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繁忙期に備えたい、コロナ禍での設備投資

入居者トレンド

繁忙期に備えたい、コロナ禍での設備投資

コロナ感染拡大は、今春の賃貸市場の繁忙期にも影響を及ぼしそうです。一方、このコロナ禍で入居者ニーズは、あきらかに変化しています。どんな時代でもニーズに対応できなければ、空室を長引かせてしまいます。繁忙期に空室を出さないためにも、コロナ禍でのニーズを満たす設備投資を考えてみたいと思います。

デジタル化で非対面が進む部屋探し

今回は、「2020年新型コロナによる賃貸不動産仲介会社への影響調査(リーシング・マネジメント・コンサルティング株式会社調べ、調査期間2020年11月20日~12月18日)」の調査結果から、入居者ニーズを探ってみたいと思います。

まずは、部屋探しの現状です。不動産会社では、電話やビデオ通話等による非接触の営業を展開するケースが増えています。「ビデオ通話等による遠隔内覧件数」が増えたとする回答が60%近くになりました。半年前(2020年6月)の前回調査に比べると10%以上の増加です。「遠隔内覧時の利用ツール」として最も多かったのがLINE 37.2%、次にZoom 18.8%です。また、「IT重説(*)の契約数」が1~2割程度増えたとする回答も半年前の調査から10%以上増えています。
(*) IT重説:ITを活用して賃貸借契約の重要事項説明を行うこと

■ビデオ通話等による遠隔内覧件数 ■IT重説の契約数

「2021年の繁忙期において、接客方法として新たな工夫を図っていく予定はありますか?」の質問に対しては、「オンライン(接客・内覧)の推進」が最も多く45.2%、次に「内覧時現地待ち合わせの徹底」31.5%となっています。各社、可能な限り非接触を心掛けているようです。
部屋探しサイトのLIFULL HOME'Sの検索条件には、オンライン対応の項目があり、「オンライン内見可」「オンライン相談可」「IT重説可」が選べるようになっています。

賃貸オーナーとしては、入居者斡旋の不動産会社選びがよくテーマになります。コロナ禍では、今話題のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいる会社ほど柔軟に対応できているのかもしれません。コロナ禍では、写真や動画を使ったホームページでの物件の紹介の仕方だけではなく、ビデオ通話による遠隔内見やIT重説などの対応も不可欠のようです。

■新たな方法の工夫

部屋探しも非対面化が進んでいる。不動産会社もITを活用した柔軟な対応が求められている。

コロナ禍のニーズを踏まえた設備投資とは?

コロナ禍では、エリアや駅近へのこだわりが少なくなったと聞きます。それは、ライフスタイルの変化、住まい方の変化を意味します。となると、設備やプランのニーズが変わることも想像に難くありません。調査のニーズランキングから設備投資を考えたいものをピックアップします。

■新型コロナの影響でより求められるようになった設備や仕様

●インターネットは速度がポイント
「インターネット無料」については、コロナ以前から高いニーズのある設備です。しかし、コロナ禍で、このニーズにも変化が表れました。テレワークによるオンライン会議、オンライン授業、巣ごもり需要に代表される動画配信サービス、ネットゲームについては、ネットの回線速度が非常に重要です。しかし、賃貸住宅の場合、一つの回線を複数人でシェアする場合もあり、通信速度の低下につながることもあります。オンライン会議やオンライン授業で、度々フリーズしてしまうのは避けたいところです。ランキング1位は、「通信速度の速いインターネット環境」となりました。
また、必ずしも無料にはこだわっていないようです。調査では、「インターネット無料」と「ネットの回線速度」のどちらを気にする方が増えたかも聞いています。「回線速度」を気にする方が増えたという意見が、「無料」の倍以上あります。ランキングでも「通信速度」が15.4%に対して、「無料」は4.0%です。
一度、所有物件の速度の状況を確認して、複数人が一度に使っても速度が落ちないように、ネット環境を整えてみてはいかがでしょうか。部屋の紹介の際に「高速安定ネット回線完備」とすれば、アピールできるでしょう。

■インターネット環境を気にするお客様の内、下記のどちらの傾向が強いですか?

●在宅勤務に広さ・遮音性
コロナ禍でのニーズの大きな変化が、住むエリアや駅からの距離にこだわらなくなったということです。その要因の一つが在宅勤務の浸透です。在宅勤務浸透の調査も様々な機関から発表されていますが、賃貸不動産仲介会社へのこの調査では、家探しをする人の4割以上が在宅勤務を想定しているとの回答が合計39.1%で、「1割にも満たない」との回答が全体で16.3%と少数でした。

■在宅勤務を想定した家探しの割合

在宅勤務を想定した家探しとは、具体的にはランキング1位のネット環境と「ワークスペースの確保」でしょう。郊外や駅から遠くなれば、それだけ広い部屋を借りることができます。ランキング2位の「広さ」、3位の「防音性の高さ」がそのことを表しています。
既存の物件に、広さを作り出すのは難しいかもしれませんが、1LDK以上の物件であれば、プランニングの工夫により、ちょっとしたワークスペースを確保することも可能です。リフォームが必要になりますが、空き室が続くようなら、対策の一つとして考えてみてください。

■1LDKでワークスペースを確保するプランニング

●宅配ボックスはコロナ対策としても人気
敷地にスペースがあれば、ぜひ備えたい設備がランキング4位の「宅配ボックス」です。巣ごもり生活は、ネットショッピングの利用者も増加させました。総務省の統計で見ても、特に二人世帯以上のネットショッピングの利用世帯割合は、2018年、2019年と比較して2020年は、一段と伸びています。宅配ボックス利用のメリットは、宅配業者との接触を避けるというコロナ禍での利点もあります。そういう意味でもコロナ禍では宅配ボックスも大きなアピールポイントとなります。
今は、郵便受けの下に設置する省スペース型の宅配ボックスもあります。コロナが収束してもネットショッピング利用のニーズは高いと思いますので、検討してみてください。

■ネットショッピング利用世帯の割合の推移(2018〜2020年)

●キッチンなど水廻りを充実させたい
在宅勤務など仕事に関するニーズの変化が目立ちますが、一方で巣ごもりニーズは、賃貸住宅であっても室内での生活を充実させたいというニーズにつながります。前述の設備や仕様のランキング8位「独立洗面台」、9位「採光性の高さ」の設備もその表れでしょう。キッチンを含めた水廻りは、設備の古さが出やすいところです。キッチンを変えるだけで、部屋の印象はまったく変わります。単身者であっても二口コンロは喜ばれますし、設備投資としては効果が大きなものになるでしょう。
「採光」に関しては、窓を大きくすることは難しいと思いますが、クロスをアクセントクロスにしてメリハリをつけたり、床を明るい色のクッションフロアに変えたりすることで、明るさを演出することができます。また最近では、キッチンをリビングの中央に配置することで、採光や風の通りをよくするプランニングもあります。

■キッチンをリビングの中央に配置した賃貸住宅「光と風のLDK」

●収納などきめ細かい設備もアピールポイントになる
部屋探しの際によく話題になるのが、収納の多さです。新婚をターゲットとした1LDKであっても、2つのウォークインクローゼットは入居者に喜ばれます。ワークスペースのプラン例でも紹介しましたが、プランニング次第で、2つのウォークインクローゼットを設置することは可能です。その他、洗濯機、キッチン廻りの棚やシューズクロークなどを備えると、暮らしやすさがアップします。ちょっとした配慮の積み重ねも入居者の満足を高めるのに重要です。

2つのウォークインクローゼット/2つの室内物干し/食器棚/シューズクローク

大規模なリフォームから細かい設備投資まで、コロナ禍でのニーズに合わせた設備投資が、長期安定経営のポイント。

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