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相続が争族になる!こんなケースは要注意 その1-資産状況編

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2014年12月 2日

相続が争族になる!こんなケースは要注意 その1-資産状況編

資産がたいしてないから、うちの家族に限って相続でもめることはないーそう思っていると、思わぬ落とし穴があります。では、どんなケースで相続トラブルになるのか? 見落としがちな注意点について、いくつかのケースを見ていきたいと思います。今回は資産状況について取り上げます。ここで紹介するものに一つでも当てはまるようなら、改めて相続対策を見直す必要がありそうです。

「相続資産は3,000万円程度なので大丈夫」

相続が争族になる、最も陥りやすいケースが、こうした思い込みです。相続は資産家のもので、“うちは資産家ではないから大丈夫”という理由です。しかし、実際は普通の家庭のほうが相続でもめるケースが多いのです。
下のグラフは、家庭裁判所における遺産分割事件を遺産価額別に見たものです。お分かりのように、全体の75.7%が5,000万円以下です。1,000万円以下に絞っても32.3%もあります。1,000万円となると、相続税もかからない金額です。相続トラブルは、相続金額に関わらず、起きていることがわかります。

■家庭裁判所における遺産価額別の遺産分割事件の割合

相続発生数のうち、実際、裁判所にトラブルが持ち込まれるのは全体の約14%(平成24年)とのことですが、平成24年度の遺産分割事件の新受件数は過去最高の1万5,286件(10年前の約36%増)となっています。核家族化による家族関係が希薄になっていることも、一因かもしれません。“うちの家族は仲がいいから自分に関係ない”と思っている方が多いのですが、いざ相続が発生すると、子どもの配偶者や孫などが間接的に関与してきて、もめるケースもあります。
また、民法では法定相続分が決まっていますが、あくまでそれは基本の割合で、実際その通りに分けなければならないというものではありませんし、どう分けるかまでは定めていません。どの資産を誰が相続するかは、法定相続人全員が話し合って決める必要があります。この話し合いを遺産分割協議と言いますが、一人でも反対するとまとまりません。
相続対策は相続“税”対策だと思っていらっしゃる方が少なからずいらっしゃいます。しかし、その前にどう分けるかという「遺産分割」対策が大切なのです。

■遺産分割事件の新受件数(審判事件、調停事件の合計)

相続トラブルは、遺産金額の多い少ないに関わらず発生する。まずは「遺産分割」対策が必要。

「資産に不動産が多い」

遺産が現金の場合は、相続の分割も均等にできると思います。しかし、土地の場合はどうでしょうか? 不動産は、土地の評価も難しく、平等に分けるのは難しい資産です。しかし、相続税の申告状況で見ると、相続資産で最も多いのが不動産です。土地・家屋合わせると5割強が不動産です。

■相続税の種類別取得財産

一般的に不動産を分ける方法は4つあります。
一つ目は「現物分割」です。不動産をそのまま平等に分割する方法です。しかし、不動産の敷地が変形していたり、相続人が複数いれば、なかなか一つの土地を平等に分けるのは難しいものです。また、複数土地がある場合は、それぞれの不動産の価格や利用価値に差がありますので、これも平等に分けるのは難しいでしょう。
二つ目は「換価分割」です。単純に不動産を売って、そのお金を分割する方法です。その土地が、代々受け継いできた土地であったり、自宅が建っている場合は、簡単に売る決断が付かず、相続人の間でも意見が分かれるところでしょう。
三つ目は「代償分割」です。一人が、不動産を相続し、他の相続人に相当分の金銭を支払うというものです。これは不動産の分割で、よく使われる手法です。ただし、相応の金銭を用意しておく必要があります。それには、保険を活用したり、賃貸住宅の賃料収入で支払ったりするケースがありますが、これらは、事前に計画して行う必要があります。
四つ目が「共有」です。決断を先延ばしにして、安易に選択しがちなのですが、相続ではやってはいけない手法と言われています。共有は問題の先送りにすぎず、今はよくても、後々、活用したり、売却したくなっても、共有物の持ち主全員が了解しなければできませんし、売りたくなくても売らざるを得ないことになったりします。さらに、二次相続、さらにその次の相続となれば、相続人も増えていき、合意の調整が難しくなります。

このように、不動産の相続は非常に難しく、事前の対策が必須です。納税資金の確保、また資産の圧縮による節税対策も含めて、土地の有効活用を事前に考える必要があるのです。

不動産は分割が難しい。現物分割・換価分割・代償分割・共有の4つの分割方法をよく理解し、事前に分割対策を考えておく必要がある。

「資産は自宅だけなので大丈夫」

“普通のサラリーマン世帯が一番危ない”、相続の話題で最近よく耳にするフレーズです。それは、来年からの相続税大改正で、相続の基礎控除が4割削減されるのが大きな理由の一つです。
具体的には、相続税の基礎控除が「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」から「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になります。例えば、相続人が配偶者と子ども2人の場合は、8,000万円まで非課税だったものが4,800万円を超えた分が相続税の対象になるのです。

■配偶者と子ども2人の相続税の基礎控除額の変化

この基礎控除額の4割削減により、例えば東京都内に土地付き一戸建てを持つ世帯なら、課税対象となる可能性は十分にあるということです。来年からは課税対象者も激増し、今の約2倍に増えると言われています。東京エリアでは、人気があり土地評価額も高い東急東横線、田園都市線沿線などや、環状8号線の内側に課税対象者が特に増えると言われています。

相続税は単純計算しても1,000万円の課税資産で100万円、2,000万円で250万円、5,000万円で800万円、1億円なら2,300万円になります。東京都の広めの土地なら1億円の評価額の土地は少なくないでしょう。“自宅は優遇措置があるのでは?”と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、子どもが独立して持ち家を持っている場合、その優遇制度(小規模宅地の特例)は使えません。
そして相続税は原則、現金で納税しなくてはなりません。バブルの頃、自宅はあるが現金がないので相続税が払えないケースが増え問題になりましたが、来年からの相続税の大改正で、再びこの問題が浮上しそうです。これを回避するためには、納税資金対策が事前に必要です。

2015年1月より相続税の基礎控除が4割削減される。都市部の一戸建て住宅所有の世帯は課税対象者となる可能性が大きいので、事前の納税資金対策が必要。

「30年前に土地活用も含めて相続対策をしているので大丈夫」

相続対策は一度行えば大丈夫、というものではありません。来年行われる大改正のように、基礎控除が大幅に削減されたり、税率が変わったり、また自宅の評価が8割減となる小規模宅地の特例も要件が厳しくなるなど、相続税制自体が変わっています。そのため、以前の相続対策が有効でなくなっていることは十分にあり得ることです。

さらには、家族の状況も変わっているでしょう。これも大きな環境の変化です。相続税制や家族の状況が変われば、相続対策も見直す必要があるでしょう。遺言なども定期的に見直す必要があると言います。

また、相続対策として多く採用されているのがアパート経営ですが、これも30年前に建てたアパートが、現在も相続対策として有効に機能しているかと言えば、疑問です。それどころか、アパートが老朽化していれば、むしろ負の遺産となる可能性も大きいのです。老朽アパートの相続上の問題はこのコーナーのバックナンバー「不良資産の継承は頭痛の種。どうする?『老朽化したアパート』」で詳しく解説していますのでご覧ください。

相続対策の見直しは、まず資産の棚卸し、つまり総資産の相続税評価額を把握することから始めるのが良いでしょう。相続全般の基礎知識や対策については、「相続・贈与の基礎知識」で解説していますので、参考にしてください。

相続対策は定期的に見直しが必要。かつて、有効だった相続対策が、今は機能しないこともある。その場合は、対策の見直しが必要。

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