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不動産の相続トラブルを避ける!! 事前にできる対策とは?

相続

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2024年7月 4日

不動産の相続トラブルを避ける!! 事前にできる対策とは?

不動産は収益が得られ、税金上のメリットもある資産です。しかし、不動産は遺産分割が難しく、気をつけないと相続でトラブルになりがちです。よくある不動産相続のトラブルとその回避策について考えます。

相続トラブル1 誰が相続するのか? 

不動産は現金のように相続人に均等に分けることができません。とりあえずで共有しているケースがありますが、それは得策とはいえません。将来、売却するにしても活用するにしても、全員が同意しないと実行できずトラブルになるからです。また、不動産は他の資産に比べ利用価値が高く、活用次第では大きな収益を生むこともあります。
そこでトラブルになるのが、「誰が相続するのか」です。
これを解決するには、まずは「遺言書」です。自宅は誰に、賃貸住宅は誰にと明記し、その理由も書いておくとよいでしょう。遺言書には「付言事項」があり、これは「法律に定められていないことを遺言書で付言する事項」のことです。言い換えると、家族へのメッセージという位置づけです。ここに一言、分割理由や感謝の言葉を添えておくだけでも、その後の遺産分割がスムーズに進むと遺言執行人を務める専門家からはよく聞きます。
また、遺産分割の視点だけでいうと生前に贈与するのも一つの方法です。不動産の遺産分割を見届けることができるからです。

■遺言書の例

不動産は誰が相続するのかでトラブルになりがち。まずは遺言書で遺産分割を明確にすること。また遺言書には「付言事項」を入れておくと遺産分割がスムーズに進む。

相続トラブル2 10年前の遺言書、今では遺産分割が不公平

遺言書は一度書いたら終わりではありません。遺言書は定期的に見直す必要があり、場合によっては書き直すことも必要です。
特にこの10年、都市部の地価は上昇を続けています。コロナ禍でいったん下落したものの、それ以後は再び上昇しています。こうなると、10年前に査定した不動産の価値が大きく変わっている可能性があります。特に再開発エリアや駅近の立地は要注意です。10年前に公平に査定して遺産分割をしたつもりでも、今では不公平な分割になっているかもしれません。
まずは、資産の棚卸で不動産などの査定をしっかり行った上で、遺言書を見直すことです。遺言書は4、5年に一度は見直したほうがよいという税理士もいます。

■令和6年公示地価(住宅地)・地価変動率(前年比)の推移

この10年で都市部の地価は上昇を続けている。不動産の査定をし、遺言書の遺産分割が不公平になっていないかチェックが必要。

相続トラブル3 資産価値はいくらか?

相続人が複数いる場合、不動産を相続しない人には、それに見合った現金等を相続する「現物相続」、または不動産を相続した人が、他の相続人に代償金を支払う「代償分割」を使います。
そこで注意したいのが、その不動産の「評価」です。不動産の評価は難しく、賃貸住宅のような収益を生む不動産は、将来の収益とそのリスクをどう捉えるかは人それぞれです。不動産を相続する相続人は不動産の評価額を低く見積もり、代償金等を受け取る相続人は不動産の評価額を高く見積もって意見が合わないことがあります。

気をつけたいのは、相続税評価額と実勢価格は違うということ。相続税評価額は実勢価格よりも低く抑えられています。遺産分割では、一般的に実勢価格で評価しますが、実勢価格はかなり流動的です。
相続税評価額の基準となる「路線価」は公示価格の80%を目安に設定されますが、近年のように地価が上昇傾向にあると、公示地価が実勢価格に追いつかず、実勢価格が上回るケースがほとんどでしょう。
 
相続税評価額と実勢価格

さらに収益不動産の場合は想定利回りや近隣の類似不動産から実勢価格を査定します。不動産評価は難しく、依頼した不動産鑑定士によっても変わってきます。お互いが信頼している不動産鑑定士に依頼するか、複数人に依頼して間を取るのも一つの方法です。

遺産分割では実勢価格で不動産を評価。不動産鑑定士に評価額を査定してもらうこと。

相続トラブル4 不動産のみで現金がない

原則、納税資金は現金での一括納付です。現金がないので、不動産を売却をすればよいと考えている方もいますが、納税期限に間に合わせるため、焦って安値で売ってしまうことにもつながります。さらに現物分割や代償分割をする場合にも、現金が必要になります。
現物分割では不動産に見合う現金が遺産としてあればよいのですが、ない場合は代償分割となります。しかし、不動産を相続した相続人に代償金を払うだけの現金がない場合もあります。代償金は分割でもよいのですが、やはり一度に解決するには納税資金対策が必要です。

納税資金対策としては生命保険がよく使われますが、もう一つ有効な手段が不動産の活用です。
土地活用で賃貸住宅を建設し、賃貸経営をすれば、その後の収益が現金資産として積み上がっていきます。そうすれば、不動産は長男に現金は次男にといった現物分割が可能になります。
また、賃貸住宅などの収益不動産を生前贈与することで、贈与を受けた相続人の現金資産が増え、代償金の支払いに充てることも可能です。
どの対策がベストなのかはケースバイケースです。専門家とよく相談して計画しましょう。

■賃貸住宅を含む代償分割のイメージ

不動産の相続には、現物分割でも、代償分割でも、現金が必要となる。生前に土地を有効活用するなどの納税資金対策が必要。

相続トラブル5 実家を共有して空き家のまま放置

実家の空き家問題はとても身近な問題です。核家族化が進む今、家は一代限りのケースが増えています。実家を相続しても誰も住まず、取りあえず共有のまま空き家として放置しているケースも少なくないでしょう。空き家は防犯・防災上、または衛生上の問題など近隣への迷惑となり、トラブルになりかねません。

自宅が空き家になることが分かっている場合は、将来どのようにするかは早めに決めておく必要があります。思い入れのある自宅だけに、なかなか対応できないかもしれませんが、気力・体力のあるうちに取り組むことが望ましいでしょう。
主な対策としては次のようなものがあります。

対策1 売却

誰も住まない実家を相続した場合、売却するのはよくあるケースです。しかし、都市部においては、土地の利用価値が高く売却するよりは、土地活用をして収益不動産にするほうが得策です。

対策2 賃貸住宅に建て替える

空き家となる実家を相続した場合、親世代が施設に入り、空き家になっている場合、また夫婦二人で暮らすには自宅が住みにくく、コンパクトな賃貸住宅などに住み替える場合など、賃貸住宅に建て替えるという選択肢もあります。賃料収入は、納税資金、住み替え費用に活用できます。

対策3 自宅を賃貸併用住宅に建て替える

親世代が元気なうちに、自宅を賃貸併用住宅に建て替えるのも有益な方法です。住み慣れた土地を離れたくない、自宅が古く耐震面等で不安など、賃貸併用住宅に建て替えるメリットは様々あります。
また、賃貸併用住宅は家族構成の変化に合わせて様々な住まい方ができるのも大きなメリットです。
■家族構成の変化に合わせた賃貸併用住宅の活用のイメージ


その他、高齢になった際、住みやすいワンフロアでの生活や賃貸住宅というゆるやかなコミュニティが、防犯・防災面での安心感につながります。

賃貸併用住宅のメリットについては、バックナンバー「オーナー調査から発見!賃貸併用住宅の新しい価値とは?」で詳しく解説していますのでご覧ください。

空き家の実家を相続してそのままにしておくとトラブルに発展してしまう可能性が大きい。自宅を賃貸併用住宅に建て替えるなど事前の対策が必要。

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