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違いが分かれば間違わない!! 確定申告の基礎知識

税務・確定申告

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2024年1月25日

違いが分かれば間違わない!! 確定申告の基礎知識

一年に一度の確定申告。何度やっても、経理業務には専門用語や経理上の概念があり、戸惑ってしまうことも多々あります。特に似たような専門用語は、その違いをきちんと理解しておかないと確定申告もスムーズにできません。まずは帳簿への正確な記載が必要で、最低限の専門用語は理解しておく必要があります。初心者が間違いやすく、似たような専門用語を紐解きながら解説します。

「収入」と「所得」の違い

「収入」とは売上のことで、賃貸経営では家賃、礼金、更新料などが挙げられます。敷金は退室時に返金するものなので、売上ではなく「預かり金」となります。
「所得」とは、収入から必要経費を差し引いたものです。所得税の計算は、所得から次に説明する所得控除を差し引いたもの(課税所得)に税率を掛けて算出します。この課税所得をいかに低く抑えるかが節税のポイントになります。

■所得税の計算の流れ

注意!!

家賃(収入)で間違いやすいのが、計上の時期です。家賃は入金があったときに計上するのではなく、"契約によって家賃を受け取ることが決まっている日"になります。これを発生主義といいます。仮に年末に家賃が回収できなくても、その家賃は原則、売上として計上しなければなりません。

「所得控除」と「税額控除」の違い

「所得控除」とは、所得(収入-必要経費)から差し引くことができる金額です。確定申告書でいうと、左側の上から3ブロック目の「所得から差し引かれる金額」になります。
所得控除と間違いやすいのが「税額控除」で、控除額そのものが所得税から差し引かれます。代表的なものが住宅ローン控除です。また、今年度の税制改正で決まった定額減税も税額控除になります。

申告用紙

主に所得控除は、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除、医療費控除など全部で14種類あり、これらを総じて所得控除といいます。また、青色申告特別控除も所得控除の一つです。特に間違いやすいものの注意点を解説します。

注意!!

【社会保険料控除】
主には健康保険関係と年金関係で一年間に支払った分を計上します。また、生計を一にする家族の分を支払っている場合も加算できますので、漏れのないようにしてください。
【地震保険】
ここで記載するのは自宅に掛けた地震保険です(最高5万円)。賃貸住宅に掛けた地震保険は全額必要経費として計上でき、ここではなく損益計算の必要経費として計上します。
【配偶者控除・配偶者特別控除】
専従者給与を支払った場合は、計上できませんので注意してください。
【小規模企業共済等掛金】
この制度は中小企業の退職金制度ともいわれ、廃業時に毎月積み立てた掛金が退職金として支払われる制度です。国の共済制度で、安心して活用できる節税対策の一つです。掛金が全て所得控除でき、限度額は月7万円、年間84万円です。

「青色申告」と「白色申告」の違い

確定申告には、青色申告と白色申告があります。特に事業的規模(5棟10室)の場合は、メリットが大きいので青色申告が必須といっても過言ではありません。帳簿の作成など経理業務に慣れない方は、青色申告のハードルが高いようですが、会計ソフトを使えば帳簿の作成も簡単にできます。
青色申告と白色申告のメリットの違いは以下の通りです。特に大きなメリットが青色申告特別控除です。特別控除の分、必要経費が増えるのと同じ効果で所得を低く抑える節税メリットがあります。

■青色申告のメリットと白色申告の違い

注意!!

青色申告を選択するには、事前に青色申告の申請書を提出する必要があります。まだ白色申告の方で令和6年分(来年の確定申告分)から青色申告にする場合は、今回の確定申告と一緒に申請書を提出してください。申請書の書き方は、バックナンバー「確定申告実務編-青色申告承認申請書等の書き方」を参照してください。

「減価償却」と「一括償却」の違い

減価償却とは、固定資産の購入費用を一度に必要経費に計上するのではなく、1年ごとに分割して費用を計上することです。資産は価値が毎年減少していくものとして、その分を減価償却費として必要経費に計上していきます。

■減価償却のイメージ(定額法)

賃貸経営でいうと建物やその付帯設備が代表例です。減価償却費は耐用年数に従って、1年ごとに計上していきます。耐用年数は資産ごとに定められており、建物の場合は構造などによって違います。減価償却費(定額法)の計算は極めてシンプルです。取得額に、法定耐用年数による償却率を掛けて算出します。

■主な資産の法定耐用年数と償却率

■減価償却費(定額法)の計算 1年間の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

固定資産の中でも、取得価額が少額の固定資産については、減価償却せずに一括で経費計上できる場合があります。
まず、取得価額が10万円未満の場合は、減価償却せずに一度に経費計上できます。
次に、10万円以上20万円未満の場合は、3年で均等償却することができます。例えば15万円のパソコンを購入した場合(法定耐用年数4年)、5万円ずつ3年間経費に計上することができます。
さらに、青色申告の場合は、少額減価償却資産の特例があり、30万円未満の固定資産であれば、全額一度に経費計上できます。この場合、一年間の取得価額の合計が300万円までという上限があります。例えば30万円の固定資産なら10個が限度ということです。

■30万円未満の減価償却資産の償却方法

注意!!

減価償却するにせよ、一括償却するにせよ、必要経費に計上できる金額は変わりません。一括で償却すると、その年は節税になりますが翌年は負担が多くなります。翌年以降の影響もしっかりと把握した上で選択するようにしてください。

「事業主貸」と「事業主借」とは?

「事業主貸」「事業主借」とは、便宜的に使う勘定科目です。
個人事業主の場合、賃貸経営で得た利益は自由に使ってかまわないのですが、生活のために使った費用は、帳簿上「家事消費」という科目で処理します。しかし使う度に記帳するのは面倒です。かといってそのままにしていると、利益がどんどん積み上がってしまいます。
法人であれば自分に給与を支給するのですが、個人事業主の場合は経理上、個人事業主 本人への給与という概念がありません。そこで、給与に代わる帳簿上の処理として「事業主貸」という勘定科目を使います。聞き慣れない言葉ですが、文字通り事業主にお金を貸したという勘定科目です。ただ、これは便宜的なもので貸したからといって返す必要はありません。必要に応じて、事業主貸を生活費などに使うこともできますが、毎月一定の額を給与のような形で事業主貸に振り替えたほうが管理はしやすいでしょう。

この逆に「事業主借」という勘定科目があります。これは、帳簿上現金がない場合、自分のお金を使った場合に使う勘定科目です。いわば事業主の持ち出しになります。例えば、リノベーションや大規模修繕をした時に、帳簿上費用が足りない場合があります。この場合、個人のお金を事業主借の費目を使って帳簿に移動(計上)します。

注意!!

「事業主貸」はプライベートで使うものですから、必要経費ではありません。間違いやすいのが、所得税・住民税、国民健康保険などの社会保険料です。これらは、個人で支払うもので事業に関する必要経費ではありません。これらの費用も事業主貸として処理してください。

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