上昇しています。東京23区、神奈川県、埼玉県、名古屋市のファミリー向きは2015年1月以降最高値を更新しました。
また、神奈川県、埼玉県、千葉県、名古屋市、大阪市、福岡市では全面積帯で前年同月比を上回っています。平均募集家賃の前年同月比上昇率トップ3を見ると、カップル向きが1位 大阪市 +7.9%、2位 東京23区 +7.0%、3位 千葉県 +5.8%です。ファミリー向きは1位 福岡市 +11.6%、2位 千葉県 +11.5%、3位 神奈川県 +10.6%といずれも二桁の上昇率です。

それでは細かい動向をエリアごとに見ていきましょう。なお、面積帯は30m2以下を「シングル」、30m2~50m2以下を「カップル」、50m2~70m2以下を「ファミリー」、70m2超を「大型ファミリー」としています。

■東京23区-ファミリー好調、都心回帰でシングルも上昇トレンドに

家賃指数のグラフを見ると大型ファミリーが低迷したものの、他の面積帯は繁忙期を過ぎても上昇を続けています。シングル、カップル、ファミリーの平均家賃は2015年1月以降の最高値となっています。
コロナ禍で郊外が人気となりましたが、再び都心回帰が見られます。特にコロナ禍に低迷していたシングルの家賃が上昇を続け、コロナ前の水準を超えてきています。在宅勤務も一定の割合であるため郊外の人気も定着していますが、一方で在宅勤務からフル出社に切り替える企業も多く、それが都心回帰の要因の一つと考えられます。
また、分譲マンションの高騰により、カップル、ファミリーが賃貸市場に流れていると見られ、2015年1月を100とした家賃指数は大型ファミリーを超え上昇を続けています。ファミリーの家賃指数139.0は、今回紹介しているエリアの中では最高値です。

■東京23区-マンション平均家賃指数の推移

■東京都下-ファミリーが堅調に推移

家賃指数のグラフを見ると繁忙期3月を過ぎると下落し、第二繁忙期と言われる9月に向けて徐々に上昇していく家賃相場本来の年間の動きが見えます。指数はいずれも100を超えての推移です。特にファミリーは大きく上昇しての推移ですので、いずれも堅調と言えるでしょう。
平均家賃の前年同月比はシングルがやや下落(-0.3%)したものの、他の面積帯は上昇しています。特にファミリーは+4.5%(+5,209円)、大型ファミリーは+6.6%(+11,424円)の上昇です。郊外でもファミリーニーズは堅調です。

■東京都下-マンション平均家賃指数の推移

■神奈川県-シングル、カップル、ファミリーが最高値

平均家賃は、全面積帯で前年同月比を上回り、シングル、カップル、ファミリーは、2015年1月以降最高値となりました。
特にファミリーの前年同月比は+10.6%(+12,666円)の上昇、大型ファミリーが+10.5%(+19,607円)の上昇となり、この1年で大きく上昇しました。シングル、カップルも堅調に推移し、上昇傾向が見て取れます。

■神奈川県-マンション平均家賃指数の推移

■埼玉県-ファミリーを中心に全面積帯で大きく上昇

平均家賃は、全面積帯で前年同月比を上回りました。シングル、ファミリー、大型ファミリーは、2015年1月以降最高値となりました。
埼玉エリアは昨年大きく上昇しましたが、今年も変わらず上昇トレンドが続いている状況です。「借りて住みたい街(LIFULL HOME'S)」のランキングでは大宮が4位になるなど、郊外の人気エリアになっています。

■埼玉県-マンション平均家賃指数の推移

■千葉県-平均家賃は全面積帯で前年同月比を上回る

昨年同様、平均家賃が全面積帯で前年同月比を上回りました。前月比で若干下がっている影響で、2015年1月以降最高値となった面積帯はありませんでしたが、ファミリー、シングルは最高値と同水準と言ってよいでしょう。ファミリーは前年同月比で+11.5%(11,719円)の上昇、上昇率ランキング2位です。
家賃指数のグラフを見ると大型ファミリーに一服感が見られ、カップルが繁忙期以降に下落していますが、それまでの上昇が大きかっただけに、高値で推移していると言えます。シングル、ファミリーは、繁忙期が終わっても上昇を続けています。

■千葉県-マンション平均家賃指数の推移

名古屋市、大阪市も全面積帯で上昇

名古屋市、大阪市も上昇トレンドが続いています。名古屋はファミリーが大きく上昇しています。

■名古屋市-シングル、ファミリーが大きく上昇

平均家賃は、全面積帯で前年同月比を上回りました。シングル、カップル、ファミリー、は、2015年1月以降最高値です。
家賃指数のグラフを見ると、シングルが繁忙期後に急上昇していますが、今年それを上回った動きをみせたのがファミリーです。繁忙期から一段上昇し、高値圏で推移しています。名古屋市の場合、2015年からコロナの影響もなく、家賃指数は上がったり下がったりを繰り返しながら、ゆるやかな上昇トレンドを形成しています。

■名古屋市-マンション平均家賃指数の推移

■大阪市-全面積帯で上昇トレンド

ファミリーが繁忙期後、下落していますが、平均家賃は、全面積帯で前年同月比を上回りました。シングル、カップル、大型ファミリーは、2015年1月以降最高値です。ファミリーは最高値とはなりませんでしたが、前年同月比で+7.9%(+10,682円)の上昇、さらに上昇率ランキング1位だったのが大型ファミリーで+14.1%(+32,787円)の上昇です。また、カップルも上昇率ランキング1位で+7.9%(+7,415円)の上昇でした。

■大阪市-マンション平均家賃指数の推移

家賃の上昇基調は続く、新しいファミリーニーズへの対応が必要

地価上昇やインフレになると家賃も遅れて上昇すると言われていましたが、昨年から家賃が上昇し始め、今年に入って上昇基調が強まっているように感じます。特にファミリーの家賃がどのエリアも大きく上昇しています。実際、人気エリアによっては更新や入居者入れ替えの時に家賃を上げたという話も聞かれるようになりました。

2024年10月の新築分譲マンションの平均価格は首都圏で9,239万円、東京23区は1億2,940万円です(不動産経済研究所)。販売戸数が減少したことと、都心の億ションに平均価格が引っ張られていると思いますが、依然として高値で推移しています。
以前から指摘されていますが、分譲マンションを買い控えているファミリー層が賃貸市場に流れています。今のファミリーは共働きが多く、家賃の負担能力が高いと見られています。この流れから高品質なファミリー向け賃貸住宅が増えていることも家賃上昇の要因の一つでしょう。

今後もインフレや金利上昇があると考えると、住宅購入を控えるファミリー世帯が増え、賃貸市場に流れてくる状況は変わらず、結果、家賃の上昇基調は続きそうです。高品質を求める新しいファミリーニーズにいかに応えていくかが大きなポイントになりそうです。
今後も家賃動向や新しいニーズに注視していきたいと思います。

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