エジプト エジプト

国民食「コシャリ」や「ターメイヤ」など、砂漠の国の魅力的な料理の数々。

エジプトの食文化 エジプトの食文化

アフリカ大陸の北東に位置するエジプト。国土の9割以上が砂漠地帯で、乾燥した厳しい気候です。雨は一年中ほとんど降らず、晴天の日が続きます。砂漠地帯を南北に流れる大河「ナイル川」は、肥沃な土地を作り、その流域には緑豊かな農作地帯が広がっています。

エジプトと言えばピラミッド。これら遺跡の数々からは、古代エジプト人の食文化が鮮やかに読み取れ、現代へと受け継がれていることがうかがえます。死後も現世と同じように生活すると信じた古代エジプト人は、装飾品などとともに、食べ物や飲み物も、死者の墓に副葬していました。また遺跡の壁画には、パンやビール製造の様子、モロヘイヤなどの植物も描かれています。健康効果が高いモロヘイヤのスープはファラオ(王)も食したとされ、今もエジプト家庭料理の定番です。そしてエジプト人の主食として欠かせないのが、パン。発酵を利用したパンがすでに古代エジプトの時代に作られていたというから驚きです。またエジプト料理には、玉ねぎやにんにく、にらなどの香味野菜、クミンやコリアンダーなどのスパイスが多用されますが、古代エジプトのころから、これらには薬効があるとされ利用されていました。「ターメイヤ(そら豆のコロッケ)」をはじめとする伝統料理にも、多くの香味野菜や香辛料が使われています。

このように古代エジプトをルーツとした食べ物が、今も多く見られますが、長い歴史をもつエジプトの食文化を、それだけでとらえることはできません。古代エジプト王朝の終えん以降、各地からの侵攻や干渉を幾多も受けてきた影響も数多く見られるからです。ペルシアからは米料理が、トルコからはバラやオレンジの花を用いたエッセンス類が、アジアからは、それまではなかったこしょうなどの香辛料がもたらされました。そして7世紀にアラブ人の支配によりイスラム教が普及すると、アルコールや豚肉が戒律により禁止されました。現在では国民の大多数を占めるイスラム教徒は、年に1度「ラマダーン」の期間に断食する習慣があります。日の出から日没までは飲食禁止ですが、日が沈めば「イフタール」とよばれる日没後の食事を、家族、親戚、友人などが集まり、大いに楽しみます。揚げ菓子の「アターイフ」など、ラマダーン時期に食べる特別なお菓子というものもあり、逆に太ってしまう人もいるほどとか。多くのエジプト人にとって「ラマダーン」は、空腹に耐え、親しい人たちと食を通して一体感を味わう貴重な期間となっているようです。

古代の高度な文明をルーツにし、他民族や他国家からの多くの影響を融合させて独自の発展を遂げたエジプトの食文化。長い歴史を感じさせるエキゾチックな魅力があふれています。

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