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公正証書遺言の作り方 ~最も確実に意思を遺す相続対策~

相続

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2018年9月19日

公正証書遺言の作り方 ~最も確実に意思を遺す相続対策~

2015年に相続税の基礎控除が4割削減されて以来、課税対象者が増加しています。合わせて、相続対策に真剣に取り組む人たちも増えているようです。相続は資産の多い少ないに関わらず、もめてしまう場合があります。相続対策の基本は、遺産をどう分割するか。そして、どう分割するかを決めたら、その意思を遺言として書き記すことです。今回は、最も確実に意思を遺せる公正証書遺言の基本や作成方法について解説します。

「公正証書遺言」作成件数は10年前の約1.5倍に増加

相続税の増税は2012年末の税制改正大綱で発表されました。この年を境に公正証書遺言の作成件数が年々増加しています。2017年は110,191件で、10年前の約1.5倍となっています。

相続増税をきっかけに、多くの方が相続を身近な問題と捉え、相続対策に取り組んだということの現れでしょう。遺産が現金だけであれば、大きな問題はありませんが、特に土地オーナーなど不動産を所有している場合、遺産をどう分割するかは大きな課題です。相続税対策も踏まえた上で、どう分割するのか、相続でもめないように遺言を遺すことは必須です。

自筆証書遺言は、発見した場合に勝手に開封すると無効になります。家庭裁判所で、相続人等の立ち会いの上で開封して内容を確認しなければなりません。これを検認といいます。検認の件数も、9年前と比べると約1.3倍に増えています。発見されていないものも含めると、もっと多いでしょう。

遺言書のメリットは、次の4つです。
1. 不動産の資産承継など意思を明確にできる
2. 遺産分割協議が省略できる
3. 法定相続人以外にも遺贈できる
4. 長寿社会の認知症対策

バックナンバー「知っておきたい遺言書の基礎知識」でも解説していますので、ご覧ください。

■公正証書遺言の作成件数と自筆証書遺言の検認の件数

公正証書遺言の作成件数は年々増加。相続対策としては必須の対策になっていることがうかがえる。

公正証書遺言と自筆証書遺言はどちらがよいのか?

手軽に作成できると思われている自筆証書遺言ですが、実際はそうでもありません。まず、文字通り自筆で書かなければなりません。また、いざ相続が発生し遺言が発見されれば、現時点では家庭裁判所での検認の作業が必要です。また、書き方のルールが厳格に定められていて、少しでも不備があれば無効となります。

先の民法改正で、2019年1月より自筆証書遺言の作成方法が少し簡素化されますが、多くの専門家は公正証書遺言を勧めます。なぜなら、自筆証書遺言の場合は不備により無効になることが多いからだと言います。
公正証書遺言なら専門家の指導の下、確実に有効な遺言書が作成できます。自分だけの判断で分割割合を決めたとしても、遺留分の侵害など法的に有効か、税制的に有利に分けられているかは、専門家でなければ判断は難しいでしょう。

■「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違い

遺言書の様式は「公正証書遺言」が確実。せっかく作成しても無効になっては意味がない。

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言を作成する手順について解説します。

1.専門家に依頼し原案を作る

まずは、遺言書の原案、つまりどう遺産分割し相続させるかを決めなければなりません。この内容に関しては、相続税との関係が出てきますので、税理士に依頼することになるでしょう。ある程度、分割の内容が決まっているなら、公正証書遺言の作成依頼は、司法書士事務所、または弁護士事務所に依頼するのが一般的です。
場合によっては、ここで数回の打ち合わせが必要になってきます。内容そのものに問題がないか精査する必要があります。

2.資料を集める

公正証書遺言の作成には次の資料が必要です。これらの資料は、専門家に依頼することもできます。
・遺言者の実印、印鑑証明書
・遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本
・受遺者(遺言者の財産の遺贈を受ける者)の住民票
・固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
・不動産の登記簿謄本
・証人(後述)の確認資料
・遺言執行者の特定資料(受遺者が遺言執行者の場合は不要)

3.証人を集める

公正証書遺言の作成には証人が2人以上必要で、作成時に立ち会ってもらわなければなりません。証人がいない場合は、公証役場、または依頼した専門家事務所で手配してくれます。
証人になれない人の要件は次の通りです。
・推定相続人、受遺者及びこれらの配偶者、直系血族(親・子)
・公証人の配偶者・4親等内の親族、公証役場の職員など
・未成年者

4.公証人と事前の打ち合わせ

公正証書遺言を作成する前に、事前にどんな内容なのかを公証人と打ち合わせをします。内容ができていて、専門家に依頼するなら、専門家が事前に打ち合わせを済ませるケースもあります。

5.公正証書遺言作成(当日)

証人、専門家とともに公証役場に出向きます。
・証人2人以上が立ち会い、公証人から本人確認、質問等を受ける
 (本人、証人以外は同席できないので、専門家などの同伴者は別室で待機)
・遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝える
・公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせる
・遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認し、各自これに署名押印

公証人が同じ公正証書遺言を3通作成します。
1通は原本として公証役場に保管されます。2通は正本及び謄本として遺言者に渡されます。また、遺言者が病気などにより公証役場まで行けない場合には、公証人が病院や自宅に出向いて手続きをおこなうことも可能です。ただしこの場合には、交通費と日当が別途必要になってきます。
当日の所要時間は、30分〜1時間程度です。

公正証書遺言の作成は、まず専門家に相談し、その指示に従って進めていけばよい。

公正証書遺言の作成にかかる費用や期間は?

公正証書遺言を作成する費用に関しては、遺産の額に応じて変わってきます。
・専門家へ依頼する費用としては、10万円〜20万円が目安です。
・2人の証人には日当が必要です。1名10,000円〜30,000円
・必要書類(戸籍謄本、印鑑証明など)の取得費用:1,000円〜5,000円

また、公正証書の作成手数料として、公証役場へ支払う費用があります。この手数料は法律によって決められ、全国一律です。以下の料金表を元に算出します。

■公正証書の作成手数料

算出の方法
・遺言により財産を受け取る人ごとに、手数料を算出して合算
・財産が1億円以下の場合は、11,000円を加算(遺言加算)
・遺言書の原本が4枚を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料、また正本と謄本の交付にも一枚につき250円の手数料を追加(2,000円〜5,000円程度)

例:1億円の財産を妻に6,000万円、子どもに4,000万円を相続させる場合
妻43,000円+子29,000円+遺言加算11,000円+謄本手数料2,000円=85,000円

作成の期間については、遺産分割内容がある程度決まっている場合でも、約1カ月はみておいた方がよいでしょう。また、遺言は一度作ったら終わりではなく、何度でも書き換えができます。税制や家族構成が変わったり、地価上昇などで資産が値上がりした場合は、再度見直すことも必要です。

公正証書遺言の作成費用は、専門家に依頼したとして総額20万円程度からで、遺産の額に応じて変わる。期間は1カ月程度みておく。

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