人々のライフスタイルが変化し"ニューノーマル"が定着しつつあります。仕事も遊びも含め、在宅時間が増えたことで、住まいに対するニーズも大きく変わりました。毎年行われる調査「入居者に人気の設備ランキング2020」(全国賃貸住宅新聞調べ:全国の不動産会社372社が回答)の結果をもとに、新しい住まいのニーズを探ります。
今回の調査は、8月27日から10月5日にかけて行われました。コロナ禍によるライフスタイルの変化にも慣れてきたころです。
人気設備の1位から7位に関しては、ファミリー向けの「宅配ボックス」を除いて大きな変化は見られませんでした。しかし、コロナ禍でより人気が高まったがゆえの課題も見えてきました。ランキングに変化が見られたのは、8位以下です。これらには、コロナ禍での新しいライフスタイルによる変化が見られます。詳細を見ていきたいと思います。
コロナ禍で生まれた新しいライフスタイルから、より「快適性」が重視される傾向になった。TVモニター付きインターフォンや防犯カメラなどの「防犯性」を高める設備のニーズも高まった。
コロナ禍でのライフスタイルの変化といえば、大きく2つ。テレワーク、そして巣ごもり消費といわれるインドア生活です。
インターネット設備については、コロナ以前から「インターネット無料」がランキングトップをキープしていました。最近は、Wi-Fiによるインターネット無料が普及し、さらにコロナ禍によって社会人のテレワーク、学生のオンライン講義などで利用頻度が高まったために、通信速度の問題という新たな課題が見えてきました。
賃貸住宅の場合、回線1本を複数人でシェアするケースが多く、通信速度低下につながりやすくなります。オンラインでの会議や授業が、通信速度の影響で頻繁にフリーズしてしまうようでは、困ってしまいます。また、巣ごもり需要で映画などの動画配信サービスやネットゲーム利用している人も増えています。これらを楽しむにも安定した通信速度が必要です。インターネット設備も単にあればいいという設備ではなくなり、品質が求められるようになりました。
同様にニーズが高まったのが「宅配ボックス」です。ランキングではファミリー向けで6位から2位に順位を上げています。在宅時間が増え、ネットショッピングが増えればニーズが高まることもうなずけます。コロナ禍では、接触をさけるため宅配ボックスに入れるよう指示するケースもあります。使用頻度が高くなると、問題になるのが設置数です。宅配ボックスの数は、戸数の20~30%あればよいといわれていますが、使用頻度が高まり、宅配ボックスが「いつも使われていて、使えない」といったクレームもあるようです。設置の際は、場所があれば少し数に余裕を持たせたほうがよいでしょう。
もう一つの課題が「音」です。不動産管理会社は、コロナ以前から入居者は音に敏感になったと口を揃えて言っていましたが、コロナ禍で在宅時間が増え、さらに音の問題が浮上しているようです。ファミリー向けのランキングでは、「遮音性の高い窓」が初めて14位にランキングしました。遮音性の高い窓には、ペアガラスを採用した窓があります。ペアガラスは、遮音性だけではなく、遮熱性や結露防止にも効果がありますので、入居者へアピールできるでしょう。
インターネット設備や宅配ボックスのニーズが高まり、単にあればよいというだけではなく、クオリティも求められるようになった。
巣ごもりといわれるインドア生活が増えたことで、賃貸住宅であっても、いかに快適に楽しく過ごせるかは大きなテーマです。ランキングでもそれを実現する設備の人気が高まっていることが分かります。また、設備だけではない仕様やプランにも、ニーズが高まっていくことが予想されます。
それらのニーズに応えるヘーベルメゾンの商品と共に解説していきます。
巣ごもり生活で、家で調理する機会が増えた人も多かったからでしょうか。人気が高まった設備の一つがキッチンです。単身者のランキングでは、「システムキッチン」が12位から8位に上昇しています。ファミリーでは5位と高い位置にあります。また、全国賃貸住宅新聞の「この設備がなければ決まらないランキング」では、単身者で「ガスコンロ(二口・三口)」が11位から9位に、ファミリーでは7位「システムキッチン」8位「ガスコンロ(二口・三口)」となっていて、キッチン設備のニーズの高さが伺えます。
●光と風を取り込んだ憧れの暮らしを叶える賃貸住宅「光と風のLDK」
ペニンシュラ(半島)タイプのキッチンを採用することで、リビングとキッチンの開放感が生まれ、2つの空間をまたいで光と風が通り抜け、快適性がアップします。
テレワークではインターネット設備とともに、仕事をするスペースの確保が欠かせません。しかし、そういった設備はまだ少なく、既存の物件では、リビングのテーブルを使うか机を新たに配置するしかありません。このニーズへの対応は、プランの工夫でデスクスペースを設けることができます。
●ワークスペースのある賃貸住宅
3つのスタイルと設置空間を組み合わせることで、多彩なワークスペースを実現することができます。
「オープンスタイル」-LDKの中に仕切らず、スペースを確保。仕事の合間に家事をしたり、家族を見守りながら作業ができます。
「セミオープンスタイル」-LDKと隣接し、ゆるやかにつながりながら、こもり感のある中で作業ができます。
「プライベートスタイル」-寝室や書斎に独立したプライベート空間を確保。オンオフのメリハリがつけやすくTV会議にも集中できます。
テレワークの普及で、住む場所も郊外が人気になっています。また、駅から離れていてもゆったりと過ごしたいというニーズもあります。アウトドアリビングタイプの広いベランダがあれば、そこで、子どもと遊んだりランチをしたりと、生活空間が広がります。また、エントランスやリビングにつづく土間を配置することで、趣味を楽しむスペースの他、マウンテンバイクやオートバイなどの収納にも使えます。
●一戸建て感覚で心地よく暮らす郊外型賃貸住宅「空間(そら)」
プライベートをもっと豊かに過ごしたいといった、ニーズに応えたアウトドアリビングタイプの広いベランダ。気持ちの良い外部空間で読書をしたり、ランチを楽しんだりできます。
●土間のある賃貸住宅
賃貸住宅のプランに土間を取り入れることで、生活空間の広がりはもちろん、自転車など趣味のものや生活用品のストックなどにも使えます。
例えば、リビングの横にあえて土間空間を室内につくったり、フェンスで囲った庭をプライベートな土間にしたり、住戸内のエントランスに土間を設けたり、いろいろなバリエーションが考えられます。1階に暮らす魅力が増え、1階の入居率のアップが期待できます。
巣ごもりを快適に過ごす設備や仕様にニーズが高まり、差別化の大きなポイントとなる。