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変わる相続。気をつけるべきポイントは?

相続

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2019年8月 6日

変わる相続。気をつけるべきポイントは?

土地オーナーにとって、今、相続に関わる環境が大きく変わろうとしています。税制や法改正、さらには地価の上昇など、注意すべき変化が多く、相続対策を一歩間違えれば、将来大きな負担となる可能性もあります。あらためて、昨今の相続に関わる環境の変化を確認します。

変化その1:40年ぶりの相続法の大改正

今、マスコミなどで「約40年ぶりに相続が変わる!」と報道され、話題を呼んでいるのが相続法の改正です。昨年、相続法改正が成立され、今年から順次施行されています。主な改正内容と施行時期は次の通りです。

■自筆証書遺言に関する見直し
・財産目録をパソコンで作成可能(2019年1月13日〜)
・法務局で遺言書を保管(2020年7月10日〜)
■預貯金の払戻し
・遺産分割前の被相続人の預貯金の払戻し制度創設(2019年7月1日〜)
■特別寄与制度
・相続人以外の特別寄与制度の創設(2019年7月1日〜)
■遺留分制度の見直し
・遺留分の請求はすべて金銭での支払いが可能に(2019年7月1日〜)
■配偶者保護のための方策
・婚姻期間20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等の優遇措置(2019年7月1日〜)
■配偶者居住権
・配偶者居住権の新設(2020年4月1日〜)

これらの法改正の目的は、超高齢社会を見据え、トラブルになった時のための相続人の保護やトラブルを未然に防ぐためのものです。これにより、今の相続対策を大きく変える必要はないと思いますが、遺産分割を考える際には、改正の内容を念頭に置いておく必要があるでしょう。
また、改正の税制面での影響、例えば配偶者居住権の相続評価や相続人以外の特別寄与の金額などについては、今後事例を重ねていかないと算定は難しいでしょう。

相続法改正の具体的な内容については、バックナンバー「相続が変わる!? 民法(相続法)改正のポイントは?」で税理士、弁護士に解説をいただいています。ぜひ、ご覧ください。

相続法改正は、超高齢社会で起こりうるトラブルを想定して、最低限の権利を確保するための法整備。これらを念頭に置き、相続対策を行うことが大切。

変化その2:地価上昇による相続税負担増の可能性

前回もこのコーナーで、解説しましたが、三大都市圏の地価が6年間上昇を続けています。これは、再開発が続く都心部や人気駅周辺の商業地だけではなく、住宅地もじわりじわりと上昇を続けています。これは土地オーナーにとっては、気をつけるべき状況だと思われます。

地価が上昇した場合に、まず気をつけたいのが、将来の相続税負担の増加です。6年前に試算した相続税の額と、現在の額では大きく違っている可能性があります。そうなると相続対策そのものを再考する必要が出てきます。路線価を確認し、相続税評価額を再計算してみることをお勧めします。
もちろん、地価の上昇自体は資産価値が高まるという点では悪いことではありません。相続対策として、さらに不動産投資をして資産運用の安定を図ったり、納税資金の確保のために売却したり、利用価値が高いだけに、様々な活用方法が考えられます。

■三大都市圏公示地価の変動率推移

三大都市圏の地価が住宅地も含め6年連続で上昇。相続税の負担増が懸念されるため、路線価を確認し、相続税評価額の再計算を。

変化その3:超高齢社会での相続対策とは?

2025年問題に注目が集まっています。団塊世代が後期高齢者(75歳)となり、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念されています。そして、中でも認知症対策は社会的にも喫緊の課題として、厚生労働省では新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)を発表し、環境整備に努めるよう施策を推進していくことにしています。2025年、認知症患者は約700万人にのぼり、高齢者の5人に一人が認知症またはその予備軍と推計されています。もはや、認知症はとても身近な病気なのです。

人生100年時代と言われていますが、そこに潜む相続問題が「老老相続」です。被相続人が認知症、または配偶者や高齢の子どもが認知症というケースも少なくありません。
これまでの相続対策は、被相続人が亡くなった時のことを考え対策を講じるものですが、今やそれでは遅く、認知症になる前に対策を講じる必要があるのです。
なぜなら、認知症などの認知機能障がいになると契約行為などの法的手続きができなくなる可能性があります。つまり、不動産を売却したり、土地活用したり、遺言を書いたりという相続対策ができなくなるのです。それを回避するには、家族信託の活用や遺言書を作成するなどがあります。

■認知症の診断が降りるとできなくなること

相続対策は、今や認知症対策も合わせて考える必要がある。早めの遺言書作成や家族信託などの検討が必要。

押さえておきたい相続対策の4つの基本

ここであらためて、相続対策の4つの基本を解説します。

1.遺産分割対策

相続対策というと相続税対策をイメージしてしまいますが、トラブルを避けるという意味では、まず資産をどう分けるかが大切です。不動産などは分割しづらいですが、共有はなるべく避け、代償金で相続させるのが望ましいでしょう。遺産分割対策の基本は遺言書の作成です。そして、できるだけ家族会議を開いて、事前にその内容を相続人に示すことです。

2.節税対策

相続税は、資産の評価額に対して課税されます。現金の評価は100%ですが、不動産は賃貸住宅を建てるなど土地活用することによって大きく評価を下げることができます。節税対策としては、この財産評価をいかに引き下げるかがポイントになるでしょう。また、生前贈与を活用した財産の移転も効果が期待できます。暦年贈与や住宅取得資金、配偶者への自宅の贈与などがあります。

3.納税資金対策

相続税は一括で納税するのが原則です。不動産などの資産はあるが納税資金がないというのはよくある話です。また、現金がない場合は物納という制度もありますが、審査が厳格で時間もかかります。やはり、事前に納税資金は確保したいものです。
賃貸経営の収益を納税資金にしたり、生命保険を活用したりするケースがあります。

4.認知症対策

そして、人生100年時代では認知症対策が必要になります。資産の凍結を避けるためにも事前の準備が必要です。まさか自分が、という思いもあるかもしれませんが、自分だけではなく配偶者や高齢の子どもがそうなる可能性もあります。上記の対策を含め、遺言書や家族信託などで対策を考える必要があります。

これらの対策は、どれも専門性の高いものです。資産運用・管理も含めて、総合的にアドバイスができる専門家に相談するのがよいでしょう。
相続対策の基本は「相続・贈与の基礎知識」で詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。

遺産分割対策、節税対策、納税資金対策、認知症対策を総合的に考えることが、これからの相続対策の基本。

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