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確定申告直前対策-経費にできる?できない?

税務・確定申告

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2022年2月 8日

確定申告直前対策-経費にできる?できない?

確定申告の時期がやってきました。節税の王道は、きちんと経費を積み重ねていくことです。時には、経費にできる、できないで迷ってしまったり、間違えて経費を計上してしまったりすることもあります。間違いやすいポイントを費目ごとに解説していきます。

【租税公課】

租税公課とは勘定科目の一つで、税金(租税)や賦課金(効果・公共機関等への税金)のことです。租税公課は、経費になるもの、ならないものがありますので、注意してください。

経費になるものは、固定資産税、事業税、登録免許税などです。町内会費も賦課金なので経費になります。「租税公課」の勘定科目で帳簿に記帳します。
経費にならないものは、所得税や住民税です。国民年金や国民健康保険なども勘違いしやすいのですが、経費ではありません。ただし、こちらは、「社会保険料控除」の対象なので、確定申告の際に、所得から控除できます。

また、所得税などの取引は、帳簿に記帳する必要はありません。ただし、事業の専用口座からお金を引き出して納付した場合などは、帳簿に記帳することになりますので、その場合の勘定科目は「事業主貸」で処理してください。事業主貸は、あくまでお金の流れを示した勘定科目ですから、"貸"とありますが、返す必要はありません。

■租税公課

【修繕費】

室内クリーニングから、設備の補修、さらには大規模修繕まで、必要経費の中でも大きな割合を占めるのが修繕費です。注意したいのは、「資本的支出」との違いです。
資本的支出とは、以前のものに比べグレードアップしたり、耐用年数を増加する修繕です。その場合は、価値を高めたとして、資本的支出と見なされ、減価償却しなければなりません。

よく質問にあがるのが、外壁の塗り替えや屋根防水シートの張り替えです。長期サイクルの修繕に関しては、技術の進展により、以前と同じグレードで修繕するほうが困難です。15年耐用だった外壁塗装を30年対応塗装にした場合などがそうで、資本的支出と見なされることもあります。屋根も一部を補修するのなら修繕費ですが、屋根防水シートの全面張り替えとなると資本的支出と見なされる可能性があります。いずれも判断が難しいので、税理士か税務署に確認したほうがよいでしょう。

新しい設備を導入した場合は、原則、資本的支出なので減価償却することになりますが、30万円未満の場合は、一括償却できる場合があります。特に青色申告の場合の少額減価償却資産の特例は、一度に30万円未満、一年間の累計で上限300万円まで一括償却できます。例えば、30万円弱の設備を10回に分けて導入しても一括償却できます。

■30万円未満の減価償却資産の償却方法

また修繕そのものが、修繕費か資本的支出か迷った場合には、形式基準をもとに考えます。以下のチャートに照らし合わせて判断してくだい。「前年末取得価額」とは、修繕した対象物の取得価額のことです。

修繕費と資本的支出

【借入金利子】

賃貸経営の中で、建物の減価償却費の次に大きな必要経費が借入金利子です。注意したいのは、必要経費になるのは借入金の利子のみで、元金は必要経費になりません。
また、建築途中の借入金利子は、建物の取得費に計上します。

■借入金にかかわる必要経費

【福利厚生費】

個人事業主の場合、原則、福利厚生費は認められません。法人化した場合でも役員である自分に対しても福利厚生は認められません。福利厚生費はあくまで、従業員に対してのみ認められる経費です。従業員が親族の場合も認められませんので、注意してください。

■福利厚生の必要経費

【個人事業主の給与の扱い】

個人事業主の場合、自分の給与の扱い方が分からない方もいらっしゃいます。帳簿上、個人事業主の場合、給与を支払うという概念がありません。もちろん、賃貸経営で得た利益は、自由に使ってかまわないのですが、帳簿上そのままにしていると、どんどん利益が積み上がっていきます。
そこで、給与に代わる帳簿上の処理としては、租税公課のところで解説した「事業主貸」の勘定科目を使います。給与のように毎月一定額を事業主貸に振り替えたほうが管理しやすいでしょう。

【生命保険・損害保険】

個人事業主や家族従業員に掛けられた生命保険は、賃貸住宅経営の必要経費にはなりません。個人の生命保険料は、確定申告の時に生命保険料控除で所得から差し引くことができます。
同様に、自宅に掛けた火災保険なども賃貸経営の経費にはなりません。経費になるのは、賃貸住宅に掛けた火災保険等の損害保険です。
注意したいのは、自宅併用の賃貸住宅です。この場合は、自宅部分と賃貸住宅の床面積などで按分して、必要経費に計上します。

【初年度にかかる経費】

開業初年度には、賃貸住宅の建設に伴う様々な費用が発生します。例えば、建設前の地鎮祭の費用や登記費用、不動産取得税、印紙税といった租税公課などです。これらの経費については、建物の取得価格と合算して減価償却する場合と、その年の費用になるものがありますので、注意してください。

例えば、建て替えの場合、以前の建物の解体費については、賃貸住宅を建て替えた場合は必要経費になりますが、自宅を建て替えた場合は必要経費になりません。

■賃貸住宅建設にかかわる初期費用の扱い

【その他の必要経費】

その他、賃貸経営に関する必要経費を一覧で解説します。ポイントは、自家消費と区別することです。漏れのないように、気をつけてください。

■その他の必要経費

コロナの影響がある場合は4月15日まで期間延長

新型コロナウイルス感染「第6波」が急拡大しています。感染者や濃厚接触者となり自宅待機を余儀なくされるなど、申告業務も困難になることが予想されることから、「令和3年分」の申告・納税に関して、令和4年4月15日までの間、簡易な方法により申告・納税期間を延長することが可能になっています。(2月3日・国税庁発表)

簡易な方法とは、例えば紙面による提出の場合は、申告書の右上の余白に、「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載したり、e-taxの場合は特記事項に入力して提出することです。

■紙面による提出の場合

■e-taxによる申告の場合

また、申告会場での相談も感染状況により、「入場整理券」が必要です。当日の配布やLINEを通じて事前に入手することができます。

それぞれ詳細は下記、国税庁のホームページをご覧ください。
新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ

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