アットホーム(株)から「“UNDER30”私たちの選び方 〜部屋探しのプロセス&マインド〜」(2015-2016年全国)が発表されました。30歳未満の学生・社会人の部屋探しでは、何が必須で何に妥協するのか?そこを見極めていけば、今後の空き室対策としてどんな設備投資が必要なのかが見えてきます。
まずは平均家賃。首都圏の平均を見ると学生5.6万円、社会人6.3万円です。一概に比較はできませんが、単身者の場合は、平均すると家賃は抑え目な印象を受けます。
男女の比較で見ると、学生、社会人ともに女性のほうが多く家賃に支出しています。社会人で5,000円、学生では6,000円、女性の方が高い家賃になっています。
また、部屋探しで利用したツールで、年々利用が高まっているのが「スマートフォン」です。今回、学生ではPC(インターネットで検索)が1位で63.0%でしたが、2位スマートフォン 60.9%と僅差です。これが社会人になると、スマートフォン 75.2%、PC 63.9%とスマホの活用が一気に高まります。
ネットで見た物件数は6〜10件という回答が最も多く、訪問した不動産は約半数が1件、実際に見た部屋数(内見数)は1〜3件となっています。一昔前の様に、不動産会社を何件も回るということはありません。驚かされるのが、内見を全くしないか1件だけ、という人も少なくないということです。(※学生内見 0件:9.6%、1件:19.3%、社会人内見 0件:5.4%、1件:18.9%)
つまり、ネットの情報だけでほぼ決めている人が増えているということ。それだけにネットでの情報公開の仕方がポイントになってきそうです。
ただし、一方でネットのイメージと実物が違う、といったクレームもあると、不動産会社は言います。撮り方次第で、写真のほうが実物より広く明るくきれいに見えることもあるからです。最終的な内見の決め手には、不動産会社の担当者のセールストークがやはり大きなカギを握っているようです。
平均家賃は学生5.6万円、社会人6.3万円。スマホでの部屋探しが主流になり、ネット情報でほぼ決めている傾向にあるので、物件紹介の仕方が決め手に。
部屋探しの際に、家賃以外で妥協したものについて聞きました。学生、社会人ともにトップは「築年数」。多少築年数は古くても、クリーニングやリフォームがされていれば、建物自体の古さは気にならないということです。いかにメンテナンスが大切かを伺わせる結果です。
次いで学生の2位が「間取り・広さ」。これは、家賃との兼ね合いでしょう。家賃を抑えるとなると、どうしても広さを我慢しなければなりません。次に「最寄り駅から近い」「日当たり・風通しが良い」と続きます。
社会人の2位が「セキュリティ」。妥協するという意識を裏返せば、“あったらうれしい”ということです。セキュリティの代表設備はオートロックですが、それ以外にも防犯カメラ、モニター付きインターホン、二重ロックなど様々あります。これらを一つでも多く加えることで、アピールポイントが増えるでしょう。
また、大半の人は何かしらを妥協していると考えがちですが、社会人男性は27.6%もの人が「特にない」と回答しています。
メンテナンスをしっかりしていれば、築年数は妥協できるポイントになる。社会人はセキュリティに妥協することが多いため、逆にセキュリティ設備を充実させれば、差別化につながる。
部屋探しの際に、重視した設備について聞いています。主な設備をピックアップしました。
最も多いのが「独立したバス・トイレ」、次いで「フローリング」です。
もはや単身者にとって、この設備は定番と言ってもよいでしょう。バス・トイレ・洗面台が一緒の3点ユニットは、駅から2分以内とか、相場よりかなり安いとかであれば、一定のニーズはあるようですが、昨今はほとんどニーズがありません。ネットの検索では、バス・トイレ別を条件に検索する人がほとんどということです。検索にヒットさせるためには、多少部屋が狭くなっても、トイレを独立させるようなリフォームがお勧めです。
3位以下の設備では、学生、社会人ともに同じ傾向が出ています。3位「収納スペースが広い」も、最近よく聞くニーズです。単身者用でも、ウォークイン・クローゼットがあるとかなりのアピールポイントになるといいます。リフォームで、古い和室の押入れをリフォームして、ウォークイン・クローゼットにする例も増えています。
5位「2口以上のコンロ」は、昨今の節約ブームが関係しているかもしれません。自炊する人も多く、社会人もお昼はお弁当派が増えているといいます。
その他で注目すべきは、前述のセキュリティ設備の「オートロック」「モニター付きインターホン」です。オートロックを設備投資するのは、難しいかもしれませんが、「モニター付きインターホン」は比較的、簡単に増設できます。ぜひ検討してみてください。
収納スペースが広いのは、大きなアピールポイントになる。単身者でもウォークイン・クローゼットがあると印象が良くなる。
次に妥協した設備を見てみます。
学生では1位が「防音」22.7%、次いで「追い焚き機能付きバス」19.2%、社会人は1位「追い焚き機能付きバス」19.5%、次いで「防音」19.2%と同じような結果になりました。「防音」については、実際に住んでみないと分からない部分でもあり、設備というより構造的な問題でもあります。「追い焚き機能付きバス」は、単身者ではさすがに重要ではないということでしょうか。
学生で意外なのは、女性で「独立洗面台」「2口コンロ」を妥協した割合が多かったことです。これは、重視した点でも上位ですので、逆に見れば可能な限り設備を整えたいところです。同様に社会人の「収納スペースが広い」も同じことが言えます。
また、「特にない」も学生33.3%、社会人33.1%と最も多く、設備には妥協せずにこだわりたいという意識の表れのようです。築年数の古さにはこだわらないが、設備には妥協しない、といった傾向が今回の結果から伺えます。特に水廻りの設備などは陳腐さが目立つと敬遠されてしまいます。また、設備のトレンドとして、単身者でも2口コンロ、ウォークイン・クローゼット、モニター付きインターホンの他、浴室乾燥機や宅配ロッカーなども人気の傾向にあるといいます。
入居者の入れ替えのタイミングを見計らって、設備投資を検討するとよいでしょう。
設備には妥協せずにこだわりたい傾向が見てとれる。家賃との兼ね合いで、いかにコストパフォーマンスを高めていくかがポイント。